甘党騎士参上
宿屋。
王への謁見から数時間後。
「お前たち異世界も知らないのか!?」
「なんだよかいる、そんな驚くなや、あんたも江戸を知らなかったろ?それとおんなじだよ」
カイルと3人は打ち解けのんびりと会話を楽しんでいた。
カイルが言うことに異世界からの勇者はそれほど珍しくないらしく、そのほとんどが自らを異世界の勇者と名乗り、世界中を渡り歩いているらしかった。
今までの勇者が名乗ることに、日本や、地球、東京という言葉は聞いたことあるが江戸というのは初めてのケースらしかった。
「そういえば2人はだんごやといったな?だんごとは一体なんなのだ?」
「だんごってのはうめぇやつだよ、とにかくうまい。お茶とよく会うんだこれが」
陽色がそういうとカイルは、ほぉと興味ありげに声を出した。話を進めているうちにわかっていたのだがカイルはかなり甘いものが好きなようだった。
今もクッキーをつまみながら話している。
その甘い物好きは高身長でスタイル抜群なのが不思議なほどである。
「そのダンゴとやらは、今作れないのか?」
「材料がありゃ作るがよぉ手元にねぇし」
「お茶もお茶っぱがなきゃ出せないよ」
それを聞くとカイルは驚愕した。
地面に四つん這いに倒れ伏した。
真っ青な顔とオーラはかなりの落ち込みようを表していた。地面を拳で打ち付ける。
「俺は甘いものや菓子が好きなんだ!」
「知ってるよ」
陽色が刀の手入れをしながら呟いた。
そして何か考えたかと思うと、
「みたらし団子がいいかもな」
と言った。
「なんだそれは!」
「砂糖醤油の葛餡をかけた団子のことだよ、甘いぞ」
「サトウとは勇者か昔言っていたのを覚えている!大層甘甘いらしいではないかぁ.......!」
よだれを垂らすカイル。
こんなに自分の団子を食べたそうにしている人を見てそれを商品として生活している人間にとっては満足そうだった。是非食べさせてやりたい。こんな無一文のやつに食わせるよりは食べたいと思ってくれるこんな素晴らしい人間に食わせてやりたい。
永助はそう思った。
「なぁ君!エイスケといったな!きみのダンゴ屋は何処にあるんだよ」
「わりぃ!山のとことしか覚えてねぇでさ」
「ちくしょぉぉぉぉぉ!!!!」
金髪で赤い目をしたイケメンが地面に拳を打ち付ける姿はかなり奇妙なものだった。