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死後のその先には…

 僕、桐野優(きりのゆう)は18歳で自殺によって命を落とした。自殺の理由は彼女、望月雪(もちづきゆき)が事故で死んだからというなんとも情けない理由だ。死因は飛び降り自殺。高速道路の上にかけられた橋という最も迷惑がかかるであろう場所から。飛んでからの数秒の間に考えられたにはたった一つ

 

  僕の人生もこれで終わりか と。


 しかしいつまでたっても地面に打ち付けられたような衝撃も、頭が割れるかと思うような痛みもなかった。

それどころか今自分が地面に立っているような感覚がある。おそるおそる目を開けると、そこには自分が飛び降りる前に見ていた景色が広がっている。何が起こったのか理解できず、辺りを見渡してみると、時間が止まったかのように周りの風景が静止している。車も、人も、木々も。なんとか落ち着こうと深呼吸をしようとした時


「あなた、自分が死んだの分かってます?」


 誰かに話しかけられた。しかし、さっき周りを見たときは誰もいなかった。いや、正確には

<誰も動いていなかった>なら今言葉を発したのは…?


「こっちですよこっち」


 頭を掴まれて後ろを向かされた。誰だか知らんが礼儀がなっていないな。うん、高速道路で自殺した僕が言えることじゃないか…。


「あの…私のこと見えてます…?」


 振り向かされた先には、肩まで伸ばした淡い空色の髪に深い緑色の瞳をした20代前半位の女性が立っていた。


「ああ、見えてるし聞こえてる。それであんたは誰でこの状況はなんなんだ?」


 少々荒っぽくなってしまったが、まあ問題はないだろう。


「この世界で言うところの神様ですね。なので言葉には気を付けたほうがいいですよ、あなたが次の人生で悲惨な死に方をしたくないのなら」


 …そういうことなら話は別だ。


「大変失礼いたしました。どうかご容赦下さい」


 全力で謝りました。だって内臓ぐちゃっとかいう死に方だけはしたくないからね。


「まあ、私はその神様の使いなんですけどねっ!あ、名前はマノンです。」


 …こいつ殺してやろうか。


「それで、その神様の使いが何の用?」


「あー、神じゃないと分かったとたん態度変わるんですねー。まあいいですけど…」

 

 …ふくれっ面が可愛いとか思ってないからな…


「いいからさっさと要件を言ってくれ」


「その前に優君、あなた現状把握してます?」


「飛び降りたところまでは分かるがその後はさっぱりだ」


「その後はそのまま死にましたよ。ここは所謂死後の世界ってやつです。あなた飛び降りてすぐに気絶しちゃったんですよ」


「だから痛みの衝撃もなかったのか」


「納得しちゃってますけど、私のこと疑ったりしないんですか?」


「それを言い出したらきりがないからな、早く話を進めて天国にでも地獄にでも送ってくれ」


「あ、そのことなんですが、あなたには記憶をそのままで転生してもらいます。」


「…は?何を言っているんだお前は、彼女を追って自殺したやつを転生させてもまたすぐに自殺するに決まってるだろうが。僕が転生したところでもうその人は…」


 そこまで言ってふと考える。もしその<彼女>が自分と同じように転生していたら…?


「なあ、もしかして…」


「あ、ちなみにあなたの彼女、雪さんは普通に天国に行きましたから。転生はあなただけ特別ですよっ!」


 僕の希望は二秒で打ち砕かれた。


「でも安心してください!お約束のチート級の能力ってやつはちゃーんとつけてあげますから!」


「なあ、僕の言ってること分からない?」


「転生しても自殺がしたいならすればいいんじゃないですか?」


 マノンはとぼけたような口調で言う。まあ、転生したら即死なせてもらおう、使いとはいえど、神様側が公認してくれてるんだ。なんの気兼ねもなく死ねるな。


「じゃあ、早速選びしましょう!」


「なんでお前が楽しそうなんだよ…」


「そんなことより早く決めましょうよー」


「なんでもいいよそんなもの…。」


「じゃあじゃあ、私が決めてもいいですか!?」


 それはそれでわけがわからないが、もうこの際どうだっていいだろう…


「ああ、うん、もうそれでいいから」


「う~ん、じゃあ、これ!」


 なんかくじ引き感覚で決めてないか…?


「はあ、決まったんなら早く送ってくれ」


「はーい、じゃあ行きましょうか!これからよろしくお願いしますね!」


 …は?… …え?…


「ちょっ、ちょっと待った!…お前ついてくんの…?」


「はい、そうですよ?」


「いやいや、なに当たり前のように言ってんの、そんなこと一言も聞いてないんだけど…」


「そりゃ言ってませんからね。まあ、詳しい話は向こうでしましょうか。それでは、れっつごー!」


「いや、ちょっまっ…」


 薄れゆく意識の中、激しい後悔だけが僕の中を渦巻いていた。

 見知らぬ人は疑うべきだったと。

これから週一のペースでやっていきたいと思います!

初めての作品ですが、精一杯やるので、よろしくお願いします!

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