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悪役に転生!? 未来を変えてやります!  作者: 鏡花水月


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呂布奉先

 その日エリックは王宮に呼ばれていた。

「やあ、エリック。学校もある中呼び出してすまない」

「いえ。殿下。それで私に用事とは一体?」

「うん。すまないがヒュノス王国まで特使として、エリザと一緒に赴いてほしい」

「それは凛帝国包囲網が上手く機能していないということでしょうか?」

「その通りだ。ヒュノス王国とは戦争をしたばかりだからね。

ヒュノス王国とは交渉が上手くいってないんだ」

「それは私の妻がエリザだからでしょうか?」

「それもあるが、私はエリックの実力を買っている。

エリックなら上手く纏めてくれると信じている」

「承知しました。非才の身ながら努力いたします」

その後、エリックはどこまでフォーラム王国が譲歩出来るか等、

ヒュノス王国に提示できる条件を話し合った。


 10日後、エリック夫妻とイシュタルは国境に到達した。

国境にはヒュノス王国側に関所が置かれていた。

「止まれ! 何用か!」

「職務に忠実で感心します」

そう言ってエリザは馬車の窓から顔を覗かせる。

「エ、エリザ姫!? 失礼いたしました! 本日は何用で?」

「夫のエリックがフォーラム王国の特使なので、一緒に来ました。

王宮へ報告をお願いできますか?」

「はっ! 急ぎ馬を走らせます。エリザ様達はどうぞお通り下さい」

「御者。前へ」

エリザは馬車を走らせた。


 関所から経って数日後、エリック達はヒュノス王国王都ヒュノスに来ていた。

エリックは窓から外の風景を見る。

「暗い……な」

民達には元気がない。

エリックの言葉にエリザが頷く。

「エリックにも原因があるのですよ?」

「私にか?」

「エリックがヒュノス軍に甚大な被害を与えた為です。

その分が凛帝国用の兵力で補わないといけなくなったのです」

「そして、軍の再建の為に税が上がると」

「ええ。その通りです」

「とはいえフォーラム王国にも余裕がなかったからな。

私が過剰戦力でやってしまったのは事実だが」

そのようなやり取りをしつつ、馬車は王宮へと向かった。


 王宮へ着くとすぐに玉座の間へと通された。

玉座には壮年の男性が座っていた。

「フォーラム王国の特使よ。よくぞ来た。余はフロイド・ヒュノスである」

「フォーラム王国特使エリック・ローワンです。国王陛下」

エリックの言葉に玉座の間がひりつく。

特に武官はエリックを苦々しく見ていた。

「かの黒獅子か。して、どのような要件だ?」

「詳細はジェームス皇太子からの書簡に。私は交渉における全権を持っています」

書簡がフロイドの元に運ばれ、中身を見るフロイド。

「足らんな」

フロイドはそう言った。

「足りぬ……ですか? 凛帝国の切り取り自由、食料もフォーラム王国が出すという好条件ですが?」

「それだけでは足りぬ。フォーラム王国の兵の一部と資金も出せ」

「それは無理です」

「では話にならんな」

「……凛帝国は秋の刈り入れ時が終わり次第、ヒュノス王国に攻め込む予定と間諜から報告がありました」

「……何?」

フロイドの顔色が変わった。

「戦力は約10万。ヒュノス王国単独では対抗できません」

「そのくらい……」

「軍の再建の為に税を上げたそうですね。単独で対抗するならさらに税を上げねばなりませんね」

「…………」

「お分かりいただけましたか?」

「ふん。いいだろう。ジェームス皇太子の条件で参戦しよう」

「ありがとうございます」

「……それとこれは国王ではなく父親として聞きたい。エリザとは上手くいっているか?」

「はい。仲良くやっています」

「そうか……。ならいい。娘をよろしく頼む」

そう言うフロイドの顔は娘を心配する父親の顔であった


 翌日、エリック達は街をエリザの案内の元、探索していた。

「……奴隷が多いな」

「フォーラム王国との戦争で税が上がった結果、払えずに奴隷になったのでしょう」

「結局のところ戦争で儲かるのは一部だけだ。それが凛帝国にも分かればいいのにな」

「かの国は覇権主義で国内の少数民族等を押さえていますからね。

わかっていても戦争をするしかないのでしょう」

ままならないものだとエリックは思った。


その時前方から猛烈な闘気を感じた。思わず身構えるエリック達。

そして、前方から馬に乗った女性が向かってきた。

馬は全身が赤く、一目で名馬とわかった。

そして、その馬に乗る女性。赤い髪に勝気な釣り目。目を見張るのは全身に漲る武。

エリザが囁く。

「あなた、呂布奉先です」

「ああ、わかる。全身が武でパンパンだ」

呂布奉先がエリック達の目の前で止まる。

「へえ。あんた強いね……何者だい?」

「エリック・ローワン」

「へえ。噂の黒獅子様かあ」

「そう言うそちらは呂布奉先か?」

「そうだよ。うーん、しかし、中々にいい男だね黒獅子」

「結婚しているから口説かれてもな」

「あらら。妻帯者かい」

「何の目的でこの国に来た?」

「はは。あたいは気の向くまま行動するのが好きでね。特に意味はないさ。

それじゃ次会う時は戦場だね」

そう言って呂布は去っていった。

緊張した空気が弛緩する。

「あなた、よく呂布と会話出来ましたね」

「エリック様。私は緊張して声が出ませんでした」

「…………平気に見えたなら重畳だ」

そういうエリックは頬にツーっと汗を流していた。

「あなた…………」

「宿に戻ろう。凛帝国対策を考えたい」

そう言ってエリックは歩き出した。


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