専属メイド
エリックは9歳になった。
剣術と魔法の修行と並行してエリックはあることを行っていた。
「エリック、これは何だい?」
エドガーがエリックに見せたい物があるといって連れてこられた場所には、
短い丸太が何本も立てかけられていた。
「父上。これはシイタケの栽培をしているのです」
「何!? 栽培が出来るのか!?」
「はい。こちらにはもう出来上がっています」
エリックが指さした一角を見ると、シイタケが出来ていた。
「これは……凄いぞエリック!」
「他にも見せたい物があります」
エリックはエドガーを建物に案内した。
そこには一つの道具が置いてあった。
「エリックこれは?」
「千歯扱きという脱穀の道具です。今までよりも効率よく脱穀出来ます」
「なるほど……しかし、未亡人の貴重な収入源も奪うことになるな」
「そこは蚕を買って、生糸を生産させるのはどうでしょうか?」
「ふむ。一考の余地があるな。しかし、エリックよく考えついたな」
「褒めても何も出ませんよ」
エリックは笑顔で応じた。
エリックは町に来ていた。無論護衛を伴ってである。
物珍しそうに町を見ていると、奴隷が売られているのを見かけた。
その中でも特に安い、目を閉じた少女を見かけた。
「すまない。その少女安いが何かあるのか?」
「あん? なんだガキ」
「無礼者! この方はエドガー公爵の三男エリック様だぞ!」
「失礼いたしました。この奴隷は目が見えないんでさあ」
「目が見えない?」
「へえ。私も持て余しておりまして」
「……わかった。私が買おう」
「え? いいんで?」
「ああ。君、名前は?」
「……イシュタル・クインです」
「イシュタル……いい名前だ」
エリックはお金を払うとイシュタルを城に連れ帰った。
エリックはイシュタルを自分の部屋に連れていき、診察する。
やはり目が見えないようだ。
エリックは回復魔法を行使する。
ミラーは言った。魔法は想像力と集中力だと。
ならば目の仕組みを知っている私なら治せるとエリックは思った。
「完全回復」
回復魔法の最上位をイシュタルに使う。
イシュタルを淡い緑色の光が包む。
それが終わるとエリックは問いかける。
「私が指を立てているのが見えるか?」
「はい! ハッキリ見えます!」
イシュタルは泣いて喜んだ。
「イシュタルは帰る家があるのか?」
「ありません……」
イシュタルは悲しそうに顔を伏せる。
「ならば私の専属メイドとして仕えるのはどうだろうか?」
「え?」
「もちろん給与も出す。見たところ同じ歳だろう。私としても都合がいい」
「そ、それはエリック様がいいのでしたら!」
「決まりだな。よろしく頼む」
エリックはこうして専属メイドを手に入れた。
数ヶ月後、そこには一生懸命働くイシュタルの姿があった。
彼女は仕事の飲み込みが早かった。
また、マイケル達にお願いし、剣や魔法も学ばせていた。
イシュタルもエリックの役に立ちたいと必死に学んだ。
そんな風に過ごしていた日のある夜、流星雨の天体ショーが見られた。
城のバルコニーに出て天体ショーを見るエリックとイシュタル。
「綺麗ですね」
「ああ。まあ、あれは隕石が燃えている光なのだがな」
「エリック様、ロマンがないですよ」
「まあ、皆が恐れて家に閉じこもっているが、意味はないな」
「そうなんですか?」
「直撃すれば家など紙同然だ。最も滅多にないが」
ドゴーン!!
「きゃっ!?」
「ふむ。イシュタル。滅多にないことが起きたぞ。山を見てみろ」
「山って……山から煙が」
「燃え尽きずに落ちたな。明日にでも回収に行こう」
翌日、エリック達は隕石の回収に成功した。
「エリック様。それをどうするんです?」
「これで武器を作ってもらうのだ」
エリック達は武器屋に向かった。
「いらっしゃい……ってエリック様!?」
「すまないがこれで作って欲しいものがある」
そう言ってエリックは隕石を取り出す。
「鉄……ですか? しかし珍しい……」
「隕鉄と呼ばれるものだ。昨日の流星の物だ」
「何と……そのようなものが」
「それであなたに作ってもらいたいものがこれだ」
エリックは設計図を広げた。
「これは……剣ですか?」
「ああ。刀と呼ばれる異国の剣だ。これを大小二振り作ってもらいたい」
「わかりました。しかし、隕鉄……腕が鳴りますな」
「それじゃあ頼む」
この隕鉄から作られた刀にエリックは、大きい方を橘花、小さい方を桜花と名付けた。




