赤い空、赤い影②
昔、一時期嵌っていた都市伝説の中に、皆既日食の日に異世界にける方法があったはず。
死という取り返しがつかない方法ではなく、リスクのない安価な奇跡に期待した。
ここではないどこか、誰もいない世界に行ける。勇騎は昔見たサイトにたどり着いた。
そこに記載されている内容を見て可能性を感じた勇騎士は辺りのマンション群の中から適
当なマンションを探す。急げ時間がない。
『1.皆既日食が起こっている間に、携帯の画像を異世界の扉を開くために必要な鍵となる画像にして、15階建以上19階以下のマンションで15階に上る。』
勇騎は辺りのマンションの中で、15階以上のマンションを手当たり次第に探していく。
とは言え15階以上のマンションは大型のもの、入口のゲートから建物まで距離があるし、オートロックもかかっているのが普通だ。だが、3つ目のマンション
(空いてる!)
エントランスを清掃中なのか、バケツや掃除道具が置かれ、玄関の扉が開け放たれ、玄関
掃除をしている従業員も今まさに始まった、この昼間の真っ暗な世界を観察している。
皆既日食の時間はおよそ5分、その間に残りの行程を終わらせなくてはいけない。
勇騎は何食わぬ顔で玄関抜け、一番奥の利用される事がなさそうなエレベーターで15階まで上がって行く。
『2.エレベーターに乗りこんでから最後まで、その間誰にも邪魔をされてはいけない。
まずは7階で降りる。するとエレベーターがしまり自動で1階まで下りる。』
勇騎が降りるとエレベーターは下に降りて行く。
(よしっ!)
辺りはまるで、夜のように暗く、輪郭だけの太陽にかかった雲が異常な速さで流れて行く、
『3.8階まで階段で上ると何もしていないのにエレベーターが上がってくる。』
嘘だろ、本当に上がってきてる、何だよコレ、これ本当に行けるんじゃ、、
『4.上がってきた誰もいないそれに乗り込み1階を押す。
すると下ではなく、13階に勝手に上がる。
そこでつばの長い帽子をかぶった女性が乗り込んでくる。』
本当に上に上がっている、、、迷信通りの状況に勇騎の心臓は明らかに見えて早鐘を打つ
怖がりながら、恐れながら、祈る。来てくれ来てくれと願い
13階で扉が開くと赤い服につばの長い20代後半と思える女性が乗り込んできた。
顔は見えない、だがもう間違いない。
『5.何階ですかと聞いても答えてくれない。そして彼女は自分で、ボタンを押す。』
乗り込んできた女性は入り口近くではなく、奥の方でボタンを押した。
押した階は2階、もう間違いない。
『6.押した階が1階以外なら、これが最後の分岐点。扉が閉まる前に降りれば引き返すことが出来る。何もせずに、扉が閉まれば、君は二度とその世界に戻る事は出来ない。
そしてもし扉が閉まる前に、女性が押した階と同じ階を押せば、そこは存在しない階。』
勇騎が2階を押すと、自動音声が「22階です」と存在しない目的地を告げた。
エレベーターが締まり、上にと上がっていく。
いいのか本当にもう戻れないぞ、期待半分、恐怖半分。
だんだん恐ろしくなっていくが、それでも、期待が減る事はない。
むろろ心の中では歓喜が湧く、逃げられた、変われた。この扉が開けば、、
『7.この時後ろにいる女性を見てはいけない、見れば恐ろしい事になる
そして扉が開く、この時、いつもの光景だが、空は夕暮れよりも赤い』