30 再会
二人で墓に備え付けの花瓶を運び、桶のある囲いのゴミ箱に枯れた花を捨て、晶が持ってきてくれた仏花のセロファンを解いて供えた。
「ここに来れば、美咲に会えると思ったんだ」
墓に手を合わせると、晶が言った。
「不思議だね。わたしも何となく、晶が来るような予感がしてたよ」
あの手紙を受け取ったとき。そして、霊標に父の名が無かったのを確認したとき。晶は、ここへ現れるかもしれないと何の根拠もなく頭に思い浮かんだ。よく考えれば有り得ない話なのに、晶が姿を現したことをすんなり受け入れられる自分がいた。
「でも、よく来られたね。ここの話をしたことはあったけど、それだけで場所を特定できるなんて」
「あの人に場所を聞いたんだ」
晶はぽつりと言った。
あの人というのが誰なのか、聞かなくてもわかったので、わたしは晶の言葉を待った。
「あの日――去年の年末、アメリカから帰国した俺は、いよいよ計画の最重要ポイントを実行するためにテレビ人間を訪ねた」
「テレビ人間は……父は、まだあの団地に?」
父、という言葉に若干の驚きを見せた晶は、しかし何も触れずに答えた。
「ああ。いたよ、一人で。まるで廃墟のような家だった。……なあ美咲」
晶は少し視線を彷徨わせ、しかし思い切ったようにわたしを真っすぐ見据えた。
「家とか親とか、そんなことはどうでもいいんだ。今から話すことと俺の美咲への想いとの間に関係性はない。だから、今から話すことで美咲を不快にさせたらごめん」
「大丈夫。全部、わかってるよ」
わたしも真っすぐに晶を見つめた。晶は言葉を選ぶように少し黙ってから、とつとつと話し始めた。
「向かいあった男はひどく痩せていて、とてもテレビ人間には見えなかった――」




