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落語【声劇台本書き起こし】

古典落語「万金丹」

作者: 霧夜シオン


原作:古典落語「万金丹まんきんたん


台本化:霧夜シオン


所要時間:約40分


必要演者数:3名

      (0:0:3)


※当台本は落語を声劇台本として書き起こしたものです。

よって性別は全て不問とさせていただきます。

(創作落語や合作などの落語声劇台本はその限りではありません。)


●登場人物


初五郎はつごろう梅吉うめきちの兄弟分で、同じく江戸で食いめてしまい、二人で旅を

    続けている。同じく二日も何も食べてない。


梅吉うめきち初五郎はつごろうと江戸で食いめたため、二人で上方かみがたの友人を頼って旅を

   続けていたが、ここ二日は何も食べてない。


和尚おしょう:二人が空腹の末にたどり着いた山寺やまでらの住職。

   二人に寺に残って坊主ぼうずとして暮らすよう勧める。


檀家だんか山寺やまでら檀家だんかさん。

   父親の万屋金兵衛よろずやきんべえ訃報ふほうをもって寺へ訪ねてくる。


●配役

初五郎:

梅吉:

和尚・檀家・枕・語り:


※語りは作中1つのみです。


枕:大名だいみょうの帰り乞食こじきて言葉がございます。

  旅の初めは懐が温かい、しかし途中で路銀ろぎんを使い果たし、

  乞食こじき同然の状態で帰り着くという事を端的たんてきに表した言葉です。

  昔は東海道とうかいどう中山道なかせんどう甲州街道こうしゅうかいどう奥州街道おうしゅうかいどう日光街道にっこうかいどう総称そうしょうした、

  五街道ごかいどうは幕府の力もあって整備されていましたが、その他の道は

  山あり川あり谷ありがけあり、盗賊猛獣の出没など、常に死と隣り合わ

  せで命がけでした。

  そんな状態ですから、宿を取ったり食料を手に入れる事は困難を極め

  たものです。


初五郎:おぅいどうした、早く来いってんだ、遅れるんじゃねえよ。

    さっきから見てるってぇとだらしのねえ歩き方してやがらあ。

    江戸っ子の名折なおれじゃねえか。

    足引きずってよ…どうせ歩くならもっときりきり歩けってんだ。


梅吉:無理言うなよ…。

   一昨日おとといから何にも食ってねえんだ。

   腹ぁ減るし目は回るし…川見りゃあ水がぶがぶがぶがぶ飲んでるけ

   ど、水ってやつは腹にたまらねえなぁ…。

   腹ん中がさ、がぼがぼがぼがぼ波立なみだってんだよう。

   オマケに今日は北風きたかぜで向かいっかぜだ。

   俺の腹の中で時化しけが起きてらぁ。


初五郎:何言ってやがんだ、腹の中に時化しけがあるかよ。

    しっかり歩けよ、武士は食わねど高楊枝たかようじって言うじゃねえか。

    俺たちゃ江戸っ子だ。腹が減ってたって、減ってねえって顔して

    歩くんだよ。


梅吉:無理だぁ。

   腹が満たされてたって、腹が減ってるって顔して歩く性分しょうぶんだからな

   。


初五郎:んな事言ってる場合かよ。

    こんな山ん中でぐずぐずしてると、野宿のじゅくしなくちゃならねえんだ

    ぞ。


梅吉:…兄弟に聞くけどよ、野宿のじゅくってな、何だ?


初五郎:に寝るから野宿のじゅくってんだよ。


梅吉:はぁ、に寝るから野宿のじゅくね…すると何だな、カラスなんてのは木に

   寝るから枝宿えだじゅくだな。

   魚は川で寝るから水宿みずじゅくだ。

   俺は枝宿えだじゅくだの水宿みずじゅくだのは嫌だな。

   どうせ宿じゅくするんだったらよ、屋根宿やねじゅくで、畳宿たたみじゅくで、布団宿ふとんじゅくで、

   できりゃあ女宿おんなじゅくしてえ。


初五郎:何を言ってやがんでぇ、ったく。

    うだうだ言わねえで早くこの山をりちまおうじゃねえか。

    こんなところでぐずぐずぐずぐずしてっとな、そのうちにお

    、うわばみでも出てきたらえれぇ事になるぞ。


梅吉:…兄弟に聞くけどよ、うわばみってなんだ?


初五郎:おめぇはなんにも知らねえ男だな。

    それに腹が減ってるわりにはいろんな事聞くな。

    うわばみってのはな、蛇の大きい奴をうわばみってんだよ。


梅吉:蛇の大きいのかぁ…。

   蛇の大きいのだったら大蛇だいじゃとかなんとか言いそうなもんじゃねえか

   ?

   何だってうわばみって言うんだい?


初五郎:くどい野郎だなおい。

    じゃおぇに聞くけどよ、もしも俺たちの目の前に蛇の大きい奴

    が出てきたら、どうする?


梅吉:…驚くな。


初五郎:驚く時ゃ、黙って驚くか?


梅吉:…声を出すな。


初五郎:さらに聞くけどよ、なんて声出す?


梅吉:…うわッ! って言うな。


初五郎:そうだろ。

    うわっ、て言ってる間に、ばみられるんだよ。


梅吉:いや、何だいその、ばみられる、って言うのは。


初五郎:これはな、蛇の方の合言葉あいことばでもってよ、人間を食う事をばみる、

    って言うんだ。


梅吉:ほんとかよ…それ…。


初五郎:いいから、んな事はどうでもいいんだよ。

    はえぇとここの山をりちまおうじゃねえか。


梅吉:ま、待ってくれよ兄弟…!


    【二拍】


初五郎:ふぅ、ありがてぇありがてぇ。

    山さえりてここまで来りゃあひと安心だ……ん?


    …おい、ちょいと向こうを見ろよ。


梅吉:……え?


初五郎:俺の指の先を見なよ。


梅吉:…爪がえてんな。


初五郎:いや、爪の先だよ!


梅吉:…あかがたまってんな。


初五郎:そうじゃねえよ! 向こうの方を見ろってんだよ!

    森がぼーっと見えて、白いへいがちらちら見えるだろ。


梅吉:…どこだい。


初五郎:…おぇなにか、腹が減りすぎて目までかすんできたのか?

    向こうの方に見えるじゃねえか、

    森がぼーっと見えて白いへいがちらちらってよ。


梅吉:…森も白いへいも見えるんだよ。

   ぼーってのと、ちらちらってのが見えねえんだよ。


初五郎:しまいにゃたおすぞこの野郎。

    言葉のはなじゃねえか。

    この辺であれだけの大きな家ってのは、きっと庄屋しょうや名主なぬしの家に

    ちげえねえ。

    田舎いなかの人ってのは親切だ。

    頼み込みゃ、にぎめしの一つや二つはめぐんでくれるかもしれねえ。

    行ってみようじゃねえか。


梅吉:あぁ早く行こうや。

   俺ぁもう腹が減りすぎちまって、そろそろへそが背中突き破って

   出てくるんじゃねえかと思うくらいだよ。

            

初五郎:わかったわかった、急いで行こう。


    【二拍】


    近くまで来て見てみりゃあ、こらぁ大きな寺だな。


梅吉:…兄弟の前だけど、寺にはぼうさんがいるだろうな。


初五郎:あたりめぇだよ。

    寺には坊主ぼうずだろ。

    神主かんぬしがいたって役に立たねえんだよ。


梅吉:腹ぁ減ってるから、ぼうさん食っちまおうか。


初五郎:よせよおい、ぼうさんが食えるわけねえじゃねえか。

    それに聞いた事があるんだ。

    出家しゅっけってのはな、人を助けるというのもその道だという教えを

    受けてるって言うんだ。

    れて難儀なんぎをしております。一夜いちやの宿をお貸し願いたい、

    って頼んでどうぞお上がりくださいって言われりゃおめぇ、

    めしの一杯や二杯はめぐんでくれるだろうよ。

    だからよ、ちょっと頼み込んでみようじゃねえか。


梅吉:じゃあすまねえけど兄弟、任していいかい?

   俺ぁもう腹が減りすぎて大声が出ねえ。


初五郎:わかったわかった、俺がやるからおぇ、ちょいとそこどいてろ

    。

    えぇごめんくだい!

    お頼みもうしやす!!

    えぇごめんくだせぇやし!!


和尚:あ~これはこれは。

   いずれから参られたかな?


初五郎:こらぁどうも。

    実はあっしたち二人は旅の者でございますが、れて難儀なんぎ

    いたしておりやす。

    一夜いちやの宿をおねげぇしてぇと思ったんでございますが。


和尚:おぉそれはお困りじゃろう。

   しかしな、見られる通りの貧乏寺びんぼうでら

   夜具やぐとてろくにないが、それで良かったらこちらへお上がりなさい

   。


初五郎:あぁさようでごぜぇますか!

    こらどうも、ありがとうごぜぇやす!

    おい、和尚おしょうさんが遠慮なく上がれって言ってくれたぞ。

    ご厄介やっかいになろうじゃねえか。

    じゃ、ちょいとごめんくださいやし!


和尚:山道やまみちはまだだいぶ冷えるでの、囲炉裏いろりに火が燃えておるから、

   そばに来て体を温めると良いぞ。


初五郎:こらぁありがてぇ、そらもう体のしんから冷えてたもんで…。

    それじゃ失礼しやして…。


    はぁぁいやぁありがてぇ、助かった助かった。


梅吉:【声を落として】

   おぃ、兄弟…兄弟…。


初五郎:なんだよ。


梅吉:腹減ってるから、何か食わしてくれって催促さいそくしてみろよ。


初五郎:あのな…いま上がったばかりじゃねえか。

    催促さいそくしにくいだろうが。


梅吉:じゃあ催促さいそくひとごとここで言うから、兄弟は相槌あいづちうってくれ。


初五郎:よしわかった。

    じゃ相槌あいづちうってやるから、その催促さいそくひとごとってのを言ってみろ

    。


梅吉:おう。


   【以下、二人ともわざと聞こえよがしに】

   おい、兄弟。


初五郎:どうしたぁ?


梅吉:今日はなんだな、昼メシをちょいと早く食いすぎたな。


初五郎:そんなに早かったかぁ?


梅吉:あぁ、早かった。

   今日の昼メシは一昨日の朝食ったんだからよ。


初五郎:【声を抑えて】

    ば、馬鹿ッ、そう言っちゃまずいだろ!


和尚:ははは…両人りょうにんともだいぶ空腹のようじゃの。


初五郎:あ、あはは…こらどうも、恐れ入ります。

    いえね、もう空腹なんてもんじゃねぇんです。

    くうーってっと、ふくーってどっか行っちゃうくらいでして。

    この野郎なんざ、さっきからへそが背中に出て来ちまうんじゃな

    いかと心配するくらい、腹の中がすっからかんなもんで。


和尚:何もないがな、最前さいぜんよりその囲炉裏いろりの上で雑炊ぞうすいがぐつぐつえてお

   る。それで良かったら、遠慮せずにたんとおあがり。


初五郎:! さようでございやすか!

    いや、こらどうもありがとうごぜえます!

    おい兄弟、和尚おしょうさんがな、雑炊ぞうすいを食えって言ってくれたぞ。

    遠慮なしにゴチになろうじゃねえか。

    それじゃ和尚おしょうさん、いただきやす!


梅吉:はぁぁ、二日ぶりのメシ…メシだぁ…!


初五郎:おいッ、ガツガツすんなってんだよ!

    いま俺がよそってやるから。

    ふたを取って……、

    !どうだい、ふわーーって湯気ゆげが上がってよ、

    うまそうじゃねえか!

    いい色してるぜ!


梅吉:あああ、早く、早く…!


初五郎:だぁからガツガツすんなって!

    じゃ、このおわんをお借りして…、いやぁありがてぇありがてぇ。

    たんとよそって…、

    ほれ、熱いからな、気を付けろよ。


    いやぁよだれがとまらねえ。

    じゃ、ゴチになりますんで。

    ふーっ、ふーっ、

    ふーっ、ふーっ、

    ずずずーーっ。


    …っ!?

    うっ、ぶーーーッ!! うぇっ!


    ちょ、ちょいと和尚おしょうさんにうかがいやすが。


和尚:なんじゃな?


初五郎:この雑炊ぞうすいを口の中にいれると妙にじゃりつくんですが、

    いったい何の雑炊ぞうすいで?


和尚:ああ、それはな、人間の体にせいをつける赤土あかつち雑炊ぞうすいだ。


初五郎:あ、赤土あかつち!?

    どうも味噌みそにしちゃ妙な色をしてると思ったよ。

    体にせいをつける為ったって、こっちは万年青おもとじゃねえんだから、

    赤土あかつちせいをつけられたんじゃたまらねえや。


梅吉:っ…な、なんだこりゃ…。

   和尚おしょうさん、わらのようなものが出てきましたが。


和尚:ようなもの、ではない。

   わらだ。


初五郎:わらァ!?

    おいおい、わら赤土あかつち食ったらはらん中で荒壁あらかべができるよ!


梅吉:ひでぇなぁ……ん?

   なんか、黒くて丸いもんが入ってますが?


和尚:出汁だしを取るために、おたまじゃくしを入れてある。


初五郎:ぶーーーーッッ!!

    すいやせんけどね、あっし達にはこれぁ食えやせん。


和尚:お前さんがたにはしょくせないか。


梅吉:食えやせん!


和尚:無理もない。

   愚僧ぐそうしょくせん。


初五郎:じょ、冗談じゃありやせんよ!

    和尚おしょうさんがご自分で食えねえものを、どうしてあっし達に食わせ

    ようってんです!?


和尚:まぁまぁ、話を聞きなさい。

   実は愚僧ぐそうの亡くなった先代の師から、出家しゅっけというものは樹下石上じゅかせきじょう

   心得こころえ、つまり、山や野原、路傍ろぼう野宿のじゅくする修行者しゅぎょうしゃ僧侶そうりょ境遇きょうぐう

   忘れてはいかぬという教えをいただいた。

   それゆえ、師の命日めいにちにはそれをこしらえて師の仏前ぶつぜんに供え、

   亡き師をしのんでおる。

   そこへそなた達が泊まり合わせたのも何かの因縁いんねんであろう。

   な~むあみだぶな~むあみだぶ。


初五郎:ふーん…人間てな、どこに災難があるかわからねえもんですな。


和尚:良かったら、そっちにばくはんがあるからお上がり。


梅吉:いやいやいや、爆弾なんざ結構です!


和尚:爆弾ではない、ばくはん、麦飯むぎめしだ。


初五郎:あ、麦飯むぎめし…じゃあ、そっちのほうをゴチになりやす!


和尚:遠慮せずに、たんとおあがりなされ。


梅吉:へ、へいッ!

   はぁぁ、うめぇ、うめぇ…!


   【三拍】


初五郎:はぁぁ…うまかった…。

    どうも和尚おしょうさん、ご馳走ちそう様でございやした!


和尚:もうよいかな?


梅吉:十分に頂戴ちょうだいしやして、やっとへそも元の位置に戻って参りやした。

   ありがとうございやす!


和尚:先ほど、お前さん方は旅の者だと申したが、これから先どちらへ

   行きなさる旅じゃな?


初五郎:…どちらへ行きなさる旅だと改めて聞かれると、ちょいときまり

    が悪いんでございやすが、実はあっし達二人は江戸えどのもんでござ

    いやして。


梅吉:わけあって江戸えどで食いめまして、上方かみがたにいる友達を頼って行く旅

   なんでございやす。


初五郎:まぁ、向こうへ行ってもその友達に会えるかどうか、会えたとし

    てもあっし達に働きぐちがあるかどうかわからねえという、

    実に心細こころぼそい旅を続けなくちゃならねぇところなんでございやす。


和尚:ふーむ……どうじゃな。

   あてのない旅をあちらこちらと続けるよりも、この寺に残って出家しゅっけ

   するつもりはないかの?


初五郎:えっ…出家しゅっけってェとあれですか、二人してぼうさんになるんでござ

    いやすか?


    …。

    ちょいと待ってくださいよ。

    これぁあっしの一存いちぞんじゃ決めかねますから、友達がいますんで。


    おい、聞いたかい。

    和尚おしょうさんがよ、あてのねえ旅をするより寺に残って出家しゅっけしたらど

    うだ、ぼうさんになったらどうだって言うんだが…どうだ?


梅吉:…実は兄弟の前だけどよ、おらぁ考えてたんだ。

   あっちうろうろ、こっちうろうろするよりも、この寺でぼうさんにな

   った方が、生涯しょうがい食いっぱぐれねえんじゃねえか、って

   そう思ってたんだ。


初五郎:…おぇもか。

    実は俺もだ。

    二人してこの寺にこしぃ落ち着けるか。頼んでみるか。    


梅吉:ああ、そうしようじゃねえか、兄弟。


初五郎:よし、おぇがその気だったら、頼んでみるよ。


    いや、和尚おしょうさん。

    兄弟も承知しょうちのようでございますんで、どうかひとつ、お願いいた

    しやす!

    昔から三日坊主みっかぼうずって言いやすから、三日ばかりご厄介やっかいになりてぇ

    んでございやすがーー


和尚;【↑の語尾に被せるように】

   いやそうはいかんぞ。

   ゴホン。

   まぁそれではな、頭を丸める、つまり得度とくどを行うのは日を改めるこ

   とにして、まずは名前を付けねばいかんな。

   お前達の名はなんと言う?


初五郎:初五郎はつごろうと申しやす。


梅吉:あっしは梅吉うめきちで。


和尚:ならばお前達は今日より、初坊はつぼう梅坊うめぼうと、そう名乗るがよい。


初五郎:初坊はつぼう梅坊うめぼう……。

    おい、聞いたか兄弟。

    今日から俺が初坊はつぼうで、おめえが梅坊うめぼうだとよ。


梅吉:へへへ…梅坊うめぼうね。

   じゃあ初坊はつぼう、二人で本堂ほんどうでかくれんぼでもしようじゃねえか。


初五郎:ガキみてえなこと言うんじゃねえよ!

    じゃあ和尚おしょうさん、いや和尚おしょう様、よろしくおねげぇいたしやす!


語り:というわけで二人は頭を丸めて出家しゅっけの道を歩み始めました。

   最初のうちはだいぶ真面目まじめつとめてましたが、そこは能天気のうてんきな二人

   でございます。

   わずかばかりちますと途端とたん地金じがねが現れて参りまして。


初五郎:…。

    梅坊うめぼう…おい梅坊うめぼう


梅吉:…なんだい初坊はつぼう


初五郎:どうでもいいけど、なんだな。

    寺ってとこは退屈てぇくつなとこだな。


梅吉:ああ…退屈てぇくつだ。

   なーんにもやることがねえ。

   酒もめねえ。

   酒の味なんざ、まるで忘れちまった。


初五郎:みてえなあ。

    でも、ぜにがねえんだ。

    どうだい、ここの和尚おしょうはだいぶ小銭こぜにを持ってそうだから、

    今晩あたり和尚おしょうぜにを盗んで、二人で酒でもみに行くか?


梅吉:それもいいなあ。


和尚:【↑の語尾に喰い気味に】

   こらこらこら、お前達はろくな相談をしておらんな!

   わしのぜにを盗んで酒をみに行くじゃと?

   とんでもない話だ!


初五郎:!!和尚おしょう様、そこにいたんですか?


梅吉:き、気にしねえで下さい!

   あっしら江戸っ子は口じゃ言いますけど、はらの中でも思ってるんで

   。


和尚:なお悪いわい!

   ~~まぁよい、二人ともそこへ座りなさい。

   実はな、京の総本山から手紙が参って、わしはこれからそこへ

   出かけてこねばならぬ。

   わしのいない留守るすは、お前達二人でこの寺を立派に守らねばならぬ

   ぞ。


初五郎:えっ、京へお出かけになるんですか?


梅吉:本山ほんざんへ行かれるんで?

   それで…お帰りはいつごろになるんです?


和尚:そうさのう…わしのことだから、早くても行って戻ってくるまでに

   は、ひと月はかかるじゃろうな。

   もし、わしのいない間にとむらいの事などがあったら、山を三つ越えた

   先に木蓮寺もくれんじという寺がある。

   そこに頼めば葬式万端そうしきばんたん、みな整えてくれることになっておるでな。

   良いかの?

   

初五郎:へい、わかりました!

    和尚おしょう様の帰ってくるまで、あっし達二人が立派にこの寺を守って

    ご覧にいれますんでね!

    どうぞ、ご安心してお出かけくださいやし!


和尚:うむ、では頼んだでの。


初五郎:おう梅坊うめぼう

    和尚おしょう様がお出かけになるぞ!

    お見送りしな!


梅吉:どうぞ和尚おしょう様、お気をつけて行ってらっしゃいやし!


初五郎:いってらっしゃい!


梅吉:……行ってこい。


初五郎:……けえってこなくていいよ。


    【二拍】


    へへへ、行っちゃった!

    さあ鬼のに洗濯だ!

    もう!


梅吉:いや、もうったって、無理な事言うなよ。

   ぜにがねえよ。


初五郎:なに、賽銭箱さいせんばこをぶち壊してみろよ!

    一升いっしょう二升にしょう買うぐれえの賽銭さいせんは入ってるだろ。


梅吉:酒のさかながねえよ。


初五郎:裏の沼ぁ行ってみろよ。

    こいやナマズが泳いでらぁ。


梅吉:すくうあみがねえじゃねえか。


初五郎:和尚おしょうあさころもでもってすくえばいいじゃねえか。

    なあに、洗っときゃ分かりゃしねえって。


梅吉:そんなもんかねえ。


初五郎:梅坊うめぼう、おぇは賽銭箱さいせんばこの方に取り掛かれ。

    俺ぁ裏の沼行って酒のさかなってくる。

    …っと、このままじゃどうも威勢いせいがねえな。

    尻をはしょって、手拭てぬぐいで向こうハチマキして…これでよし。


檀家:はぁちょっくらごめんくださいやし。


   【一拍】


   はぁちょっくらごめんくださいやし!


初五郎:おい梅坊うめぼう、待ちな!

    おもてに誰か来たぞ。

    これからお楽しみだって時に、野暮やぼな野郎が来やがった。


梅吉:え…どうする初坊はつぼう


初五郎:ちょいと待ってな、俺が行ってみる。

    わけのわかんねえ野郎だったら、ぱらっちまうからよ。


    ったく、冗談じゃねえ。

    これからお楽しみだってのに訪ねて来やがってよう。

    【威勢よく】

    おうッッ!! 何だァ!!?


檀家:!!!

   …えらい威勢のいいぼうさまが出てきただな…。

   えー、わしはこの寺の檀家だんか万屋金兵衛よろずやきんべえのところから使いに参ったもので

   ごぜえますが、父の金兵衛きんべえが、死去つかまつりました。


初五郎:ふーん。

    ご苦労様!


檀家:【唖然としている】

   ……。

   …金兵衛きんべえが、おっんだでごぜえます。


初五郎:…おっんだァ…?

    【手を一回叩いて】

    くたばったか!


檀家:く、くたばった…言うことがずいぶん乱暴だぁね…。

   通夜つや真似事まねごとをいたしますで、和尚おしょう様にお出ましいただきてぇと、

   おねげぇにあがった次第でごぜえますが。


初五郎:そぉかい…そりゃあ、しい事をしたなぁ。

    実はうちの和尚おしょうは京の本山ほんざんへお出かけになって留守るす……

    【何かを思いつく】

    ぁいや、京の本山ほんざんへ用があってお出かけになられたんだが、

    安心しな。

    入れ違いに江戸からえらーい大僧正だいそうじょう様が、うちの寺にお立ち寄り

    になったんだ。

    年はわけぇけど、くらいはうちの和尚おしょうよりもずっと上だ。

    俺から大僧正だいそうじょう様におねげぇしてな、おぇんとこの通夜つや

    行ってもらえるようにしてやるからよ。

    けえってみんなによろしく言いな。


檀家:はあぁ左様さようでごぜえますか。

   それではよろしくどうぞ、お願ぇをいたしますだ。

   では…。


初五郎:大丈夫だよ、まかしときな!


    へへへ、こうしちゃあいらんねぇ。

    おい、梅坊うめぼう


梅吉:? なんだい?


初五郎:すぐに出かけるぜ!


梅吉:お? 喧嘩けんかすけかい?


初五郎:よせよおい、寺に喧嘩けんかすけを頼みに来るやつがいるかよ。

    とむらいだよ、葬式だ。


梅吉:弔い?

   じゃあ和尚おしょうが言ってた、山を三つ越えた先の木蓮寺もくれんじにーー


初五郎:なに言ってんだよ!

    そんなところに頼みに行ってみろ、

    もうけはそっくりむこうに持ってかれちまうじゃねえか!

    今な、おぇが江戸の大僧正だいそうじょうだってれ込んだんだ。

    おぇ江戸の大僧正だいそうじょうになったつもりでな、

    向こう行っておきょうあげろ。


梅吉:えぇ…乱暴な事言うなよ。

   兄弟の前だけどおきょうあげるったってよ、

   おらぁまだおきょうのおの字も覚えてねえよ。


初五郎:いいんだよ、おきょうなんざどうだって。

    田舎いなかもんばっかりなんだから、くちん中で端唄はうたでも小唄こうたでも、

    何でも知ってるうたァ並べりゃいいんだよ!

    みじけぇなぁと思ったら、都都逸どどいつの五つ六つずーっと並べときゃ

    大丈夫だって!

    俺が後ろでみーんな指示してやるからよ!

    おぇは江戸の大僧正だいそうじょうだってツラぁしてな、はらえて堂々とや

    れ!

    ほら、支度したくしろ支度したく


梅吉:わ、わかったよ…。


   【三拍】


   どうだい、兄弟。

   こんなんでいいかい?


初五郎:おっ、できたか。

    へェなるほどな、馬子まごにも衣裳いしょうかみかたちてなァうまい事言った

    もんだ。

    どっから見たって大僧正だいそうじょうに見えらぁ。

    いいか、おぇはあまり口きくなよ。

    俺が後ろで指示してやっからな。


梅吉:わかった。

   じゃあ、出かけようじゃねえか。


   【二拍】


初五郎:たしかここらだったな…お、あの家だな。


    おうッ! ごめんよッ!!

    江戸の大僧正だいそうじょうをお連れした!


檀家:! はあぁこれはこれは大僧正だいそうじょう様でごぜえますか。

   ありがとうごぜえます。それではご案内をいたしますんで。


初五郎:んッ。

    さ、大僧正だいそうじょう、上がろうじゃねえか。

    おうっ、案内してくれ。

    どこだ、どこだどこだどこだどこだーーーいッ!!


檀家:【つぶやく】

   …いやににぎやかなぼうさまだな…。


   あちらでごぜえますんで、どうぞよろしくおねげぇいたしますだ。


初五郎:わかったよ。

    【声を落として】

    …大僧正だいそうじょう大僧正だいそうじょう

    おぇだよ大僧正だいそうじょうってのは!

    ぼーっとしちゃいけねぇやな。

    向こう行って、おきょうあげてきな。


梅吉:【声を落として】

   えぇぇ…やっぱりおきょうあげなきゃダメかい?


初五郎:【声落として】

    大丈夫だって!俺が指示するからよ!

    さっきも言った通り、俺は江戸の偉ぇ大僧正だ、って心積もりで

    もってやらなきゃいけねえよ。


梅吉:【声を落として】

   わかったよ…。


初五郎:【声を落として】

    じゃ、行ってきな!


    おーい!

    そこの、さっきむかえに来た奴!!

    こっちこいこっちこい。


檀家:あ、あっしですかい?


初五郎:そうだ、そこに座れ。

    …どうだ、大僧正だいそうじょうのおきょうが始まった。

    ありがてぇおきょうだろ?


檀家:けんど、あの和尚おしょう様のおきょうをここでじーっと聞いてると、

   「おきくれぇのに白帆しらほが見える」

   「あれは紀伊国きのくにみかんぶね

   なんだか、かっぽれみてぇなおきょうでごぜえますだな。


初五郎:だからよ、陰気いんきなおきょうを陽気なかっぽれみたいに聞かせるとこが

    大僧正だいそうじょうの腕なんだ。

    おぇに言っておくけどな、あのおきょうでもわかる通り、

    大僧正だいそうじょうはあんまり陰気いんきな事がきれぇな人なんだ。

    陽気な事が好きなんだ。

    通夜つやだからって陰気なのはダメだよ、陽気にやろうじゃねえか。

    どうだい、芸者げいしゃでも呼んでうわーっとどんちゃん騒ぎするっての

    は。いい考えだろ?


檀家:げ、芸者げいしゃでごぜえますか…!?

   通夜つやの席でそんなの、聞いた事もねえ…。


初五郎:【無視して】

    それでな、大僧正だいそうじょうは酒はまねえ、生臭なまぐさものは食わねえなんて、

    そんな野暮やぼなお人じゃねえからな。

    終わったら何でもかんでもどんどんみ食いさせてやってくれ。

    いいかい?


檀家:は、はぁ…承知しやした。


初五郎:お、大僧正だいそうじょう様のおきょうが終わったな。

    おうッ、ご苦労さん!


梅吉:【肩で息をしている】

   へェ…へェ…。


初五郎:なんだい大僧正だいそうじょう、目の色が変わってやがんな。

    大丈夫かい?

    水でも一杯もらって飲んだらどうなんだ。


檀家:大僧正だいそうじょう様、ありがとうごぜえました。

   えー、それで大僧正だいそうじょう様に、ひとつおねげぇがごぜぇますだ。


初五郎:あん?

    なんだい!?

    いま大僧正だいそうじょう様に話しかけたってダメだよ!

    心持こころもちはもう空中に舞い上がっちゃってんだ。

    あのおきょうでもってせいこんててんだからよ、

    俺が代わりに聞こうじゃねえか。

    あ、もしかするってぇと、祝儀しゅうぎの事かい!?


檀家:いえ…そうではねえんです…。

   あの…戒名かいみょうをいただきとうごぜえまして…。


初五郎:……え? 何だって?


檀家:戒名かいみょうを、いただきとうごぜえまして…。


初五郎:かぁいみょう!?

    【膝を叩いてつぶやく】

    しまった…ッ! そこに気が付かなかった…!


    あ~、戒名かいみょうな…戒名かいみょうは……いいだろ。


檀家:えぇぇ、よくねぇでごぜえますだ!

   戒名かいみょうの付いてねえほとけなんてねえでごぜえますから。


初五郎:いぃよぅ、今度まで貸しときな!

    息子のおぇが死んだら一緒に付けようじゃねえか。


檀家:そうはいかねえんでごぜえまして…。

   なにぶんよろしくおねげぇを致します。


初五郎:参ったな…、

    あらかじめ本堂からなんか引っぺがして来るんだったかなぁ。

    おい大僧正だいそうじょう、何か書いたの持ってねえか?


梅吉:いや、急に何か書いたもの持ってねえかって言われたって…。


   あ。

   そうだ、今朝な、和尚おしょうの部屋を掃除そうじしたんだよ。

   そしたら文机ふづくえの横になんかっこってたんでな、ひょいっとふところに入

   れたんだ。

   持ってきてたっけか……お、あったあった。

   これ、なんか字が書いてあるだろ。こんなもんで構わねぇかい?


初五郎:構わねぇ、字が書いてありゃなんだっていい。こっち貸しな。


    【檀家に向けて】

    安心しな!江戸の大僧正だいそうじょうは手回しがいいよ。

    おぇんとこの戒名かいみょう、寺でちゃんと用意してお持ちしてくれた。

    渡すからありがたく受け取んな!


檀家:はあぁ左様さようでごぜえますか。

   それでは頂戴ちょうだいをいたします、ありがとうごぜえます。

   …。

   ……。

   …なんだか、妙な形の戒名かいみょうでごぜえますな。

   戒名かいみょうなんてものは大概たいがいながぽそいもんでごぜえますが、

   これは真四角ましかくでごぜえますな。


初五郎:ああ、そりゃ新型だよ!


檀家:はぁ…新型の戒名かいみょうでごぜえますか。

   ありがとうごぜえます。

   なになに…、


   官許かんきょ伊勢朝熊いせあさま霊方れいほう万金丹まんきんたん

   !?

   ……万金丹まんきんたん

   なんだか、薬の袋みたいな戒名かいみょうでごぜえますなこれは。

   和尚おしょう様、戒名かいみょうというものはほとけにんにあったように付けるのが戒名かいみょうだと

   そう聞いておりやすがーー


初五郎:【↑の語尾に被せて】

   なぁに小生意気こなまいきな事言ってやんでぇ!

   ほとけにんにぴったり合ってるじゃねえか!


檀家:これがでごぜえますか!?

   ならば和尚おしょう様におたずねしますけんど、あたまのこの、官許かんきょてのはなんで

   ごぜえます?


初五郎:官許かんきょってのはな、いま大僧正だいそうじょう様が「かん」の前で「きょう」を読んだじ

    ゃねえか。

    かんの前できょうを読むから棺経「かんきょ」、

    それで合ってるだろ。


檀家:はあ、「かん」の前で「きょう」を読むから「かんきょ」。

   それじゃ、「いせあさま」ってぇのは何でごぜえます?


初五郎:人間、生きてるうちは威勢いせいがいいけど、死んじまったらあさましく

    なっちまうじゃねえか。

    生きてて「威勢いせい」が良くて、死んだら「あさましく」なるから

    「いせあさま」、とくらァ。


檀家:…はんもんみてえな戒名かいみょうでごぜえますな。

   なら、霊方れいほうてのはなんでごぜえます?


初五郎:れいほう?

    …。

    ……霊方れいほうぐらいまけとけよ。


檀家:いやそうはいかねえでごぜえます。

   霊方れいほうてのはなんでごぜえますか?


初五郎:れいほうってなおぇ……、ぁー……、


    【何かを思いついて膝を叩く】

    ! 人間てのはな、死ぬとみんな幽霊になって出てくるんだよ。


檀家:いぃえいえいえ、幽霊になって化けて出るなんてなぁ、

   えれぇ事でごぜえます!


初五郎:だからよ、出ねえようにってんで、いま大僧正だいそうじょうかんの前でおきょう

    読んだ。

    おきょうってのはなんだ、ほうじゃねえか。

    出てくる幽霊をおきょうというほうでもって、ピタッと防いだ。

    「れい」を「ほう」で防いだから、「霊方れいほう」じゃねえか。

    幽霊が出ないようにありがたいおきょうをあげたから、

    お布施ふせはどんどんはずみなさいよ、ってぇ意味もある。


梅吉:【つぶやく】

   よくもまぁ口が回るもんだよ兄弟…。


檀家:…お布施ふせ催促さいそくまで入ってる戒名かいみょうでごぜえますか。

   万金まんきん……万金まんきんてのはなんでごぜえます?


初五郎:おいおいしっかりしろぃ!

    死んだ仏が万屋金兵衛よろずやきんべえじゃねえか。

    「よろきん」は「まんきん」だろがよ!


檀家:はあ「よろきん」は「まんきん」かい。

   万金丹まんきんたん、このたんてなぁなんでごぜえます?


初五郎:人間死ぬときゃ、みぃんなのどたんからむんだよ!


檀家:いやぁ、おとっつぁんはたんからんだんではねぇでごぜえます。

   川へっこったんで。


初五郎:…なんだって?


檀家:川へっこったんで。


初五郎:川に? っこった?

    それでいいじゃねえか。

    川へっこったん万金丹まんきんたんだ。


梅吉:【つぶやく】

   なんちゅうこじつけだよ兄弟…。


檀家:っこったん万金丹まんきんたんって…まるで語呂合ごろあわせでねぇか。

   …ただし白湯さゆにてもちゆべし…。

   なんだねこの白湯さゆにてもちゆべしてな?


初五郎:だからよ、ほとけは川で死んだんだろ?


    水にはこりごりしてんだよ。




終劇



参考にした落語口演の噺家演者様等(敬称略)


桂歌丸

立川談志(七代目)



●用語解説


万年青:おもと。

    中国から日本の暖かい山地に自生するスズラン亜科の常緑多年草

    。日本では関東から沖縄にかけての山地、特に西日本に多く

    自生状態で生育し、観葉植物としても鉢植えで栽培される。

    古典園芸植物の一つ。


檀家:だんか。

   一定の寺院に属し、これに布施をする俗家。

   その寺のスポンサー。


かっぽれ:俗謡、俗曲にあわせておどる滑稽な踊り。



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