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第6話

相手の体がでかいとは言っても、私の隠れている廃墟よりは小さい。

つまり、足元を取られた場合狙撃が当たらないので、まだ弾倉に残る4発を全て撃発。全弾直撃させた。

打ち終わるや否や、即座にリロード、セットを完了。その時点で相手との距離は1キロほどにまで詰められている。

想像以上に早い。無意識のうちに軽く舌打ちしてから、腰にある『電磁グレネード』を投擲、これの効果は、機械属性を持つエネミーに対して、錯乱状態を付与だ。


『ダーク・オーファルス』の胸部装甲にぶつかると同時に微弱な雷エフェクトが走り、敵がその姿勢を崩して前のめりに倒れこんだ。

高速移動状態からの転倒のため、砂を撒き散らしながら、派手に転がる。

そこまで確認してから、重力軽減魔法『グラビティアウト』を使用。

そして、廃墟の7階、地上35メートルからの紐なしバンジーで飛び降りた。

このまま落ちれば、落下ダメージで致命傷となってしまうが、先程の魔法で落下ダメージを30秒間だけ無視出来るので問題ない。

だが、倒れていた敵が錯乱状態から復帰し、こちらへとレーザーの銃口を向ける。

想定よりも早い復帰。しかも、落下ダメージを減らすための魔法のせいでイヴの滞空時間は長くなってしまっている。

つまり、この至近距離ではこの攻撃を避けることは不可能。

しかし、それでもイヴには....『紫電』には負けるつもりなど毛頭ない。

避けられないのならば、相殺してしまえばいい。この愛銃、『ヴァルファーレオーディン』にはそれができるだけの能力がある。


このゲーム内では、銃本体の性能とは別に、魔法をかけることにより、サイレンサーやロングバレルの効果、果ては徹甲弾などの弾丸の変化なども行える。

その中でも特にプレイヤーの心を引いたのは魔法を込めて作り出す『魔法弾』を使えるという点。

雷であれば、障害物などを貫くための貫通性の上昇。氷であれば、着弾点を凍らせる他に、弾速の上昇など、効果は様々だ。


しかし、当然制限もあるわけで武器に同時付与が可能な魔法の数は決まっている。

基本的につけることが可能な数は2〜4つ。

レアリティの高い武器であれば5や6なども可能と言った程度だ。

だが、『ヴァルファーレオーディン』に限ってはその限りでは無い。

この武器はいくつか付与することが出来ない魔法がある。それはサイレンサーであったり、ラピッドファイアであるといった非常に有用な効果を持つ魔法だ。

しかし、故にこの武器には12個までの魔法付与が許されている。


イヴは敵が銃口を向けて、発射体勢を整えるまでの間に、貫通力を上げるための『雷』属性付与を6つ、威力上昇のための『炎』属性付与を6つ発動して、一発の弾丸に込める。

そして、必殺の意思を込めて、叫びトリガーを引いた。


「いっけぇえええ!!!」


鳴り響く、稲妻のごとき轟音。通常の10倍はあるであろう巨大なマズルフラッシュ。

そして、敵のレーザー発射とイヴがトリガーを引くのは奇しくも全くの同時であった。



決着は瞬きよりも早く終わる。

果たして、弾丸は光の奔流に風穴を開けて、『ダーク・オーファルス』の左腕ごと吹き飛ばした。





イヴと『ダーク・オーファルス』が接敵する少し前、アリア達がリーダーのシュウを筆頭に、移動速度上昇魔法をかけて、『ダーク・オーファルス』を追いかける。

すると、4度ほどよろめいた後に、唐突に倒れて転がった。

どうやら、イヴが上手くやっているらしい。

アリアが安堵し、追いつくべく、走る速度をさらに上げようとした瞬間、廃墟から人影が飛び降りるのが見える。

そして、それと同時に、『ダーク・オーファルス』がその人影へと左腕を向けるのも確認。

あれでは避けられない!

己の移動速度限界をもどかしく思うが、どう見たって間に合わない。

そして、レーザーが放たれた。

しかし、その直後レーザーを放った敵の左腕が逆に壊れるというとんでもない事態を目にして、確信する。


イヴはもうこのまま決めるつもりだ、と。



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