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14 丘を登る
蝉の声は途切れることなく降り注ぐ。半分戻った意識でどれくらい歩いただろうと思う。丘の頂上はまだ遠い。
すべては1989年に始まった。
丘の頂上にはその答えがあると確信していた。
暑さに目眩がしそうになって、わたしは立ち止まり水を飲む。少し休もうか。いや、進むんだ。わたしは自分を励ますために1989年に書かれた二枚の小さな紙を再びボディバックから取り出す。
一枚は、赤茶けてずいぶん汚く、乱暴な字で『テレビ人間を消したい』と書かれている。
もう一枚は古ぼけてはいるものの良質なノートだとわかる切れ端に見事に流麗な字で『私と一緒にいてほしい。私が殺され、消えてしまうまで。M』と書かれていた。
それと、封筒に入った死者からの手紙。
1989年に書かれた二枚の紙と真っ白な封書は、テレビ人間の消滅を意味している。
テレビ人間は本当に消滅したのだろうか?
わたしはそれを確かめなくてはならない。




