第12話
テレポートによって移動させられた場所は、
「市街地ステージか....」
高層ビルが立ち並び、人が歩き回る。
このステージはかなりスナイパーに有利だ。
なぜなら、この街において、下手に銃を撃ち、市民を撃った場合、警察というアホみたいに強い特殊NPCが湧いてくる。
つまり、このステージにおいては弾幕作戦が使えない。
1発の重さが求められるのだ。
そして、私に遅れて二人も入ってくる。しかし、その二人は予想外にも私の顔見知りであった。
「エイン!?それにヴァインス!?」
「て、イヴかよ」
「あれ?イヴなの?」
困惑するが、よく考えたら、確かランダムマッチには、マッチング時にフレンドを優先すると書いてあった気がする。
まさか、この三人が同時とは思わなかったが、たまにはこういうのもいいだろう。
初顔合わせとなったエインとヴァインスが挨拶しあってから、私たちは作戦会議を始めた。
作戦と、言っても大したものはない。というのも、よく考えたら三人とも脳筋プレイヤー、援護とか出来るもんじゃない。
しかも、唯一の援護要員の私が、今回はスナイパーではないので、もう協力できる要素が何もない。
とりあえず、途中まで三人で移動、あとは自由にするというのが基本方針となった。
「おい、『サイレントヴァルキリー』は今回が初使用か?」
「どうかしたの?」
「撃つときはいつもより下を狙っとけ、それは全然空気抵抗による弾道低下を受けない。特に雷を使った場合は、確実に真っ直ぐに飛んでくれる。」
「ありがと、覚えとく。」
二人で会話をしてると、エインが、あっと、声を上げる。そして、
「敵を捕捉したから、ちょっと先制してくる。」
「りょー」
「おっけーだ」
敵は3チームもある、どんどん潰して数を減らさないと、手を組まれる場合があるため厄介だ。
と、そのように考えていると早速、
「ヴァインス、団体様のご到着らしいわよ?」
「ま、ここは俺の出番か」
目の前には四人のプレイヤー、どうやらもう徒党を組んでいるらしい。
ランダムマッチの戦法の一つだが、後で戦う者同士が今だけ手を組むというのは意外と難しい。
相手がどう出るか、気になるが、
「イヴ!俺を守れ!」
「わかってる!」
先制攻撃を仕掛けさせてもらう!
ヴァインスが両手で巨大な機銃、ミニガンを構えた。
そして、銃身が回り始めたかと思うと、そこから放たれるのは弾丸の嵐。
軌道上の一切の存在を許さない破壊の塊だ。
敵は、一瞬の驚愕と同時に二人が吹き飛ばされた。
残り半分。
ミニガンの特徴として、発射中は動けない上に銃口を動かすのも難しく、そもそもミニガンが重くて、構えたままの移動が遅いというものがある。
つまり、こういう多数との戦闘では、基本的に不利なのだ。
しかし、ここで私の出番。
敵が、こちらに向けてアサルトを構えた瞬間に、こちらのリボルバーの引き金を引く。
重厚な音と、強烈な衝撃が来ると同時に、相手の胸元に風穴が空き、そのアバターを四散させた。
さらに、もう一人が投げた手榴弾を空中で打ち抜き、爆破。
そのまま、相手の頭を吹き飛ばす。
戦闘終了だ。
リボルバーの弾を装填し直す。
空中で、手榴弾を狙い撃ち出来るとは.....
どうやら、このリボルバーの性能は非常に高いようだ。初の実戦だったが、世界で戦うための武器としては申し分ない。
私が満足して、それを腰のホルダーに入れると、後ろから、ヴァインスが聞いてきた。
「なかなかの腕前だな?もともと使ってたのか?」
「いや、どっちかというと武器の性能に助けられたかも、私が狙撃するときとほとんど同じ感覚で使っても問題ないほどの精度があるから、使えてるだけ。」
「なるほどね、それであの精密射撃か」
二人で軽く雑談を交わしていると、
「そっちも終わったね」
「エイン!」
エインが走って来る。
そして、
「どうやら、向こうは3チームで組んでるっぽいね」
「はぁ!?」
「まじかよ....」
驚愕の真実を持ってきた。




