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魔術属性と竜


「魔術属性の5つの意味には、他にも春夏秋冬を表す意味もあるのだ。

 木は春の季節を司る青緑竜、

 火は夏の季節を司る朱紅竜、

 土は春夏秋冬の季節の変わり目を司る黄金竜、

 金は秋の季節を司る白銀竜、

 水は冬の季節を司る漆黒竜がいるのだ。」


「……」



(……木・火・土・金・水 、それぞれ5つの属性の精霊達の王は春夏秋冬を司っている…なんていきなり言われても話が壮大すぎて理解が追いつかないよ。)



「さらに、木・火・土・金・水 、それぞれの竜には守っている種族の土地がある。

 土の黄金竜ハルトムートが守っているのはヒト族の土地の、このカシノニア王国であるな!

 そのように木の青緑竜ならばエルフ族、

 火の朱紅竜ならば竜族、

 金の白銀竜ならば獣人族、

 水の漆黒竜ならば魚人族をそれぞれ守護しているのだ!」


「…ー!」



(なんと! それぞれの精霊王の竜は種族ごとに守っていたのか!)



「其方は、土の精霊王のこの私と契約しているが、他の精霊王とはまだ契約できていない。

 だが其方にはすでに大量の精霊の加護がある。

 これから精霊魔法を学ぶならば、まず其方は精霊を見る目を養う必要があるのだ!

 たとえ精霊と契約できて精霊の加護を得ていても、精霊魔法を使う準備が整っていなければ精霊魔法を使うことはできないからな!」


(…そうか。 私は土の精霊王のハルトムートと契約できていたり、大量の精霊から加護を得ているのに、精霊魔法を使えないのは、精霊魔法を使うための精霊を見る目がまだできていないからなんだ…!)


 レティーツィアは悪役令嬢ハイデマリーに復讐するために必要な精霊魔法を早く使えるようになりたいと思っている。

 精霊魔法を使うために、精霊を見る目が必要ならばすぐにでも手に入れたいとレティーツィアは思った。


「私も精霊を見る目がほしいです。」


「うむ、そうだな。

 精霊魔法を使いたいなら、最初に精霊を見る目を養っていかなければならないな。

 其方は魔力属性も魔力量も優秀なので、真面目に精霊を見る目を養っていけば10年もかからずに精霊の目を養うことができるだろうな!」


「……ーー!」



(…10年もかかるの?!)



 そんなに時間がかかってしまっては、悪役令嬢ハイデマリーに復讐するのもどんどん遅れてしまう。

 レティーツィアはすぐにでも憎い悪役令嬢ハイデマリーに復讐がしたいと思っているのだ。

 そんなに悠長に精霊の名を養っていては時間がかかりすぎて、カシノニア王国は悪役令嬢ハイデマリーにすべて奪われてしまう。


「…あの、すみませんが、、もう少し時間がかからない方法で精霊の目を養うことはできないでしょうか……?」


 ハルトムートは「む?」とレティーツィアの方を見た。


「なぜだ?

 精霊の目を養うことに一生という年月をかけても習得できないものもいる中で、其方はたったの10年で習得できるのに何が不満なのだ?」



(時間がかかりすぎることです、ハルトムートさん! 10年も経ってしまっては、カシノニア王国の全てを本当に悪役令嬢ハイデマリーに奪われちゃうじゃない!!)



 黄金竜ハルトムートはおそらくヒト族のレティーツィアなんかより長寿なのだろう。

 レティーツィアが思う10年と、ハルトムートが思う10年には大きな認識の差がありそうだと、レティーツィアは思った。



(とにかく、ハルトムートにもう少し早く精霊の目を養う方法がないか尋ねてみなくっちゃ!)



「10年もかかってしまっては、私のカシノニア王国はハイデマリーに全て奪われてしまいます。

 私はハイデマリーに復讐がしたいんです!

 でも、10年とかそんなに後じゃなくて、なるべく早く復讐がしたいんです!」


 レティーツィアの熱意のこもった発言を聞いて、一瞬ハルトムートは驚いたような表情をした。

 だが、「其方が以前に言っていた、あのハイデマリーか…」とブツブツと呟きながら、目を閉じて考え始めた。


 悪役令嬢ハイデマリーのことがなければ、レティーツィアもこんなに急がずにハルトムートの言うように10年かけてコツコツと精霊の目を養おうとしただろう。

 でも今のレティーツィアには時間の余裕はなかった。

 レティーツィアは大切な家族を奪われてたとえ1人になったとしても、それでもカシノニア王国の王位継承者なのだ。

 悪役令嬢ハイデマリーに大切なカシノニア王国とその国民を我が物にされて、これ以上大切なものをレティーツィアは壊されたくはないのだ。



(……大切な物を守るには、今の私には力がない。 でも、やるしかない! 私がやらなかったら、誰も悪役令嬢ハイデマリーのやった悪行を知らないままになる。 そして、私の家族の他にも悪役令嬢ハイデマリーのせいで苦しめられる人が出てくるかもしれない…!)



「…理論上でなら、私ならばできる他の方法はあるにはあるのだ……。

 たしかにその方法ならば、すぐにでも其方は精霊の目を養うことができるだろう。

 だがなぁ…、、私は今までその方法を試したこともないし、、ましてや其方におすすめもできないのだが…。

 …たとえ私が其方の婚約者でもな、、やはり順番は踏まえるべきというか、その、なんというか……。」


 ハルトムートは煮え切らないことをごにょごにょと言っている。

 でも、レティーツィアは覚悟を決めた!



(精霊の目を他より早く養う方法があるなら迷うことはないわ! 悪役令嬢ハイデマリーを倒すためなら、私は手段は選ばない!!)



「やります!

 精霊の目を養う方法があるなら、私はどんな方法でもやるわ!

 だから、私にその方法を教えてください!!」


 レティーツィアは決意を込めた目でハルトムートを見つめて戸惑うことなく言った。

 ハルトムートは考えている様子だったが、レティーツィアの決意のこもった様子を見て「…そうか。」と呟いた。



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