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95 モンスターとの乱戦

2018年初投稿になります!

あけましておめでとうございます! 今年も「白銀の剣聖」をよろしくお願いします!

「ギギィィイイイイイイイイイイ!!」


「邪魔」


 左から襲い掛かって来たモンスターを振り向かずに首を斬り落とし、上空からの攻撃を刀だけで防ぐ。そのまま攻撃を返そうとするが、その前に後ろの魔法使いたちが一斉に魔法を放って、飛んでいるモンスターを撃ち落とす。


 前にユリスが落とすのに苦労していたのに、あれだけの数が集まれば簡単なのだなと感心しながら、正面からやって来た単眼の巨人キュプロクスの攻撃を受け流し、喉を貫く。そしてそれを素早く引き、顔面を蹴って地面に倒す。


 背後にいた小さなモンスターはそれに押し倒され、動けなくなる。そこに【白雷】を撃ち込んで焼き殺す。肉が焼ける不快な臭いがしたが、ぐっとそれを堪えて次のモンスターを倒しに行く。


 モンスターの大群は迎え撃ってくる冒険者や騎士、兵士たちを倒すために、その場から進まず戦っている。揃っている冒険者は全員上級冒険者なので、怪我人はいない。いるとしても、掠り傷程度だ。しかし騎士や兵士は違う。


 全員戦い慣れている訳ではないので、大きな怪我を負ったり致命傷を負ってしまったりしている。それは大体騎士団や軍に所属してからそれ程長い年月が経っていない人で、十年ほど勤めている人は全員とは言わないが、怪我を負っていない。


 彼らはモンスターの進行を抑えるために前の方で戦っており、上級冒険者の殆んどは敵陣のど真ん中に向かって三百六十度全てに敵がいる状態だ。そんな中に恐らく一番若いであろう悠一がいる。ある程度年を取っている騎士や兵士の人は、あんな若いのには負けていられないと張り切っている。


 中には若干ライバル視している人もいるが、周囲が敵だらけの中にいる悠一は当然だがそんなことには気付かない。魔法とスキルと剣術を駆使して、次々とモンスターを倒して行く。後方から魔法使いたちが援護射撃をしてきて、それで多くのモンスターを倒して行く。


「あれだけ魔法使いがいると、それなりに楽になるんだな」


 数多くの魔法使いがいるので、放たれる魔法の数が多い。多くなる分火力が上がり、倒せる数が増える。当然と言えば当然だが。


 次々と後方から魔法が放たれモンスターが吹き飛んでいき、他のモンスターたちは魔法使いたちをどうにかしようと動き出す。剣士の攻撃を何とか掻い潜りながら、魔法使いたちの方へと向かって行く。純粋な魔法使いたちは、殆んどは近接戦が出来ない。


 護身術程度の体術や棒術が使える人はいるが、それは極一握り。多くは防御魔法を展開するか、身体強化を掛けて、逃げ回るしか出来ない。後方の魔法使いの多くがそういったタイプなのか、モンスターが向かってくると狼狽え始める。


 しかしそういった状況に慣れている魔法使いは狼狽えず、魔法を放って迎撃する。それでモンスターが倒されて行くが、それでも全部は倒し切れていない。シルヴィアとユリスも無詠唱で放った魔法で迎撃するが、火力が足りなかったり躱されたりして倒し切れない。


 段々と焦りが募って行き、マズいと思った瞬間モンスターの足元の地面が、突然無数の針状に隆起した。隆起した針はモンスターを串刺しにして、絶命させる。多くの魔法使いが呆然としている中、シルヴィアとユリスは悠一がやったのだとすぐに分かった。


 実際その通りで、悠一は刀でモンスターを斬り倒しながら自分のスキルである【魔力遠隔操作】を使って、魔法使いたちに向かっているモンスター周辺の魔力を自分の魔力で掻き集め、モンスター周辺の地面を針状に隆起させたのだ。狙ってやるのが面倒だったので、広い範囲に無差別にやったが、上手く全て倒せた。


 そのことにほっとしながら襲い掛かってくるモンスターを刀で斬り伏せ、魔法やスキルで吹き飛ばす。躱して倒しても絶え間なく攻撃が仕掛けられてくるが、悠一は神掛かった動きで的確に躱していく。元々の予測能力が高いのもあるが、それに加えて【天眼通】を発動させている。


 【天眼通】は敵の次の動きを見ることが出来るという反則スキルで、もう一つ死角から攻撃が仕掛けられると、三百六十度全体を見渡せることが出来る。常に死角から攻撃が仕掛けられているので、悠一には全体が見えている。なので今、悠一には死角がない状態にある。


 しかもその状態でも次の動きが見えるので、凄まじい情報量が頭の中に流れ込んでくる。あまりの情報量で、普通であれば倒れてしまう。だが悠一は極限集中状態になって情報処理速度を上げて、『修羅の境地』を発動させている。


 なので凄まじい情報量が入り込んできても、それがすぐに処理されて疲れてくるが大きな負担にはなっていない。ずっと使っていると精神的な疲労がすぐに溜まってくるので、何度か使用を止めて速さを活かして攻撃される前に倒して行く。


 【縮地】を連続発動してその勢いのまま斬り、仕掛けられた攻撃は的確に躱し、正確に反撃を返す。魔法で鋼の剣や槍、圧縮したガスによる爆発、無数の針状に地面を隆起させて、スキル【白雷】を手から放って一気に複数体倒す。


 更にそれを操作して巨大な剣を作り上げ、操作して一気に数十体吹き飛ばす。そしてそれを上に上げて、勢いよく叩き付ける。ちゃんと他の冒険者たちのいないところを狙っている為、モンスター以外に被害はない。


 これで効率よく多くのモンスターが倒せるのではないかと思ってやったことなのだが、思っている以上に威力が高く、ある意味効率はいいがリスクがデカ過ぎる為次は止めておこうと決める。


 背後から迫って来たモンスターを、強化した拳から放たれた裏拳で飛ばして他のモンスターに衝突させて、ガス爆発を起こし消し炭にする。数十ものプラズマ弾を構築してそれを前方に一斉に放ち、貫く。


「随分と面白い魔法の使い方をするな」


 モンスターを包むように水を構築し、それを一気に熱して水蒸気爆発を発生させると、隣からそう声が聞こえてきた。迫ってくるモンスターを対処しながら振り向くと、そこには右手の長剣でモンスターをすさまじい速度で斬り倒しながら、合間合間に魔法を放っているレオンハルトがいた。


「そうですか?」


「あぁ。それに、魔法を使う時に属性特有の感覚がしない。属性魔法を使っているように見えるが、実はそうではない。君は、固有魔法を所持しているね?」


「何のことですかね?」


 レオンハルトがまさか正解を言い当てるとは思っていなかったが、シルヴィアやユリスも同じように属性特有の感覚がしないと言っていたので、魔法使いの前で使えばバレる可能性があると言っていたので、バレたところで驚きはしなかった。


「そう誤魔化しても無駄だけどな。まあ、冒険者の中にはそういったのはいるさ。【聖女】ユリスも、固有魔法を持っておきながら冒険者をしているし」


 これには驚いた。ユリスは自分の固有魔法は、滅多に使わない。それに当然だが、そのことは隠している。なので、知っているのは彼女の両親や村にいる親しい間柄の人、そして悠一とシルヴィアくらいだ。だというのにレオンハルトは、さも元々知っているかのような口ぶりだ。


 一体どうして知っているのだろうと疑問に思いつつ、モンスターを刀で斬り伏せ魔法で吹き飛ばす。


「この戦いが終わったら、是非とも君たちと一緒に話をしてみたいな」


「そうですか。俺は一度でいいので、レオンハルトさんと剣を交えてみたいですね。魔法を一切使わない、自分の素の力だけで」


「それはいい。その機会があれば、剣を交えてみたいものだな」


 そう言いながらモンスターを倒して行く。悠一も集中するために白い雷を刀に凝縮し、斬撃と同時に放出する。それと同時に雷が放たれ、白い雷の斬撃が一直線に進んでいく。それが通って行った場所だけ、まるで巨大な大砲の弾が通ったかのように地面が抉れ、モンスターの道が出来上がっていた。


 悠一は出来上がったその道に最高速度で駆けていき、道を埋めようとするモンスターを次々と斬り裂き打撃を叩き込んで吹き飛ばし、構築した鋼や氷の槍や剣で貫いて行く。後方から魔法が飛んできて援護をし、剣士がモンスターが怯んだ隙に止めを刺す。


 ガンガンモンスターを狩っていると、ユリスに掛けて貰っていた【ディバインブレス】の効果が薄まりつつあるのに気付いた。効果時間が、そろそろ切れそうなようだ。それを察した悠一は切れた時の為に、体内の魔力を集中させていく。


 効果時間ギリギリまでモンスターを倒していき、薄まっていることに気付いてから約二分ほどが経過した時に、ついに消えてしまった。それと同時に集中させていた魔力を開放し、今掛けてある身体強化に身体強化を上乗せする。


 最大四倍まで上げるその魔法は、上乗せされることでその倍の八倍まで上げることが出来る。悠一は今二回までしか上乗せが出来ない。魔力操作技術がまだそれほど高い訳ではないので効率が良くなく、十二倍を維持出来るのは十分が限界である。その十分は、ユリスに【ディバインブレス】を掛けて貰っているのとあまり変わらない。


 ただ十二倍まで上げると、効果が切れた時の反動が凄まじい。限界を超えた強化なので激痛に襲われ、まともに動くことすら出来ない。故にそこまで上げるのは、そうでもしないと勝てないと思った相手が現れた時に使うことにしている。どうしても短期決戦になってしまうが、それは悠一の操作能力が高くないので仕方がない。


 八倍まで強化した悠一は地面を蹴って瞬時にモンスターに接近し、今までとは比べ物にならない速度で倒して行く。他の剣士たちは、急に動きが分かった悠一を見て驚いていた。それと同時に、あの若さでどうしたらあんなに強くなれたのだろうと、疑問に思った。


 刀に込められている風属性を開放し、それを切っ先に集中させる。索敵で冒険者がいないところを探り当てて、その方向に向かって集中させた風を放つ。凄まじい突風が荒れ狂い、放たれた風は射線上にいるモンスターを尽く消し飛ばす。


 風が通った場所がモンスターに囲まれた未知のようになっていたが、それはすぐに埋まってしまう。だが今の一撃で多くのモンスターが倒されたので、それを見ていた冒険者や騎士、兵士たちは士気を少しだけ上げる。中にはその強さに、嫉妬している者もいたが。自然と士気が少しずつ上がっているのに悠一は気付いておらず、持ち前の素早さを活かして次々とモンスターを斬っていく。

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