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プロローグ
キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン
「香澄さん。今から皆さんと一緒に会場の方へ向かうのですが、宜しければご一緒に行きませんか?ベルギーから取り寄せた美味しいチョコレートがありまして、皆さんと頂きながら向かおうと思いまして」
「ごめんなさい。これから用事がありまして……。私も後から向かいますので、先に行って下さい」
「そうですか。それでは香澄さんの分は残して置きますのでまた後で是非。見た目も可愛らしいですし、本当に美味しいんですよ」
「有難う御座います。では、また後ほど……。お先に失礼致します」
私は軽く会釈し、自分の車へと急いだ。
「お嬢様、お急ぎ下さい。車で片道2時間程掛かります。行って戻ってきて間に合うかどうか……」
「分かっているわ。お父様に怒られてしまうかもしれないけれど……それも覚悟の上よ」
私の名前は山本香澄。結構有名なお嬢様学校に通っている16歳。今日はとにかく大切な日。ずっと片想いしていた相手との約束の日。その人の名前は、浜中勝平。
彼と出逢ったのは、4年前のあの夏休み――