知らない街の帰り道
疲れ気味に元の部屋に戻ると、きららの話とは一致しない烈火が偉そうに座っている。
「どうした遅かったな?なんだきららにでも励ましてもらってたのか?」
「リス好きの、ウサギ好き、、携帯画像はウォンバット、、」
「!!お前何の話を、、」
烈火の眉間のしわがとれ初めて表情が崩れる。
「別に他愛ない世間話ですよ。、、、あの一ついいですか」
「な、内容次第だ。まずは聞いてみろ」
「それじゃ、、、、この都市伝説研究所は男一人に女性4人って羨ましすぎる状況でしょ。」
「、、、馬鹿か、何を言っているんだ?それは質問か、なぜそんな話になる」
「質問ではなく、苦情です!帰る前に言っておかないと、世の中不平等でしょ、より取り見取りですか、引っ込み思案な年下に、年上のお嬢様に、同年代の着物美女、それにゴスロリ電波ちゃん、何なんですか!最高じゃないですか。」
「、、、、一言で言うなら知るかボケ、ぶっ殺すぞ。だが、お前の視点で語ってもそういう物でもないぞ、確かにきららはここに住んでいるが。灯と麗華さんはあまり来ない、特に麗華さんが来るのは本気で珍しい、来ても俺がいない時を見計らってくるのが普通だ。
それに澪はちょっと特殊だから、この家についた猫みたいな感じだ。この家で見かける事は皆無だ、というか、あいつが直接現われる時は余程の面倒事だ。」
「猫みたいって、それじゃ、、、きららさんの事はどう思っているですか?」
「きららや残りは、、、まぁ、娘が沢山いるような感じかな。だからお前がもし、彼女らに手を出そうとすれば、消し飛ばすぞ。」
この人の殺意は何なんだ怖すぎるだろ。人の一人二人殺してる感じだよ。
「なんなんですか、その変態思考は、、」
「俺はここでそんなくだらない話をするために待っていたわけじゃないんだがな、
もう夜も遅い、手短に用件だけ伝えておく、先に伝えたように、お前の身の回りで起きている事は心的要因に依存した幻覚と言ってもいい。その上で自覚もなく、2重人格かっこ笑いで、記憶の共有もなくなってきている上に、勝手に入れ替わるところを見るとかなり末期だといってもいい。これ以上ひどくならないように、お前自身もっとしっかりしろだ。」
「精神内科とか行った方がいいんですか?」
「それはあまりお勧めしないね。長期の治療が必要になると判断されれば相応の出費もかさむし、それで根本的な解決になるとは思えない、君の場合はね。
とりあえずはまずは自分を強く持つこと、それともう一人の自分を拒絶する事だよ。」
いい加減なと、呆れそうになる勇騎の真後から、灯が話しかけてくる。
「まずは逃げることをやめる事だね。君は逃げる癖をついている、自分に勝つ負ける以前の話。いい事を教えよう、自分も守れない様な、人間に愛する人が守れるわけがない。ここは頑張りどころさ、君は恋人への愛情が薄まっているかのように語ったが、君の平穏でつまらない人生を変えたのは彼女だ。彼女の事は大切にした方がいい、もしそれもどうでもよくなるようなら、その時が君の心が本当に折れる時さ。
恋人の為にもここは強くならざる得ないよ、勇騎君。」
「俺も五代さんに同意見だ。」
「烈火先輩たちは心が強すぎるんですよ。覚悟と信念が揺るがなさすぎです。
でも、最終的に決めるのは勇騎君自身さ、自分自身ではどうしようもない、医者に頼るという事も君次第だ、そうしたいと思うならそうすればいい。
私たちの助言を信じて頑張るか、別の医療という方法に可能性を見出すか、
いずれにしても、それが自分で考えて出した結論ならそれは最善さ」
自分で決めるか、、
勇騎は一人、すっきりしない気持ちで、都市伝説研究所を後にする。
外は既に真っ暗外套も少ない中、勇騎は手さぐりに近い状態で元いた場所に戻ってきた。
そして駅へと向かう道の途中、ふと振り返り、自分が来た道を思い出そうとする。
だが、何となく、場所は覚えているがどういう道筋であそこにたどり着いたか明確に思い出すことはできない。




