表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/40

世界が変わる。僕が変わる②

「陽菜!どうしたのその顔!」

陽菜の左目の下には酷い痣が出来、その左目も眼帯をしている。

「ちょっと、両親と喧嘩しちゃって、その弾みでぶつけちゃって、」

「ねぇ、陽菜は京介たちの事知ってる?一緒にいってたんだよね。」

「あ、いや、私は気分が悪くなって途中で抜けて、あ、その勇騎君に迎えに来てもらって、帰ったの、だから詳しい事はあんまり知らないし。」

僕が迎えに行った?何の話だ。

「そ、そうなんだ、、」

「そうよね、勇騎君、」

「あ、うん。」

信用しない皆に対して陽菜が同意を求める。負い目のある勇騎は同意するしかない。

もしかしてあの時の電話は助けを求めての電話だったのかも知れない。

僕は陽菜の為に一生懸命言い訳を取り繕う。

一昨日の昼間みたいに興奮状態でなければ、勇騎の嘘は完璧に近い。如何にも本当の様にみんなに彼女の嘘を信じ込ませる事に成功する。

すると、そのタイミングで陽菜は突然泣き出す。

「ちょっと、陽菜どうしたの?」

「実はね、この怪我、本当は私に気に入らない所があるって彼氏に殴られたの、それで勇騎君が助けに来てくれたの。勇騎君がいないと思ったら、、、」

皆一斉に陽菜を慰めにかかる

「私、、彼氏と別れた方がいいのかな。好きだと思ってたんだけど、向こうはそんなふうには思ってなくて、、」

陽菜は同情を誘いながら、暗に燿平の事を否定しながら話を誘導する。

主観で語られる悲劇のヒロインの物語、次第に彼女の嘆きは怒りとなって伝播していく。

「そんなの絶対別れた方がいいよ。陽菜ちゃんは悪くない」

陽菜に賛同する声が広がる中、勇騎は事実と一致しているとは思えない彼女の言葉を信用できず、どんどんおいて行かれていた。そんな中、いつもなんにでも首を突っ込むクラスのリーダー格の女子が、勇騎の元に近寄ってくる。

「勇騎君、陽菜、あぁ、やって強気に振舞っているけど、きっと内心すごく傷ついてると思うの、陽菜の事お願いね。何かあったら相談に乗るから、これ私のID、」

女の子の無料通話アプリのIDとはいえ、女の子の番号が入るのは初めてだ。

勇騎はどちらかと言えば苦手な女の子で、自分に好意を寄せているわけではなく野次馬根性で面白いものを一番近くで見たいだけの彼女だが、それでも、教えてくれた事は嬉しく、

こうやって気軽に番号を教えてくれた事が高校生だという実感が湧く。

でも、この正義感鬱陶しい、それに何がどうなっている、

「僕が?」

「?何言ってるの当たり前でしょ、陽菜は今誰よりも勇騎君の事を必要としてるの」

断言し、力強く後押ししようとする、その根拠は何だろう、

そして予鈴が鳴り、朝礼が始まろうとした時、勇騎の横を通った陽菜は小さな勇騎にしか聞こえない声で、笑いながら語る。

「勇騎君、放課後いいかな?」

この状況で作り笑いでも笑えるのか、、自分の知らない陽菜に怖いものも感じてしまう。

自分は陽菜に何もしてあげられていない、いいわけには付き合ったが、だからなんだというのだ。どう考えても恨まれているとしか思えない。

それに燿平と別れたっていうし、何が嘘で何がほんとか、全く分からない。

勇騎は混乱し、答えの出るはずのない思考が続き、まったく授業が頭に入らない。

おかげで、数学では答えられなかった時、ずっと陽菜ばかり見るなと忠告を受ける始末。

しかし、そんな注意を陽菜は嫌がらず、皆と一緒にくすくす笑っていた。

その笑顔はたぶん本当に心から楽しそうに笑っていて、その事が、勇騎の中の恐怖心を成長させる。ごく当たり前のようにしている陽菜、

勇騎と陽菜が先生に土曜日の事件で事情を聴くために呼ばれた際も陽菜は当たり前のように嘘を吐き、勇騎と一緒にいたと言った。あまりに考えられた言い訳を真実であるかのように矛盾なく陽菜は語り、自分達だけが、危ない誘惑を拒絶したかのように演じる。

いや本当に演じているのか、自分の記憶がおかしくなっているのではないか、もしかしたら、土曜日の夜の電話、あれも本当は全部夢で、本当に陽菜が言う事が正しいのではないかとさえ覚えてくる。

何だよコレ、陽菜は何を考えているんだよ。放課後何があるんだ。

勇騎の不安がどんどん膨らんでいく

お腹が痛い、それに吐き気もする。逃げ出したい、これが全部夢であればいいのに、、

勇騎が、願う。それで世界は変わる。

勇騎はまたあの違和感を覚え、窓から外を見る。空が赤い

まただ。またあの空だ。

だとしたら、あの影は、、勇騎が赤い影を探そうと振り向いた瞬間、赤い影はあの時よりも明確な勇騎の顔で、真後ろにいる。そして土曜日の夜同様に、勇騎は赤い影に飲まれた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ