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江戸の侍、団子屋とともに異世界を救う  作者: ハルあき
一章 江戸転移
4/6

侍、王国へ


エデルー王国。王都。

レンガ造りの橙色の城壁が空高くそびえ立つ。


「おいおい、永助よぉ、こいつはなんでぇ」

「俺に聞くなやぁ!全然江戸城と違うじゃねぇか」

「これが南蛮の文化.....!」


城壁を見ただけで驚く3人を勇者一行は驚きの目で見つめる。しばらくそのまま黙っていたが口を開く。


「あの、中に入りませんか?」

「それもそうだな!」


そう言って3人は王城の中へ入ろうとする。


「止まれ!そこの3人!」


門番らしき兵隊が槍を3人の前で構える。

赤い衣装に何かしらの紋章。

おそらくこの国のイメージカラー的なやつだろう。


「なんでぇ!俺らがなんかしたってんのかい?」

「見たことない服装の怪しいヤツめ!何者だ、貴様ら!」


自己紹介をしろと勘違いした陽色が一歩前に出て語り始める。


「よくぞ聞いてくれた!我が名は陽.....」

「黙れ!前に出るな!」

「名乗れって言ったのはそっちじゃあねぇか!」


うるさいと言わんばかりに槍を構える。


「あの門番さん?」

「これはこれは勇者殿、どうかされましたか?」


3人に接するときとは打って変わり、柔らかな口調で接する門番。

勇者はそれほどまでにこの世界で強いらしい。


「その3人、命の恩人でして......」

「!?それはそれは、大変申し訳ないことをいたしました!本当に失礼しました!」


門番は勇者の話を聞くと3人を解放し謝る。


「これはこれは大変申し訳ないことをした」

「金くれたら許してやるよ」

「陽色さん!はしたないからやめてくれよ!」

「おらいくぞ」


目が金になった陽色の襟を掴み永助が引きずり歩く。


城下町。

さまざまな人間がいるようだった。

冒険家、商人などなど。

人間だけではない。

複数の種族のいる町だ。


「なんだあの人!耳がまるで獣じゃねぇか!」

「お兄、あっちの人見て!耳が長〜い!」


はしゃぐ永助は陽色の襟をはなしてしまう。

陽色は強く頭を打ち付けた。

頭をこすりながら起き上がる陽色。


まるで子供のようにはしゃぐ2人を勇者一行は微笑ましい目で見ていた。


「悪いねぇ、助けてもらったみたいでさぁ」

「いいえ、構いませんよ」


女の柔らかな笑みを受け自然と顔のほころぶ永助と陽色を雪が腹に一撃くらわせ落ち着かせる。


「すいません、いきましょうか」

「え、えぇ」


たじろぐ女をよそ目に、2人の襟を掴み雪は歩き出した。



数分後、王城前。


「ユキさん、ここが王城です?素敵でしょう?」

「わぁぁ......」


雪が手を胸の前に持ってきたことにより2人は頭を地面に打ち付けられる。


「いてぇなぁ雪ちゃん」

「陽色さん!見てよ!お兄も!」


「「てぇへんじゃねぇか」」


そびえ立つのは巨大な城。

江戸城と同じかそれ以上ある城に驚きを隠せない3人。江戸には存在しないそれを見せられたら驚くしかあるまい。


「さぁ、これがエデルー王城です、中へ」

「えでるう、なんて国なんでぇ」


3人はおぼつかない足取り、感嘆の念を込めた声で驚きながら王城へ入っていく。



王の間。

跪く5人を横目に3人は棒立ち。

剣士のノラリアが3人の手を引き座らせる。


「よくぞ戻った勇者たちよ」

「お褒めの言葉、ありがとうございます」

「して、そこの3人は何者だ」

「!?」


陽色は待っていたとばかりに顔をあげ、一歩前に出て自己紹介をする。


「よくぞ聞いてくれました、俺は江戸の侍!人呼んで紅蓮の陽色さまだい!」

「ふむ、そうか、そちらの2人は」

「あっしは団子屋の永助でさぁ、こっちは妹の雪」

「僕らが竜に苦戦しているところをこの陽色さんに助けていただいたんです」

「ふむ」


陽色は自己紹介を気に入ってもらえなかったことに、不満そうに座り直す。

それを見てニヤニヤ笑う永助を頬を膨らませた雪が頭を叩く。

今度は陽色がニヤニヤし出した。


「お主ら、異世界のものかな?」

「は?」


異世界という単語は現代で馴染みがあれど、江戸の人間は初めて聞く言葉だった。


「『いせかい』あってのが何かは知りやしませんけど、俺たちは江戸っちゅーところ来たもんです」

「なるほど、エドという国か、聞いたことがない」

「江戸をご存知のねぇんですか?」

「ああ、知らん、無知とは恥ずかしいが異世界の文化とあらば別。知らぬのが普通だ」


王様は肘掛にかけた手を起こして顎をさする。


「勇者よしばらく休むがよい、竜との戦ではかなり体力を消耗したろう、行って良いぞ」

「はい、助かります、失礼します」


そういうと勇者一行は立ち上がり出て行った。


「俺たちはどうなるんでさ?」

「ふむ、それなんじゃがな」


王は近くにいた男に何かを耳打ちしたかと思うと、大きな紙切れを地面に広げさせた。


「これはこの王国の地図じゃ」

「はぇーすげぇひろいじゃねぇか」


陽色は口を開け感心したように言った。


「お前たちはエドという場所、おそらく異世界から来たと思われる。そいつを解決するために是非ホルナの丘にある研究所は向かってもらいたいのだ」

「ほるなの丘ですか、でも俺たちは道をしらねぇんですがどうしやしょ」

「任せろ、部下を1人つかせる」


そういうと、3人の前に1人の男が現れた。

金の髪は窓から差し伸べる日差しにより照らされ輝いている。鎧もピカピカだ。


「そいつは名をカイル、腕の立つ騎士だ、役にたつだろう。出口にはもう1人待機させておくから楽しみにしておけ」


王がそういうとカイルは前に出て手を指しのべる。


「俺はカイルだ、よろしく頼む」

「俺はえどのさむ.....」

「この赤毛は陽色、俺は永助でこの子が雪!」

「雪です」


全く同じ自己紹介をしようとした陽色の口を押さえ永助が3人分の自己紹介をする。


「出発は明日出ると良い、頑張るのじゃぞ」

「はッ、ほらお前らも」


姿勢を正し、王へ敬礼したカイルが他の2人にも敬礼するように促す。


そして4人は王城を出て行った。


「うむ、江戸の者か......」


王様はぽつりと呟いた後王座を立ち上がった。






続くと思います(たぶん)

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