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運命の出会い

このサブタイトルって…やっぱりキザすぎるのかな?

この森ってけっこう大きいんだな…。イリーヤ神殿の観光客達はよくも神殿までたどり着くものだな。


道に進んで、森の一番深いところまで着いた。森の一番深いところではてっきり、他の部分と同じく、木だらけだと思ったが、けっこう広いスペースがあるんだな。


休憩するための場所としてちょうどいいと思って、座ろうとしたら、広いスペースのど真ん中に誰かが寝ている姿を見かけた。それと、ただの誰かじゃなく、女の子っぽい。


森のど真ん中で寝る子は彼女以外、この世界にいるだろうか…。それとも、まさか、傷ついて倒れてるんじゃ…!


その可能性を考慮した瞬間、急いで彼女のところへ駆け寄って、跪いたまま彼女の様子を確認した。


見たところ、明らかな傷はなさそうと思った。出血もないようだ。じゃあ、やっぱりここで昼寝…なわけないよね、さすがに。気絶したってことだろう。まさか、目に見えないところに傷が…?


俺の目は思わず彼女の露出度の高い服に引かれた。


「って何考えてるんだ、俺!」


頭を抱えて、苦悩している自のことを情けなく思うが、これは生理現象なんだ、男として普通なんだ!


というか、俺、誰に向かって正当化しているんだろう…。それはともかくとして、やっぱり彼女の服、脱がす方がいいのか?俺が恥ずかしがってたせいでこの子が死んだら、それに伴う罪悪感は半端ないだろう。


悩んでいるところ、彼女の様子をもう一回確認した。


よく見ると、彼女は本当に美人だ。その長くてきれいな銀髪につけている花のアクセサリー、首につけているロケットもすごく似合うと思う。服は結構露出度が高いため、隠れていない、きれいな紫色の肌と肌の上に入れているそのタトゥーも…ってあれ?紫色の肌?


彼女のことを観察していたところ、どうやら起きたようだ。彼女が目を開けて、俺と目を合わせた。


「……」


「……」


一分ぐらい、俺たちはお互い黙ったまま、見つめ合った。


彼女が突然動き出して、尻尾を使って俺の体を縛った。彼女はその蛇の尻尾を使って、俺の動きを止めた。彼女は…モンスターであった。


くそ、気づかなかったなんで…助けるって気持ちの勢いで気づかなかったのか。それでも、俺は後悔したりしない。人間かモンスターかは問わず、助けたいって気持ちは本当なんだから。


下半身は蛇ということで、この子は…ラミアだな。ジョンさんの図鑑によると、モンスター達の間でも高貴な種族で、結構強いモンスターらしい。特に尻尾に要注意、縛られたら、抜け出す確率はゼロに近いぐらいの強さ。


ジョンさんも言ってた。縛られたら、一人だと終わりだ。つまり俺は…ここで死ぬのか。


「ぐわああ!」


縛りがいきなりきつくなって、思わず叫んだ。彼女は手で胸を隠すまま俺に話しかけた。


「貴様、さっき、私に何をするつもりだった!」


「ぐ…ど、どうって…助け…ようと…思って…。」


彼女が冷たい目で俺を見続けて、縛りをきつくした。


「ぐ…がああ…」


ヤバい、息が切れる…!


「嘘を吐くな。人間がモンスターを助けようなど、言語道断。ありえないことだ。」


腕を使って、体を縛っている彼女の尻尾をちょっとだけ緩めようとした。


「嘘なんかじゃ…ないよ!俺はただ…助けたかったんだ!人間か…モンスターかなんか…悩む暇はどこにあるんだ?」


彼女が俺の顔に近づき、目をじっと見つめる。


「人間は普通、モンスターを発見したら、殺すか逃げるか、この二つの選択しかとらない。特に何の抵抗もできない私なら、今頃は貴様の剣の錆になっている。なのに、今は貴様が私に縛られている。」


彼女はそう言って、難しそうな顔をした。


「もし私のことを一刻も早く殺さなかったら…。」


彼女は俺に向けて、ゴミを見るような目をした。


「貴様、まさか私の体を弄んだ殺すつもりだったのでは…。」


俺は必死に首を振った。


「ち、違う!断じて違う!なぜそうなるんだよ!」


「だってさっき、貴様は私の体を淫獣のような目で見ていたではないか。」


「そ、それはまあ、否定できないが、さすがにそれは言い過ぎだろう?だいたい、その露出度の高い服を着ているお前が悪いんだ!まるで見てくださいって言ってるようだぞ!」


「…開き直ったのか。貴様、けっこうおもしろい人間だ。」


彼女はちょっとだけ笑った気がしたが、気のせいだったのか?


「なら質問を変えよう。仮に貴様が本当に私を助けようとしたと言うなら、何故そのようなことを…?」


首を軽く振った。


「誰かを助けることは、理由なんか必要なのか?」


彼女はしばらく黙って、俺の目を再びじっと見つめていた。そして、笑った。


「あはは、貴様、真顔でそう言ったな!バカなの?貴様は単なる博愛バカなんだね!」


笑っている彼女から顔を背けた。


「何とでも言えよ、もう慣れている。どうせ俺は単なるバカで、人間とモンスターたちが共存できることを信じている、バカだ。でもこの世界を変えようとするのはバカと言うなら、俺はバカにありたい。」


彼女は一瞬、戸惑ってたように見えたが、そのあと笑い続けた。


「人間とモンスターが共存…?はっ、笑わせるな。そんなこと、無理に決まっている。そのようなくだらない発想をよく平気で言えるね。貴様は正真正銘のバカだ。」


俺、バカにされている。彼女と目を合わせた。


「そんなこと、誰が決めたんだ?無理だって言って、そして何もしようとしない。それだからこそ、戦争が終わらないままだ。」


俺の言葉を聞いて、彼女は嘲る言葉をやめ、黙っているまま俺のことをじっと見つめていた。


「俺は信じているんだ。人間とモンスターが共存し、一緒に話をして、笑って、そして一緒に暮らす日々がいずれ来ることを信じているんだ!」


俺はそう叫んだ。自分の信念を彼女に伝えるように。


「……」


彼女が俺の目をじっと見つめている、まるで俺が言ったことは偽りかどうかを確認するように。


数分後、彼女が縛りを解いた。


「うわあ!」


地面に落ちて、思わず声を上げた。


「はあ…。」


彼女がため息をつき、俺に背中を向けた。


「貴様はただのバカではなく、まさか、理性まで欠けているバカとはね、こっちが恥ずかしいぐらいだ。その共存というくだらない発想、精々頑張れ、夢見るおバカさん。」


そう言って、彼女は立ち去った。俺は俯いたままで彼女が言ってたことが頭の中に響く。


あのラミア、何も知らないくせに好き放題言いやがって…。誰が夢見るバカだ…惨めな皮肉屋なんかよりましだ。


ため息をつきながら、立った。そして、俺は本来の目的地に向かってた。



ミスもいっぱいあるだろうが、読んでくれてありがとう。

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