狂信者
重度のうつ病で書けませんでした。投稿するか迷いましたが、これでストックが尽きます。現在も治療中で書けない様な状態です。ですのでプロットは頭の中にありますが、次回は未定です。
ご迷惑をお掛けしますが、ご承知おき下さい。
「おはようございますツバキさん」
「おはようイシュタル。エリック………刀を変えたのか?」
「ああ。鍛冶師に作ってもらってな」
「今日ギリギリで学校に着いたのは、
エリック様が刀を見るのをやめなかったせいですよ」
「ほう。また後で見せてくれ。授業が始まるぞ」
「はい。今日は留学生を紹介します」
先生が新しい生徒が入るのを告げる。
「チェスターさん、レイさん入って下さい」
先生がそう言うと二人の生徒が入ってきた。
「チェスター・ハウンズです。よろしくお願いします」
一人は男でハウンズの苗字からしてハウンズ王国の王族だろう。
(強い………な)
抑えてはいるがそれでも隠しきれない剣圧。
腰に携えている剣も恐らくは相当の業物のはずだ。
「レイ・マクミラン」
もう一方は何が不機嫌なのかぶっきらぼうに返答した。
美人だがキツイ目つきがそれを台無しにしている。
腰にはショートソードを二振り装備しており、
イシュタルと同じ剣技かと推測した。
「それでは二人の席は………」
「エリック・ローワンは誰だ?」
先生の言葉を遮って、レイがしゃべった。
エリックは答えなかったが、クラスの視線がエリックに集中した。
「お前か!。死ね!」
レイはそう叫ぶとエリックに向かって跳躍し、ショートソードを抜剣した
それに対してエリックは、
「不用意に空中に飛ぶな。そこは死地だぞ?」
ポケットからコインを出すと、思い切りコインを弾いてレイの顎を撃ち抜いた。
レイは攻撃出来ずに床に落ちた。
レイは立とうとするが起き上がれない。
「無駄だ。脳を思い切り揺らした。当分立てない」
エリックはレイのショートソードを拾うと、
喉元に押し当てた。
「終わりだ。遺言は何かあるか?」
「マンチェスターの虐殺を私は忘れない!。大事なものを奪った貴様だけは許さない。絶対に!」
マンチェスターという言葉にエリックが反応すると、
後方から強力な剣圧を伴ったチェスターが接近してきた。
抜かれた剣は明らかに並みの業物ではない。
エリックはショートソードでは砕けると判断。
ショートソードをチェスターに投げ、レイから大きく後方へ離れた。
チェスターはショートソードを容易く破壊し、レイの元に近寄った。
「二人共そこまでだ!」
チェスターは大きな声で叫んだ。
「チェスター殿下。あなたの部下が私を殺そうと教室で抜剣したのですよ?
この不始末どうつけるおつもりですか?」
「今回のことは全面的に私の監督不行き届きだ。申し訳ない」
そう言ってチェスターは頭を下げた。
「殿下。こんな奴に頭を下げるなど………!」
「レイ!。今回のことはレイが全面的に悪い!。
教室で剣を抜き殺そうとするなど何を考えている!。
周りの生徒に被害が及んだらどう責任を取るつもりだ!」
「あ………」
どうやら怒りのあまり周りが見えてなかったらしい。
チェスターに言われ頭が冷えたのかバツの悪そうな顔をした。
一方のエリックは憂鬱な表情を浮かべた。
レイの発言から察するに、マンチェスターの虐殺が関わっているのだろう。
命令がエイブラムス王だとしても、実行したのはエリックだ。
レイが襲いかかったのも理解できる。
己の蒔いた種は刈り取らねばならないらしい。
エリックが事態の収拾を考えていると、チェスターが声をかけてきた。
「エリック殿。頼みがある」
「………叶えられる範囲ならば」
「私と死合をしてもらいたい」
チェスターの言葉に教室がざわつく。
「殿下。それは不可能です」
「何故だ?」
「殿下はハウンズ王国の王族。軽々に死合という言葉は口になさらないでください。
第一国王陛下が許可致しません」
「………ジェームス陛下が許可をすれば死合に応じると?」
エリックはこくりと頷き、言葉を続ける。
「私は挑まれれば受けて立ちます。しかし、先の条件により殿下と死合は出来ないのです」
「………やはりそうなるか」
チェスターはため息をついた。
「わかった。ジェームス陛下に直談判してみよう。レイ、席に着け」
「しかしこいつは私の家族を………!」
「残念だがレイではエリック殿には万に一つも勝てない。僅かな戦いでそれはわかっただろう?」
「………………」
レイは憤懣やるかたない顔をしているが、チェスターの言うことが正しいとわかっており、席に着いた。
「レイさん」
その時イシュタルがレイに声をかけた。
その声色はゾッとするほど冷たいものであった。
レイがイシュタルを見て一瞬でヤバいと判断した。
イシュタルは顔は笑顔だが、眼は冷たく何より狂気に支配されていた。
「エリック様をまだ殺す気でしたら私がお相手いたします。
残酷にかつ無慈悲に殺してあげましょう」
レイはそれでも強気に返す。
「部下が私を倒せるとでも?」
レイの言葉にイシュタルはキョトンとした。そして微笑む。
「レイさんは勘違いなされていますね。私は部下ではありません」
「何?」
「エリック様を信奉する信者です。そしてエリック様は神です」
レイは動揺した。イシュタルの眼は明らかに狂気に支配された狂信者の眼をしていたからだ。
「バカな!。狂ってる!」
レイは思わず叫ぶ。
「わからないでしょうね」
イシュタルは昔を思い出す。
「私は生まれつき眼が見えず、幼くして奴隷になりました。
もちろん売れるわけありません。そんな日々の中で出会ったのがエリック様です。
私はエリック様に買われ、眼の治療を受けました。
医師からは治せないと言われた眼が、エリック様の魔法で見えるようになりました。
そして様々なことを教わり、学校にも通えています。わかりますか?。
神とエリック様。どちらが信じるべき方か?。神がエリック様を邪魔するなら倒すまでです」
熱に浮かれたようにしゃべるイシュタル。
それを見たレイは背筋が凍るような感覚を味わうのだった。




