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豪華客船、ハイドリンジア号。
五日間の優雅な船旅が楽しめるとあって、長期休暇の時はかなりの人気となる。
現在は旅行シーズンの夏も終わり、客足も減少してきた。そんな中、物好きな者達も居るらしく、秋風香るこの季節に、船旅が行われることとなった。
「宮下詩乃様ですね。お待ちしておりました。奥のエレベーターから2階に行かれますと、左側の手前から2番目のお部屋となっております。鍵は手動ですので、閉め忘れには十分お気をつけください。では、ごゆっくり旅をお楽しみください」
受付嬢から鍵を受け取った詩乃は目深にかぶった帽子を脱ぎ、肩から下げている鞄にねじ込んだ。
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