プロローグ
「はぁ、はぁ」
山の中をかける
「急げ、セイ!」
声をかけてくるのは、同じ村に住む友人のコウだ。
コウは同い年でありながらセイと比べて身長が高く体格も良い。
対してセイは少し華奢で、見た目通りコウと比べて体力も劣る。
「うん…!」
返事をするのが精いっぱいのセイと、まだ少し余裕があるコウ
コウはそんなセイを辛抱強く待ってくれる。
ようやく森が終わり少し開けた丘へと出る。
「良かった、間に合ったみたいだ」
空を見上げてホッと一息をつく。
村に住む占い師の婆さんが言っていた今日は流星群が来る日
それを少しでも高いところで見ようと、村近くの少し小高い山に登ると話したのが今日の朝
夜になり、こっそり家を抜け出して今に至る。
ドサッとコウは腰をおろす、同じように隣に座り、セイも空を見上げる。
吸い込まれるような夜空に、キラキラと光る星。そんな夜空が少し怖いと思う。
「あっ!」
コウが声をあげる、同時にセイも気づく
流れ星が流れる。一つや二つではない。数えきれないほどの流星群だ。
「すげー」
そんな声を横で聞きながら、先ほど感じていた怖さなどなくなったセイも同じように感動している。
「すごい…」
まるでこの世ではないような、不思議な感覚。時間にして1分か10分か。時間の感覚が分からなくなる。
流星群も終わり、そんな不思議な時間も終わりを迎える。
「凄かったな」
「うん…凄かった」
初めて味わう感覚に、感想が凄いとしかいえなくなる。
本当はもっとうまく感想が言えれば良かったが、うまく言葉にすることができない。
「いつかさ、いつか俺たちもこんな風に、みんなからすげーって思われるようになりたいな」
「え?」
そんなことを思っていると、コウが不思議なことをいう。
いつか俺たちも?
「そんなことできるの?」
「できるさ!」
「どうやって?」
「どうやってって、うーん…」
腕を組んで考える。
考えてみたが所詮は世間を知らない10歳の少年には、どうすればいいかが思いつかない。
時間にして5秒程度考えて、あっと思いついたことを言ってみる。
「そうだな、最強になったらみんなからすげーって思われるんじゃないかな!」
「最強……どうやったら最強になれるの?」
「うーん、そうだな。魔王とか倒したら最強じゃないかな?」
「魔王を倒したら…?」
「うん、そうだ魔王だ!村が貧乏なのも、魔王が悪いって言ってたし。きっと魔王を倒したらみんなから感謝もされる!」
そんな子供の突拍子もない夢
「分かった、魔王を倒して二人で最強になる」
「おう!」