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第9話

ふと目を覚ましてみると、時刻はまだ9時ほど、昨日2時に寝たから、私は7時間も寝てしまったのかと、自分で驚いてから、下に降りる。

私の家は両親どちらとも忙しく、というか、両親がほとんど一緒に働いているような物なので、滅多に家族全員が揃うことはない。


よって、ご飯などは私が作って食べることも多いのだが、リビングを開けると、ホットケーキの甘い香りが漂ってくる。

そこにいたのは、


「あ、おふぁよー」

「もの口に入れて喋るのをやめなさい。紫織、てか、なんでここにいるの?貴方、いつ東京に来たのよ」


彼女、紫織はもきゅもきゅと、口に含んだホットケーキを飲み込んでから、


「昨日お父さんが、連れて来てくれたの」

「ああ、てことはアリサさんも?」

「うん」


思わずため息を吐き出す。うちの家庭事情は少し、いや人様には見せられないレベルで変わっている。

まずお母さんとお父さんが結婚してない、そして、お母さんとお父さんの関係は、お父さんの結婚相手、つまりアリサさんが承認しているという、現代日本では珍しい愛人関係になっているというとんでもない家族関係だ。

ちなみに紫織は私の異母姉妹である。

お父さんの結婚相手のロシア人の血を継いでいるため、白に近い金髪をした私の妹は半端じゃないレベルでかわいい。

しかも、


「あ、そうだ、美咲ねえの分も作っておいたから、それ食べて」

「ありがとね」


家事全般も出来て、性格もいいという完璧っぷり。

悪い虫がつかないか心配である。

私がご飯を食べていると、紫織がここに来た目的を教えてくれた。

どうやら、一週間後のVEのハーフダイブ、つまりAR、現実世界の体を動かして、ゲームをするイベントに参加するために来たらしい。そういえば、最近紫織もVEを買ったと言っていたなと、思い出す。

そこで、ふと思い立ち、


「ねえ、そのイベント私も参加するんだけど、もしチーム戦とかだったら手を組もう?」

「いいよー」

「早!」


提案すれば、即座に了承。

まあ、断る理由もないしね、と軽く言ってくる。

それもそっかと思いながら、パンケーキを食べていると、紫織が今やっているゲーム、『innocence world on-line』の話をして来た。そういえば、彼女はそっちをやってるんだったなと思いつつ話を聞く。

私がご飯を食べ終わってから暫くは、VEの話をして過ごしていた。


時刻が11時になり、友達との約束があるため一度ログインすると伝えると、


「じゃあ、私もー」


紫織も一緒にログインするとのことで、お互いクッションを床に置いてから、その上でログインする。





「おっはよー」

「どうもです」

「おは....これは何?」


ログインしてみれば、私の立っている周りに異常な数のメロンソーダが並んでいた。

アリアが笑いながら、


「あなたのログアウト位置がきれいにその床のライン上だったから、その位置覚えてたのよね、それでその周りにメロンソーダ置きまくってるってわけ。」

「何の意味が?」

「んー?儀式?」


なぜ、やってる本人が疑問系なのか甚だ疑問だが、まあ深い意味はない為、適当にいくつか飲んで道を開ける。

すると、


「あー、飲んだからお金払いなさいよねー」

「アリアが勝手に置いたんでしょ」


冗談混じりにからかってくるアリアをスルーして、オープンエリアを出る。

リリィとアリアが付いて来ていることを確認してから、


「じゃあ、武器師のところにいきましょうか」

「おー」

「やー」





「お邪魔しまーす」

「え、ここ?」

「ここですか?」


入った店は街の北東部に位置する『restore』と雑な文字で書かれたところだ。

しかし、入ってみても誰もいない。

留守かなと思いつつ、見回していると、


「よう、冷やかしに来たんなら帰りな」


奥から、やたらと低い声が聞こえてくる。どうやらいたようだ。

イヴは安堵しながら、


「そうやってた暗がりから見てると、だれが来たかわかんないでしょ。冷やかしじゃないっての」

「ん?その声はイヴか」


そう言ってようやく奥から出て来たのは身長2mはあるんじゃないかという巨体。

隆起した筋肉が服の上からでもわかる頭に手ぬぐいをした男だった。

男は軽く首を回してから、問いかけてくる。


「なんか用か?」

「こいつの修理と、未鑑定品の鑑定。」


メニューを開いて目の前の男に表示してみせる。


「ほう、『サイレントヴァルキリー』ね.....て、耐久値34000だと?お前が2発もあれを使う必要があったってのか?」

「新しいレイドクエストだよ、ちなみにレイドクエスト報酬がそれなの」


そこまで聞いてから、男はニヤリと笑い、言ってくる。


「へえ、それは面白そうじゃねえか。2時間ほど待っとけ。それでメンテも鑑定も終わらせてやるよ」

「あれ?もうスキル熟練度マックスだったんじゃないの?」

「へっ!プレイヤースキルの見せ所ってやつだよ」


と、そこまでの会話が終わったところで、リリィが、


「あの、どちら様ですか?」


巨漢は、おっといけねえと、笑ってから、


「俺はヴァインス、武器師兼、ミニガン使いだ」


そこでイヴが補足を入れるかのように、


「ついでに初代『GOC』、このゲームの世界大会のベスト4」




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