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カリナ、訓練始まる ―システムの立ち上げ? って何ですか?―

 あくる日、日が明けてから、ジェイの監視の下でカリナのヴァンガード操縦訓練が始まった。一体何をすれば良いのか検討すらつかない状況のカリナだったが、それでも前に進まなければならないという深い覚悟が心の奥底に根付いていた。


 寝室で着替えをして、ズボン風の衣装を着て襟なしの丸首シャツとフライトジャケット羽織る。ジェイが用意してくれた指出しグローブとソックスとシューズ。着ているものだけはいっぱしのヴァンガードのパイロットだ。


「準備できました」


 落ち着いた声でそう話すカリナをジェイはエレナのガレージのオフィスで待っていた。


「来たな? 20日間の地獄の始まりだ!」


 地獄という言葉にカリナの心は即座に反応する。


「望むところです! 戦場で戦う術を楽して手に入れられるとは思っていませんから」

「いい返事だ! それじゃ早速始めるぞ」

「はい!」


 そして2人はエンジニアのエレナの待つガレージへと向かうのだった。

 エレナのガレージの建物は正面から向かって右側にオフィスや事務所がある。

 1階フロア、2階3階が生活スペースと寝室になっている。ちなみにカリナが寝泊まりしているのは3階だ。

 その母屋と隣接する形で作業工房と機械室や倉庫、そうして3階フロア分の高さをブチ抜きで設けられているガレージがあった。クレーンフックやモーターウインチが天井から下がり、ヴァンガードを固定するハンガーデッキがあった。それらが3台分ほど学んでいて複数のヴァンガードを同時に預かれる形になっていた。カリナが向かったのは一番手前のハンガーデッキだ。そこに先日見たグリーンドワーフがカリナの訪れを待っていた。


「来たね? 待ってたよ、いつでも準備OKだ」

「ありがとうございます!」


 仕事に手抜かりはないエレナの言葉にカリナは信頼を寄せるかのように笑顔で答えた。2人のやり取りの後でジェイも言葉を発した。


「カリナ、ヴァンガードの操縦訓練だが、3つほどの段階を経る必要がある」

「3段階? 入門・中級・応用みたいなものですか?」

「まあそんな認識で間違いない。ヴァンガードのシステム全体の立ち上げからメイン動力炉の操作。基本的な機体の維持の作業に関してが入門になるんだ」

「システムの立ち上げ? って何ですか?」


 聞きなれない言葉に彼らは思わず首を傾げた。そんな彼女の振る舞いにジェイはため息をついてエレナは苦笑した。


「そうかそこから教えないとダメか」

「当然だろ? 私らの世界みたいに機械産業が当たり前になる産業革命以前の時代の話だ。機械を始動させる――まずはその概念から教えないとだめだね」

「マジか!」


 ジェイは思わず頭をかいた。そんな彼の振る舞いにカリナは不思議そうにする。

 

「そんなに難しいんですか?」


 するとジェイは歩き出しながら言う。


「難しいとかじゃないんだ。感覚的なものだからな。まァ、論より証拠だ、俺が実物を使って手本を見せてやるよ。ついてこい」

「はい」


 そして2人はグリーンドワーフの機体が固定されているハンガーデッキを登っていくのであった。


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