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再会

「、、ぅき君、勇騎君。」

「あ、あぁ、ごめん、少し意思が飛んでた。」

勇騎は何度も自分に呼びかけるりりかの声で、現実に引き戻される。

「よかった、、、私しんぱ、、」

「りりかさん?」

急にりりかの声が聞こえなくなってく、、

「なんなんだよコレ、、、」

勇騎は混乱しているが今の記憶で少しだけ推察は立つ、おそらくもう一人の自分が殺されかけた、その事で自分は奪われた市井勇騎という元々の形に戻ろうとしている。

彼らは強く自分を持て、もう一人の自分を否定すれば、それで元に戻れると言った。

だが、もう一人の自分が死ねば同じ事だった。そして今まさに烈火によってもう一人の自分が殺されかけた。いや、もうどうせ手遅れだと言った以上、これは時間の問題かもしれないし、記憶が流れ込んだことを考えると今見た物は過去の記憶かもしれない。

もう一人の自分が死んで、急速に自分は元いた世界に戻される、少し前までの曖昧なものでもなく、元通りの平凡で何もないただの日常、かつて戻りたかった世界、

でもそれは同時にりりかとの別れだ。

だから勇騎は即座に決断し、りりかの手を握る。

「!!勇騎君?」

「よかった、声が聞こえる。ごめん、この手を離さないで、」

「勇騎君、一体何が、、、」

「たぶんだけど、僕が元世界に戻されそうになっている。この手を離したら、きっと君の声だけじゃなくて姿も見えなくなっていく。」

「、、、でも、それは、、いい事なんじゃ、、」

勇騎が自分の前からいなくなる、他の人と同じになる。

「本気でいているの!」

「だって、そうすれば、勇騎君今みたいな生活もしなくていいし、盗む事の罪悪感も、感じる事がないし、皆と一緒にだっていられる。勇騎君の将来を考えたら、、」

「将来なんてくだらない。僕は李里香さんのいない将来なんてどうでもいいよ。

りりかさん、僕は君の事が好きなんだ。僕自身、今まで確かに迷ってた、だけど、今日は僕がりりかさんといっしょにいるって覚悟を決めたんだ。

りりかさんが嫌だっていっても僕は、りりかさんと一緒にいるよ。

僕が決めた事だ。君を絶対に一人になんてさせない。」

「でも、どうやって、、」

「大丈夫、心当たりはある。たぶん手ごわい相手だけど。大丈夫、お願いだ、この手を離さないで、今君がいなくなると、もう会えなくなる気がするんだ。僕に勇気をください。」

「勇騎君が勇気をくれって、、おやじギャグ」

「茶化さないで、真面目な話だよ。」

「、、、分かった、約束する。」

勇騎は一旦、りりかの部屋に戻ると、ずっと電池の切れていた携帯に電源を入れる。

電波は案の定あの日から入らないが、目的はここに記されたきららの番号を調べる事。

勇騎は1階に降りると、電話ボックスから電話をかける。

「もしもし、市井勇騎です。覚えていますか。」

「ゆ、勇騎君もちろんだよ。何回電話しても出ないし、無事かどうか心配だったんだよ。」

「まぁ、無事かどうかで言えば、無事じゃないんですが、まぁ、今はそんな事はどうでもいいんです。込み入った話をしたいので、直接皆さんにお会いしたいんですけど、そちらにお伺いしてもいいでしょうか?」

「う、うん、ででも、今はみんなここにはいないし、それにここに来るのは少し大変。どこか近くで、どこに行けばいい。」

勇騎はこことトケンとの中間にある運動公園を指定する。

「うん、わかった、皆にも言っておくから、、、れ、烈火君外出しているし、灯ちゃんと麗華さんは学校と仕事だと思うから多分、18時過ぎになると思う。」

「分かりました。あの、一つだけ先に聞いていいですか?どうして僕に嘘をついたんですか?あなたたちは詐欺師なんかじゃない本物でしょ」

「、、、ごめんなさい。でも、本当の事知れば、知識のせいでこっちの世界から抜けだせなくなる可能性があったから、、、ご、ごめんなさい。もっと勇騎君を気に掛けるべきだったのに、で、でも大丈夫。絶対に勇騎君は元に戻すから、少し手荒な方法だけど、、勇騎君が初めてじゃないし、ドッペルゲンガーなら、烈火君がプロだから。」

「えぇ、知ってますよ。見てましたから、でも、そんな事はもうどうだっていいんです。

僕はもう元の世界に戻るつもりはないですから。」

「、、ゆ、勇騎君だよね。」

「えぇ、もちろん。」

「ふ、声の雰囲気がち、違うから。」

「そう思えますか?だったらよかった。僕は変われたんだって客観的に評価されているんですね。僕は前の僕は嫌いですけど、今の僕は好きですよ。」

「、、、、さ、最後に一つ聞かせて、勇騎君はいつからこの世界に、それに今まで一人でどうしていたの、きっと何かあれば連絡してくれるって思ってたから」

「こうなったのは8月の中旬くらいですか、それに僕は一人じゃないですよ。

大切な、大好きな人と一緒にいますから。」

そう言って勇騎は電話を切った

「ちょ、ちょっと、何よさっきの。」

「、、、嫌味です。」

「なんで、余計な事言うの、私そんな事言ってないでしょ」

「えぇ、だから今のは僕の気持ちを言っただけですよ、りりかさんが大切で、大好きだって、りりかさん、中々、僕の事を好きだって、言ってくれないから、僕はずっと言い続ける事に決めてるんです。りりかさん押しに弱いから、」

勇騎はりりかに笑いかけるとりりかは目をそらす。

「さ、それじゃ行きましょう。」

「本当にいいの、このまま何もしなければ元に戻れるかもしれないのよ」

「戻るなら、りりかさんも一緒です。」

「私は今更戻れないの、」

「だとしたら僕も戻る理由はありません。」

りりかは道中、いつもらしからぬ、勇騎に、恩人である社の姿を重ねていた。

本当に勇騎は変わった。強くなった、そして少し怖くなった、でも、いやじゃない。

だってそれが自分の為に、りりかは口には出さないが、そんな勇騎が嬉しい。だからこそ迷っている。自分なんかの為に不幸にはなってほしくないと。

自分は勇騎が思うような魅力的な人間じゃない。

この世界は永遠ではない、普通よりも早く、そして確実に終わりが訪れる世界、不幸には勇騎を巻き込みたくはない。でも、、

勇騎が迷いを捨てる程、りりかには迷いが生まれていた。

夕方、勇騎は約束の場所できららたちを待ちながら、りりかに缶ジュースを渡す。

「ねぇ、勇騎君、今かくる人って、詐欺師とかじゃないの?

私の馬鹿親昔そういうのによく騙されてたから。」

「雰囲気は怪しいけど、たぶん、あの人たちは本物だよ。」

「なんて集団なの、」

「えっと、正式名称は

「はぁはぁ、、勇騎君」

勇騎が記憶を思い出そうとしていると、小さいが精一杯大きなお声で勇騎を呼ぶ声

「ごめん、お待たせ、、、烈火君たちはもう少しで来ると思う。麗華さんの車で、、!!」

きららは勇騎たちを見て言葉を失う。


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