第18話
「っ!」
イヴの背後を光の奔流が駆け抜けて行く。
それを発射した本人は、
「ちっ、やっぱ当たんねえなこれ。俺の腕前が下手なのか、命中精度が悪いのか。お前はどう思う?」
などと、気軽な調子でこちらに問いかけてくる。イヴは、ポーカーフェイスを保ちつつ、
「さあね、私はそれ見たことないからわからない...なっ!」
轟音を鳴り響かせて『ヴァルファーレオーディン』を放つ。
結果は見ずに、
「シオン!目を閉じて!」
シオン、紫織のゲームアバターに指示をすると同時に、閃光弾を投げる。
瞬間、網膜を焼かんばかりに光が迸った。
ここは一旦逃げるしかない!
即座に判断し、シオンの手を取り、全力でゲートに飛び込む。
そして、
「うわっ!」
「きゃあ!」
ゲートに飛び込んだため、勢いよく、オープンエリアへと投げ出された私達の目の前には、
「エイン!アリア!」
「一体どうしたって言うのよ?あれ?もしかしてその子が妹ちゃん?」
「一体何があったらあのエリアから飛び出してくるって言うのさ、人食い魚にでも追われてたの?」
いつも遊ぶ私のフレンド、アリアとエインがいた。
「で?妹ちゃんにゲームのやり方教えるっての嘘でしょ?」
唐突にアリアが切り出してくる。こんな風に確信を持って彼女が聞いてくるということは、誤魔化しは意味が無いだろう。
そう判断して、
「まあね、ところでどうしてわかったか教えてもらっても?」
嘘は、認めることにする。
すると、
「装備」
一言、呟く。
その一言で即座に自分の考えの無さに気づいた。まあ、経験者でも無いのに全身フル装備とか無いよね。それも工作兵タイプだから、私の装備を貸してるとかもあり得なくなってる。
よくもまあ、そこまで見てるもんだなと、感心してると、
「あのさ、私たちに手伝えることない?」
アリアが提案してくる。
私が嘘をつくということはあまりない為、向こうも私達が何かやっているということはわかるのだろう。
けれど、
「ごめん、これは私達の問題だから.....」
私が丁寧に、それでも明確な拒絶の言葉を言うと、彼女は、わかってたとばかりに、
「そっか.....なら仕方ないね。行くよ!エイン」
「え、ちょっ、あっさりしすぎじゃない!?」
立ち上がり、スタスタと歩き去って行った。
少し悪いとは思うが、今回に限っては、私たちもチートを使う側のため、彼女達に知られたくはない。
私はシオンに声をかけて、一度お父さんに連絡を取るためにログアウトすることにした。
そういえば、奴が追いかけてこなかったのが少し気になるな......




