第2話
一応、私の作品の『innocence(略)』の方のパラレル作品です。番外編みたいなもんですけど、この次描く予定のinnocenceの方の続きの伏線もあるので読んでいただけるとうれしいです。
「流石イヴ、もとい『紫電』ね!」
「ちょっとやめてよね、あんまり悪目立ちしたくないんだから」
私が決めた一撃によって、相手のカケージ、つまり生き返ることのできる上限回数を0にしたので、現在私たちは、ゲーム内のオープンエリアで話している。
アリアにいやいや私が返事を返していると、もう一人の私のフレンド、リリィも笑いながら、
「『紫電』は一人で戦況ひっくり返しますもんねー、いやー流石ですわー」
同様にからかってくる。流石にイラっとして、私はリリィに意趣返しで、彼女のリアル情報でからかうことにした。
「そうだね、我が校のドS嬢王様。」
「うわ!?ごめんごめん!それを今言うのはやめて〜」
私の苦しみがわかったか、とばかりにその懇願を知らんぷりして、目の前のジュースを飲む。
実際にリアルの喉が潤うわけではないが、脳内を通して、私の味覚を刺激するりんごの味は限りなく再現されている。
私は一口飲んでからアリアの方をジロリと見るが、なんの悪口も思いつかない。
彼女は一瞬首をかしげるが、即座に納得したのか、
「いやー、私はあなた達みたいに悪目立ちしないからね〜」
得意げに言った瞬間、私とリリィは同時に言っていた。
「「いつか絶対泣かす!」」
アリアがやってみろーと、楽しそうにケラケラ笑っていると、私の目の前に警告が出てくる。
その内容は、
「あ、ごめん私夜ご飯だから、一回落ちるね。10時くらいにもう一回ログインする」
「おっけー」
「じゃあ、私もそれくらいにしよっかなー」
私がそう伝えると、アリア、リリィの順に返事を返してくる。
二人に見送られながら、私は一度ゲームからログアウトした。
目を開けてみると、12月半ばにも関わらず、エアコンにより適温に調整されている部屋にゲーム開始前は付いていなかった電気がついていることに気づいた。ちらりと、ドアの方を見てみると、
「ハハッ!起きた?」
甲高い声でミッ○ーの声真似をしながら、立つ成人男性、つまり私のお父さんがいた。
ジト目になりながら、
「何してるの?お父さん」
と、聴くと彼は、
「ユーモアがあって楽しいだろ?」
ニヤリと笑いながら、わたしに言ってくる。若干おもしろいと思ってしまったわたしは、照れ隠しで、
「全然」
と一言言ってから、ベッドから起き上がって部屋を出る。すれ違いざまお父さんが、
「口元にやけてんぞ」
と、言ってきた。気恥ずかしくなってわたしは、
「うっさい!このバカ!」
「ブベラッ!?」
腹に一発正拳突きを叩き込んでから、階段を降りてリビングに向かった。お父さんの呻き声が背後から聞こえるが、知ったこっちゃない。
ご飯を食べてから、風呂に入った後、自分の部屋に入って、私はVRゲームのハード機となる指輪型のデバイス、『ヴァーチャル・エクステンション』通称、VEを右手中指に装着して、再び銃と魔法の世界へとログインした。
目を開けてみれば、ログアウトした地点、ゲーム内のオープンエリアにいた。
メニューを開いてまだ誰も来てないことを確認してから、NPCの店員さんを呼んで、マスカットジュースを頼む。
私のメニューに写っている、膨大な数の数字から170ほど引かれて、私の目の前にジュースが現れた。
それに口をつけながら、みんなを待っていると、
「あ、『紫電』さーん」
「だから、その名前で呼ぶなって.....て、あら」
「こんにちわー」
黒い髪の毛を後ろで束ねた美少年がそこにいた。