ようこそトケンへ!
りりかの体調が良くなってから、僕はりりかと一緒にこの町を見て回った。
二人で水族館に植物園、映画館に、神社に、お寺。つまらないと思っていたこの町がこんなに楽しいものだとは思わなかった。
そして、二人だけの旅行。りりかからしてみれば生まれて初めての旅行。
そして信じられない話だが、りりかはこっちの世界に来る前からも一度もこの町の周辺から出た事がなかったという。
恨みだけじゃない。この町から出られなかったのは、彼女が潜在的に、ここを離れる事に足して漠然とした恐怖感を持っていた。だから彼女は電車に乗る時に少し怖そうにしていた。
恐怖心よりも好奇心を、不安感より、期待感をそれが僕の役割だった。
2人だけの旅行、見た事のないもの綺麗なもの、秋の紅葉の頃にもう一回来よう僕は彼女と約束をした。
今のような異世界の支配者の力を手に入れた僕は力のコントロールを覚え、ある程度なら、どちらの世界も自由に行き来できるようになった。
僕と手を繋いでいる間は彼女も現実世界に戻ってこれる。
人と話すのも悪くないね。峠の茶屋でお土産を見ている所おばあさんに、ずっと手を繋いで仲のいい、お似合いのカップルだと言われた彼女がそういってくれた事がすごく嬉しかった。
旅行先で、僕は彼女と今後の事に関して話をした。そして二人で出した結論、
僕たちはトケンの呼び鈴を押す。
「は、はーい」
監視カメラで見ていたきららが精一杯元気よく返事をする。
五代さんに頼んで、五代さんの仕事を手伝う事で、いつか二人で暮らせるお金を貯める。
僕たちにもできる事があるのなら、今の僕の力を必要としてくれる必要があるのなら、
僕は僕のできる事をしたい。世界で僕が不要じゃないと、僕にもできる事がある。
だから、これは僕たちの夢の為の第一歩。




