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カラオケ屋さんのレッドちゃん  作者: 深田おざさ
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上原舞夏と赤羽千秋(1)

 3連休明けの火曜日、6月だというのに湿った生温い空気が顔に張り付いてくる。タンスの裏に転がる埃のような色の雲が空一面を覆っている。憂鬱が襲ってくる中、ようやく慣れ始めた高校生活に飽きすら感じていた上原舞夏(うえはらまいか)は、友人からの話を聞いてため息をする他なかった。

「ちー、もしかして蚊に脳ミソ吸われた?」教室の端の席で弁当を食べ終わった舞夏は、小学校からの仲である赤羽千秋あかばねちあきの話を聞いて、半ば呆れていた。

 聞くところによると千秋はカラオケ屋11号室の幽霊と遭遇し、会話もして、名前で呼び合う仲にまでなったらしい。しかもデュエットまでしたとか。

「大体幽霊と話なんかできないっつーの」舞夏自身、カラオケ屋11号室の幽霊の話は知っていた。それがまさか親友である千秋のバイト先だったとは。

「言い方ひどいなぁ。まーちゃんこういう系の話好きでしょ?」舞夏は残念そうにみかんジュースにストローを刺した。

「うち幽霊とか信じるタイプだけど、さすがになぁ」

「でもま、いったん来てよ。今日わたしバイトないし」

「ええー」

「騙されたと思ってさー」撫で待ちの子犬のような顔で迫る千秋に、舞夏は我慢できなかった。

「わーかった分かった分かった。じゃあ放課後ね」まったく、この顔はずるいって。


 舞夏と千秋の縁は、舞夏が引っ越してきた小学校2年生から始まった。精神的に参っていた舞夏に気さくに話しかけ、気にかけてくれたのが、当時クラスの中心的な存在だった千秋だった。千秋にしてみれば誰にでもしていたことなのだろうが、舞夏はこの行動に救われたのだ。高学年になっても千秋は男女共に人気で、友情が好意に変化した男子にちょっかいをされるようになっていく。舞夏はこの男子たちをことごとく返り討ちにしていった。

 中学生になるとクラスと部活が別だったこともあって、互いに別のコミュニティに属していた。少しやんちゃなグループにいた舞夏は、千秋がだんだん自分の知らない彼女になっていくのを、少し離れた所からみているしかなかった。だから同じ高校へ行くと聞いた時、驚いたのと同時に少し嬉しかったのだ。

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