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作者: 終。

くだらない思い付きで書きなぐったお話です。

気づいたら25時越えてました。

適当に書いた短編です。

自分でも読み返していません。そんなことより眠いし。

もしそんなお話を読んでくれたならあなたはとても好奇心があるのか暇なのか。





今日も。


昨日も。


僕は…。



 高校生2年生のテツヤは今夜も悩んでいた。

あたたかな布団の中で、何度ももぞもぞ体勢を変えて、目を閉じては開けて。


「眠れない。」


静かな部屋に響きもしない程度の小さな呟き。

寝る前のスマホタイムはとっくに終わっている。

それも瞼が重くなってきたからだ。

それなのにいざスマホを閉じ瞼を閉じて静寂に包まれると先ほどまでの眠気は何の役にも立たず、テツヤの頭には今日のテレビのBGMが流れ出す。


気になって時計を見ると2時手前。

スマホタイムを終わらせたのは1時手前。


何してんだ。


そう考えずにはいられない。

はやく眠りにつきたいのにそんなこと考えれば考えるほど頭が冴えてきてしまう。

頭を空っぽにして全身のスイッチをオフになんてできそうにない。


 別に明日何か特別な用事があるわけでもない。寝坊の可能性を心配しているわけでもない。

ただ純粋に寝たいのだ。 しかしこういうものは不思議で寝れない寝れないと思っていてもいつの間にか眠りについているものだ。



 翌朝目を覚ましたテツヤは頬に冷たい空気を感じた。

眠い目をこすると手が濡れた。



寝ぼけ半分の頭ではリアクションが取れない。

とりあえず顔を洗いに鏡の前に立って初めて自分の目がひどく腫れていて赤くなっている事に気が付いた。








 その日の夜もテツヤは眠れないで困っていた。そして今日一日腫れた目でいたために友達にも不審な顔や心配をされたがテツヤには身に覚えが全くない。

そもそもテツヤは泣いたくらいで目は赤くならない。そもそも泣くことも少ない。悲しいときでも感動している時でもそもそもの感情の幅が狭いので泣くなんてことは他人事だ。

ここ数日これについても考えてしまうせいで冴えてしまう。


寝たいんだけどなぁ。


瞼を閉じていても頭はフル回転しているかのようにいろいろなことを考えてしまう。

そしてその日は夢を見た。


朝起きて夢を見ていたことはわかったが内容はなぜか覚えていなかった。

そして今日もテツヤは目を腫らした。








ねぇ笑って。前みたいに。


女の声が聞こえた。知っている気がするその声を必死に思い出そうとするけど顔が浮かんでこない。テツヤはその声を聴き続けた。


私はあなたと遊べて楽しかった。


知っている気がするけれど。ちょっと違うような。

女の子はこちらに背を向けている。わかるのは真っ黒なワンピースを着ている。


私はあなたに拾ってもらえて本当に良かった。



目が覚めて体を起こし時刻を確認すると時計は3時を少し回っていた。寝る前の記憶では時計は1時45分を指していたからまだ1時間ちょっとしか眠れていない。

頬を触らなくても自分が泣いていることが分かった。瞼が重い。眠気ではなく涙のせいで。


あれは。あの子は。

最後の言葉は…。








 小学生のころからテツヤは人見知りで友達が少なかった。幼稚園にいた頃は他人と話すことに緊張なんて感じていなかった。小学校に上がりクラスが変わるというイベントを経験し友達が遠くなるのを感じた少年はせっかく作ったものがなくなってしまうという怖さを感じた。

それはぼんやりとした怖さだった。でも怖さに立ち向かうには勇気が必要で少年はまだ勇気の蕾が育っていなかった。


 いつの間にか友達の作り方がわからなくなり、声をかけるのに戸惑いが表れ独りぼっちが当たり前になった。それでも小学校の子供は分け隔てなく声をかけてくる。いつもすぐにおしゃべりは終わってしまうし遊びの誘いを受けたこともないが、気にならないでいた。と思い込むようにしていた。

寂しいということに立ち向かう勇気も育っていないからしかたない。


 ある日の帰り道、家の前の道路で黒い塊が転がっていた。

よくごみが散らかっている。黒くて大きくて嘴が大きいやつのせいで。

でも転がっていたのはごみじゃなかった。

小さな猫だった。小学5年生のテツヤの両手に収まるくらいの子猫だった。


 テツヤは急いで家に帰り母を呼んだ。両手に収めた子猫から弱弱しく伝わる鼓動がだんだん大きく聞こえ怖くなってくる。家の前の道路には黒っぽくて赤っぽい液体が流れていた。子猫の血だとすぐに思った。

母は驚いた様子でテツヤと黒い塊を確認するとすぐに病院へ連れて行ってくれた。



 それから黒い塊はちゃんと猫になってテツヤの親友になった。学校から帰ると必ず待ってくれている。一緒に散歩に行って家の中に上がる前に足を拭いてやった。ご飯を食べて、暖かい陽にあたりながら寝っ転がって一緒に遊んだりそのままお昼寝したり。


なぁミー。お前僕といて楽しいのか?


黒いちょっと大きくなった猫はミーと一声。


そうか。


聞こえた答えはイエスかノーかわからない。それでも今そばにいてくれていることが、今は寂しくないことが嬉しく思えた。




 だがミーはある日いなくなってしまった。散歩に行ったのだろうと思ったが夜になっても帰ってこなかった。ミーのお皿にはまだ一口も減っていないご飯がある。


そして次の日家の前の道路でもう両手には収まらない黒い塊が転がっていた。








私はあなたに拾ってもらえて本当に良かった。



あれは。そうか。君なのか。


 夢から覚めても涙は一向に止まらない。それどころか次から次へと溢れてくる。

あの日突然友達を失ってからテツヤは心から笑わなくなった。

黒い塊が転がっているのをみてから泣かなくなった。


勇気の蕾はとっくに咲いていたと思っていたけれど実はもうとっくに枯れてしまっていた。

新しい世界への怖さにも独りぼっちの寂しさにも立ち向かえないあの少年はそれらに背を向けて曖昧な世界に逃げ隠れることにした。

いわゆる友達的な人、クラスメイト。自分から話しかけることはないので感情を表すことはほとんどない。空気のような曖昧でよくわからない世界で生きてきた。なんとなくの時の流れに溶け込んで。



笑って。

ミー


 テツヤの中で2つの声が重なった。あの声は知らないけれど知っている声だった。女の子の顔はわからないけれど知っている。今テツヤに見えている黒い塊は綺麗に前足をそろえて尻尾をくねくねさせている。忘れもしない親友の姿を思いながらテツヤは嗚咽が堪えられなかった。


 あの時ショックで泣けなかった分も。怖さに立ち向かえなかった悔しさの分も。寂しさに耐えられなかった分も。今までの全部全部が混ざっていろんな感情がぐるぐるめぐる中で必死に泣いた。

そして黒い親友と過ごした楽しさや嬉しさを思い出した。



一番の友達は真っ黒だった。

何を考えているのかわからなかった。

突然いなくなってしまった。


それでも二人は楽しかった。笑うことが出来た。怖くなかった。




 テツヤは今度こそ泣き果てて腫れて赤くなった目をしていた。きっと朝になっても治っていないだろう。

逃げ込んだ曖昧な世界から踏み込んだ一歩を戻して背を向けていたものに正面から立ち向かう気になれた。親友が笑ってくれと言っている。なら笑いたい。あの楽しかった日々をこれからも送っていきたい。嬉しいと感じたい。



テツヤはもう一度体をベッドに沈め瞼を閉じた。世界が真っ黒になるとすぐに眠りにつけた。




 枯れたと思っていた勇気の蕾はまだ蕾のままであの頃と何も変わってなどいなかった。しかしよく見ると蕾があの頃より少しだけ大きく膨らんでいる。

誤字ありそうだなぁ。


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