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プロローグ

気がついたら少し豪華な部屋にいた。周りには高そうな絵画や置物、床には不思議な柄の絨毯が敷かれており、上からはシャンデリアの明かりが眩しく光っていた。しかし、この部屋には扉がない。そもそもなぜ僕がここにいるのだろうか。さっき死んだはずなのに。


「ねぇ、君・・・損な人生だったねぇ。」


突然後ろから声が聞こえた。振り替えってみると怪しげな男がいた。室内にいるのにも関わらず、ベージュ色のコート、帽子を身につけ、マフラーまで巻いている。帽子から見える髪は所々とびはねている。誰が見ても怪しい奴だと思うだろう。誰だ、と声に出そうとしたが、声が出なかった。


「あー、君喋れないから。考えるだけでこっちには伝わるから。まぁそんな事どうでもいいか。」


男は興味がなさそうに言い、先ほどまで無かったはずのソファーに座った。そして話始めた。


「まずは君の疑問に答えよう。確かに君は死んだ。それも他人を庇ってね。普通に考えてそれは素晴らしいことだ。人助けの精神とか言うやつだね。いやーなかなかできることじゃないねー本当に・・・最も愚かな死に方だ。」


突然口調が冷たくなった。確かに僕は人を庇って死んだ。それが愚かな事だと。どういう意味なんだ?。その口調のまま男は話を続けた。


「君ってさーほんとーにバカだよね。最後の最後まで他人のためにがんばってさー。人生のほとんどを他人のために費やして、自分のことはいつも後回し。そんな人生でよかったの?俺は絶対に嫌だねそんな人生。」


確かに僕は頼まれたら断れない性格だった。だけどそれを嫌に思ったことなんて一度もない。それどころか人を助けることが好きだった。だから今までの人生に悔いはない。


「まぁ価値観は人それぞれだし、周りから見れば君は優しくて頼りになる人だったんだろうね。でもどうだった、周りの奴等は君を助けてくれていたかい?」


何を言ってるんだ?人は助け合いながら生きていくものだろ。ちゃんと僕も助けられてきた。周りの人達と助け合いながら生きていたんだ。


「そうか・・・まぁ君がそう思うならいいんじゃないの。」


ところでお前は誰でここはどこなんだ。


「俺?俺は・・・まぁ観察者とでも名乗ろうかな。そしてここは俺の部屋。ここからいろんな奴を観てるんだけどね、偶然にも君が目にはいったんだよ。すこーし気になって観てたら・・・少しずつ怒りと憎しみが沸き上がってきたんだよ。」


僕の人生に怒りと憎しみ?


「あぁ、君にじゃなくて君の周りにね。まぁ君はなんとも思ってないみたいだから特に何も言わないでおくよ。さて、本題に入ろう。君は死んだ。普通なら天国か地獄に送られる場所に行くんだけど俺が勝手にこっちに連れてきたから君はもうそこにはいけないんだ。」


つまり僕はお前のせいで天国にも地獄にも行けなくなったってことか?


「まぁーそーなるね。あと君なら確実に天国行きだから。」


おい。じゃあ僕はこれからどうなるんだ。ずっとお前とここに居ることになるのか?


「いや、君には転生してもらうことにしたよ。」


転生?よくネット小説とかにある転生のことか?


「そのとうり。話が早くて助かるよ。簡単に言うと転生先はよくある剣と魔法のファンタジーの世界。魔物とかいるから気をつけてね。あとどこに生まれるかはランダムだから。あと記憶も消されてもらう。・・・おっともう時間がないから転生させるよ。次の人生は自分優先で生きてみなよ。そっちの方が楽しいに決まっているからね!じゃあ頑張ってねー。」


もうちょっと詳しく説明しろや、と思ったがだんだんと意識が薄れていった。










「さて、あとはこの力を渡してっと。よし、これで完了と。あーあ、人って不平等だねー。こーんな面白い奴が早く死ぬなんてさ。あいつも可哀想だよ、周りにロクな奴がいなかったからなー。こんな他人を利用することばっか考える奴ばっかで。さて、次はどんな人生を歩むのかな?楽しませてもらうよ。」



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