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童話国物語  作者: 馬論
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三匹の子ブタ

僕は三匹の子ブタの世界の宙に浮んでいた。


この童話は、狼が三匹の子ブタを食べようとする話だ。



 昔、山の麓近くに3匹の子ブタがお母さんブタと一緒に住んでいました。


 ある日、お母さんブタが言いました。

「今日は長男子ブタと散歩するわよ」

 「やったー、俺と母さんで散歩だ」


次の日、お母さんブタは次男子ブタと散歩に出かけました。


また次の日、お母さんブタが末子ブタを散歩に誘います。

「ねえ、お母さん。

お兄ちゃんたちは、どうして家に帰って来ないの?」

「私が良い所へ連れて行ったから、まだ二人共夢中で散歩中よ」

「そうなんだ。

ボクも今日、そこへ行けるんだね」

「そうよ楽しい所だから、アナタもきっと帰りたくなくなるわよ」


末子ブタはお母さんブタに連れられて、山へドンドンとのぼって行きます。

しばらく二人で歩き続けて、崖に成ってる場所へと到着しました。

「ほら、ここから下の森を見て御覧ごらん

お兄ちゃんたちが夢中で散歩しているのが、良く見えるわよ」


末子ブタが崖の先へと歩いて行き、怖々と崖下の森を覗いて見ますが、お兄ちゃんたちの姿が見えません。


その時、末子ブタの背中を誰かが押し出したので、末子ブタはその勢いのまま崖下へと、落下して行きました。


ザザザッ ザザッ ドサッ

森の沢山の枝にブツかって落ちたせいで、落下の衝撃が緩和かんわされ、地面に落ちた時に大怪我おおけがをする事は有りませんでしたが、カラダのアチコチが痛みました。


末子ブタは崖上を見ましたが、既にお母さんブタの姿は有りません。

「そうか母さんは、ボクたちをこの森に捨てたんだ」


末子ブタは痛むカラダで、兄たちを探す為に森の中を歩き回りました。


少し歩いて行くと、森が少し開けた場所に到着しました。

そこにはわらで造られた家が、崩れた状態で放置されており、その側にはブタの骨が転がっていました。

「この大きさは、一番上の兄さんの骨だな。

きっとこの森に住む狼に、食べられてしまったんだ」


末子ブタは次の兄を探す為に、また森の中を歩き出しました。


しばらく歩いて行くと、森が大きく開けた場所に出て来ました。

そこにも木の枝で造られた家が、崩れた状態で放置されていて、やはり側にはブタの骨が転がっています。

「これは二番目の兄さんの骨だ。

やはり森の狼に、食べられたのか」


末子ブタは歩き続けて森から出て来ると、草原の中を流れる川の近くまで、やって来ました。

 「よし、ボクはここに家を造ろう。

藁の家では狼に直ぐに壊されて食べられてしまうし、木の枝で家を造ってもやはり同じ目にうだろう。

だからボクは川原かわはらの石を集めて、石で家を造ろう」


末子ブタは川原の石を積み重ね、泥で隙間すきまを埋めて、苦労して家を造りました。


翌日、臭いをぎながら狼が、川原へとやって来ました。

「ここら辺が特にブタの臭いがするぞ。

きっと近くにブタが居るのに違いない」


狼は少し上流へ歩いて行き、そこで石で造られた家を発見しました。

「藁、木の枝ときて、今度は石で家を造ったか。

確かにこれなら頑丈がんじょうで、壊すのも楽ではなさそうだ」


 狼は石の家の周りをグルッと一周しましたが、どこにも入口や窓が見当みあたりません。

狼が家の上を見ると、そこには大きな煙突えんとつが見えました。

 「ははは、バカだな。

煙突から簡単に家に入れるじゃないか」


狼が家の屋根にのぼり、煙突の中をのぞいて見ると、家の中には藁が沢山詰め込まれています。

「なんだここのブタは、藁をベッドにしているのか?

そうか煙突から出這入ではいりする為の、クッションかも知れないな」


狼が石の家の中へ入ってしまうと、末子ブタが近くの草むらから姿を現し、そっと家の屋根に上りました。

手には燃える小枝が有り、それをポイッと煙突の中へと投げ入れます。


「ぎゃー、火事だ!」

火が家の中の藁に一瞬で燃え移り、さらに炎が大きく広がって、石の家の中はまるでかまどのような熱さです。


狼が逃げ出そうと、必死に煙突を登って来ましたが、出口には末子ブタが棍棒を持って待ち構えていました。


ボカッ ボカッ

狼は頭を何度か棍棒で殴られ、また家の中へと落っこちて行きました。

「狼め、これは兄さんたちの仇打かたきうちだ!」


やがて狼の毛にも火が燃え移り、煙突を登って来る狼の顔も死に物狂いで、狂気に取りつかれています。

末子ブタが棍棒で何度殴っても、煙突の出口から頭を出そうと、必死に抵抗しています。


末子ブタはまるでホームランを打つように、狼の頭を横からフルスイングしました。

流石さすがの狼も、この一撃には撃沈しました。

頭をクラクラさせながら、煙突の下の火の海へと沈んで行き、やがて死んでしまいました。


それを見て末子ブタは、棍棒を高く持ち上げ歓声を上げます。

「狼をったぞ!」




〈あれっ、変身しないよ。

今回は僕の出番はないのかな?〉




 昔、山の麓近くに3匹の狼がお母さん狼と一緒に住んでいました。


 ある日、お母さん狼が言いました。

「もうアナタたちは独立して、自分の力で生きて行きなさい。

それが狼の生き方よ」

 「分かったよ、母さん。

俺たちはこの家を出て、自分たちの力だけで暮らして行くよ。母さんも元気でな」


3匹の狼たちは深い森の中へと入って行きました。

 少し歩いて行くと、森が少しだけ開けた場所が有りました。


「よし、俺はここに藁の家を造って住むよ」

長男の狼がそう言いました。


残りの2匹の狼が、また森の中を歩き出します。


しばらく歩くと、今度は森が大きく開けた場所が有りました。


「よし、オレはここに木の枝を使って家を造り、頑張って暮らして行くよ」

次男の狼がそう言いました。


末の狼は歩き続けると、森から出てしまいました。

さらに歩くと、川の近くまで来てしまいました。

 「よし、ボクはここに家を造ろう。

川原の石を集めて、石で家を造るんだ。

きっと頑丈な家に成るぞ」


末の狼は川原の石を積み重ね、少々の攻撃ではビクともしない、厚さ1メートルぐらいの石壁を造りました。

勿論屋根も頑丈に造っています。

「これなら台風が来ても平気だな」



 

 森が少し開けた所に、藁の家が有りました。

ある日、そこにあの末の子ブタがやって来ました。


「狼め、まだりずに、この森で暮らすつもりか!」

 末の子ブタは弓を取り出すと、火矢を藁の家にりました。

藁に突き刺さった火矢が燃え広がり、藁の家はアッと云う間に大火事に成りました。


「ぎゃー、藁の家が火事だ。

助けてくれ!」

家の中から長男の狼が飛び出し、そのまま逃げ出して行きました。


末の子ブタが逃げた狼の後を追いかけて行くと、森が大きく開けた所に木の枝の家が有ります。


「狼め、それでも懲りずに、この森に居座るのか!」

 末の子ブタは弓を取り出すと、火矢を木の枝の家に射りました。

木の枝の屋根に突き刺さった火矢が、ゆっくりと燃え広がり、木の枝の家もやがて大火事に成りました。


「ぎゃー、木の枝の家も火事だ。

助けてくれ!」

家の中から長男の狼と次男の狼が飛び出して来て、2匹一緒に逃げ出して行きました。


末の子ブタはまた逃げた狼たちの後を追いかけて行きます。

今度は川原の近くに、石の家が有りました。


 末の子ブタは今度も弓を取り出すと、火矢を石の家に向って射りましたが、火矢は石の屋根に弾かれてしまい、燃える事は有りません。


「クソ、それなら棍棒で殴って壊してやる」

末の子ブタは棍棒を持ち、ホームランを打つようにフルスイングしました。


ガツッ

「ぎゃっ、手が痛い!」

末の子ブタはあまりの痛さに、手に持つ棍棒を落としてしまいました。


石の家の中から、狼たちの声が聞こえて来ました。

「ぎゃはは、『三匹の子ブタ』の教訓きょうくんは、家造りは手間をかけ、安全で頑丈に造る方が賢明けんめいだと云う話だろが」


その時、突然地面が縦に大きく揺れます。

おそらく直下型の大地震です。


揺れはドンドンと大きくなり、頑丈に造られたブ厚い石壁に亀裂を入れ、厚い石屋根も落下し始め、狼たちの頭を直撃しました。


地震の大きな揺れが収まった時、石の下敷きに成って狼たちは死んでいました。

藁や木の枝の家なら、例え大地震で崩れて来ても、狼たちが死ぬ事はなかったろうに。


末の子ブタは、狼たちの不運を哀れに思ってしまいました。




 そこにまた1匹の狼が現れました。

 「なんで童話は、狼ばかりが悪役なんだよ。

狼は肉食だから、肉しか食べれないんだよ。

それのどこが悪いんだよ。


それじゃ、あんまりじゃないか」



 +  -  ×  ÷  =  ¥



謎の狼がなげく中、僕は末の子ブタに変身していた。

〈この狼は、一体どこから来たんだ?〉


「アナタはどこの狼さんですか?」

わしは『赤ずきんちゃん』に出て来る狼じゃ。

この『三匹の子ブタ』の話には全然関係ないんじゃが、あまりにもこの話の狼が哀れでな。

つい我慢がまん出来ずに、出て来てしもうたんじゃ。

何か狼が悪者に成らずに済む方法は、ないものかの?」


僕はしばらく考えた後で、ひとつのアイデアをこの狼に提供した。




ある日、赤ずきんちゃん(子ブタの僕が赤い頭巾ずきんを被っている)が森を歩いていると、そこに子狼が現れました。

「赤ずきんちゃん、どこへ行くでしゅか?」

「これからお婆さんの家へ、食事を届けに行くのよ」

「ボクも付いて行って、良いでしゅか?」

「あら、ダメよ。

アナタはまだ小さいでしょう?

また今度にしましょう」

「はーい、分かりましたでしゅ」

子狼は自分の家へ帰って行きました。




狼の名の前にただ『子』を付けただけだが、あの狼は気に入ったのか、喜んで帰って行った。


問題はどう見ても、子狼には見えない所だな。



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