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この船内のみで、営業している店で、他では味わえないような紅茶やコーヒーが揃っているらしい。


こう見えて詩乃は、甘いものに目がないので、紅茶やコーヒーより、カフェで出されているケーキ類を食べるのがメインなのである。


「いらっしゃいませ。ご注文は何になさいますか?」


詩乃が椅子に腰をかけるとウェイトレスが声をかけてきた。まだメニューに触れてもいない詩乃は、咄嗟に入口近くにあったブラックボードのことを思い出した。


「あ……じゃあ、本日の紅茶セットをお願いします」


「かしこまりました。少々お待ちください」



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