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勇騎覚醒

一方りりかを追跡していた烈火は、りりかを追い詰めていた。

今までは見つけることが出来なかった烈火だが、明確に自分に向けられた敵意がある以上それを見失うはずはない。

りりかはそんな烈火を拒絶するために、人の姿を捨て、イルシードの力を受け入れた。

だが、そんなことを欠片も異に返さず、烈火はまるで作業の様にりりかを追い詰めていく。

項目を一つずつ確認するように、りりかを戻すために行程を重ねていく。

だが、そのいずれもが無駄。

烈火はりりかの力を削ぎ、自由の翼をもぎ、反撃の牙を折る。

人の姿でありながら、まるで異質。どちらが化け物か分からない。

悪意を圧殺する悪意。狂気を狂わせる狂気、黒を黒く塗りつぶす殺意。

勝てる可能性なんて皆無だ、どうすればここまで強くなれる、

どうすればここまで冷静になれる。今目の前にいる化け物を、りりかとして受け入れてそれでも、なお一切の容赦なく、一切の緩みなく。

そのあまりの光景に、初めて知る烈火の本質に灯も、五代も何もできない。

これが本当の烈火、自分達が知らない烈火の顔。

そして工程を重ねる事108つ、万策尽き果て、烈火は、初めてその手を止めた。

「灯、他に考えられる方法は?」

「い、いや、似たような事しか、、」

「五代さんは?」

「、、、、失礼させてもらうわ。」

あまりの惨劇に耐えられなくなった五代は逃げ出した。

「きららは?」

「な、何もない、でも、殺しちゃダメ、だってりりかちゃんなんだよ。そんなのダメ。」

「そうか、悪いな、俺にそれを許容できる力がなくて。りりか恨むなら俺を恨め。

それで憎悪の連鎖は終わりだ。俺は人を恨めるほど人間じゃないからな。」

烈火がとどめを刺すため、足を上げ、まるで踏み潰すように、りりかだったそれの頭部を踏みつぶそうとする。

「やめろ!」

真後ろからの呼び声、だが、烈火は振り返る事くらい、踏みつぶした後でも事足りると、挙動の一切を止めず、振り返ろうともしない。

だから勇騎は思いっきり力を込めて烈火の背中に飛び蹴りをあてる。

「普通振り向くでしょ、何考えてるんですか?」

「、、、、これは予想外だな」

「当たり前です、りりかは僕の彼女のです。どんなことをしたって戻ってきますよ」

「違うそうじゃない、君が俺を蹴飛ばせることがだ。」

「当たり前でしょ、どこの世界に彼女が男に踏まれそうになっているのに切れない馬鹿がいますか!」

「、、、、、それをお前はまだりりかだと思うのか?」

「当たり前でしょ、何を言っているんですか?馬鹿ですか、あなたは馬鹿なんですね。」

「邪魔だ、ど、、」

「どいてろ、邪魔です。」

「おやおや、これは予想外の王子様の登場だ。どうする、烈火先輩」

灯はさっそうと現れた今までとは違う勇騎に、希望を見出し、テンションを上げる

「関係ない。惚れた腫れたと知るか。うるせぇな、まとめて消し飛ばすぞ。」

「完全な悪役ですね。」

烈火は近寄り、勇騎に殴りかかるかと思いきや、足払いから、バランスを崩したところに顔面をもって地面にたたきつけようとする。

が、勇騎はまるでそれを呼んでいたかのように足払いを避け、逆にそこに力を加え、烈火を投げ飛ばした。

「、、どういう事だ?」

ダメージは皆無だが、勇騎如きに投げられたことが解せない。

「願いて求めて、あらんと欲し、祈りて、思いて力を求む。

僕が求めたのは彼女を助ける力。

その為にあなたが障害となるなら、あなたを排除します。

もう一度言います、邪魔です。どいていてください。」

烈火の事など相手にもしないと言わんばかりの勇騎に、烈火も心中穏やかでない。

「言ってくれる」

「れ、烈火君、こ、ここは勇騎君に任せよう。」

「そうだぞ烈火先輩、既に万策尽きている私たちだ。それに今さら力を捥がれたりりかちゃんに対し、このわずかな時間。烈火先輩にとっては致命的な選択にはならない。」

「プライドの話だ。どういう事だ、あ?」

「ウィルシード、思いの力です。この世界ではドミネータークラスの力だそうです。

もっとも僕にとって暴力なんてどうでもいい話ですか、、」

「支配者風情が偉そうに貴様が支配者ならば、俺は破壊の神か、超越の王か」

『空気読みなよ、烈火。ここはおとなしく引き下がっておきなよ。君がいくら強かろうが、君がいかに我を通そうが、ここは主役を譲るべきだよ。だからさ、邪魔させてもらうよ。君がこの世界の王で、この世界を壊す破壊神だとしても、そんな言葉どうでもいい、君は僕のいいなり、そういうものだよ。君と僕の関係は』

烈火の頭の中に澪の声が響き、烈火はそのまま糸の切れた人形のように地面に倒れ込む

「?」

突然の事に解せない勇騎の頭にも澪の声が響く

『なに、気にすることはない、君は君のすべきことをするといい。例えそういうものであっても相手は烈火何をするかは保証できない、つまりはいつまでこのままかは分からない。

今のうちに、見せてみてよ。君のカッコいい所。」

勇騎は烈火ら視線を地面に伏せ、体の再生を始めている人の姿を失ったりりかに近づく。

りりかは叫び、そのまともに動かない体で攻撃の意思を勇騎に示す。

だが、勇騎はそんなりりかに少しも怖がることなく、近づいていき、その手を取る。

「大丈夫だよ。りりか、僕が来たからもう大丈夫。もう怖い事なんてないから、」

「グァァァァ!!」

もう片一方の手を再生し、勇騎が攻撃を加えるが、勇騎は慌てず、ただギュッと掴んだ手を離さない。

「ねぇ、帰ろう、りりかの憎しみの全てを理解できるわけじゃないかもしれない、りりかの苦しみの全てを取り除いてあげれないかもしれない。

でも、僕は、りりかの事を幸せにしてみせるから、もう過去に囚われるのはやめよう。

過去は大事だよ否定したところで起こった事は変わらない。

だけどそのせいでりりかが苦しむのは嫌なんだ。僕は幸せになるためにりりかに出会ったんだ。だからりりかにも幸せになってほしいんだ。

一緒に楽しい、ううん、りりかが一緒ならどんなことだって楽しいから、お願いだよりりか、僕を一人にしないで、、」

勇騎は言葉では足りない思いが溢れ、泣き始めた。声に出して、情けなくでも必死に、

りりかの手を絶対に離さないと


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