洞窟のボス3
時は少し遡り・・・
>>ジン視点
やっと竜巻の持続時間が終わって放り出された俺は、またアルベリオンとの戦いを見ていた。
竜巻の持続時間が終わった時、ちょうどアルベリオンが大技を打ち込んだ後だった。
いや、アルベリオンが大技を打ったから竜巻が消えたと言った方がいいだろうか。
アルベリオンの攻撃をモロに喰らったゴーレムは、腕がバラバラに砕け散り、足も変な方向に曲がっている。
とてもじゃないが、戦闘を続行できる状態ではなさそうだ。
アルベリオンもまたそう判断したのか、ゴーレムに向かって全力で踏み込む。
その時、ゴーレムが一瞬ニヤリと笑ったかのように見えた。
刹那。
ゴーレムのコアが異様な雰囲気を醸し出しながら、怪しく光り始める。
それはまるで自爆をするかのような、か弱いが決意に満ちた輝き。
「っ、危ない!避けろアルベリオン」
俺は咄嗟に、アルベリオンに避けるように叫ぶ。
だが、気づくのが遅かった。
「っ!」
「ふ、ふふ。喰らえ!【核内自爆】」
ドゴオオォォン!!
アルベリオンが後ろに跳ぼうとした時、ゴーレムのコアを中心とした大爆発が起きる。
幸いにも俺はマップ端でイモイモしていたから爆発の範囲内にギリギリ入ることはなかったが、アルベリオンが巻き込まれてしまった。
俺は砂埃が舞い続ける中、アルベリオンの安否を確認するためアルベリオンを呼んで回る。
「アルベリオーン!大丈夫かー!」
何度か、呼んでいると闘技場の端に打ち付けられたアルベリオンの姿を見つけた。
「アルベリオン!」
「ジン様・・・すいません」
が、その姿は変わり果てていた。
まず、腕。右腕は肘から先がなく、左腕に関しては、肩からざっくりと腕が消えてしまっている。
さらに足も両足が太ももから下がボロボロに崩れてしまっていた。
体も全体的に爆発の熱によってなのか、ドロドロに溶けてしまっていた。
「動けるのか?」
「いえ、私はもうすぐ機能不全になります。申し訳ありません」
「そうか・・・」
俺は若干泣きそうな顔になる。
まさかこんなにも早く失うことになるなんて。
「ジン様、そんな顔をしないでください。私は1日後に復活できます」
「そ、そうだな・・・」
「それでは、また」
そう言って、彼女の体はポリゴンに変わり俺のアイテムボックスの中に入っていく。
アイテムボックスを見ると、『24時間後、使用可能』の文字が。
初めての仲間を失って、俺は結構気が滅入る。
◇◇◇◇◇
ちなみに、アルベリオンは死ぬことを全く気にしていない。むしろ、喜んでいる。
彼女が死んだ時に考えていたことの一部を抜粋しよう。
『や、やった!ジン様が悲しがっている激レア写真を撮ることができた!これは一生の宝物にしないと。
それと、今回初めてジン様のアイテムボックスに入ることができる。ジン様の中に入れる。ジン様の中、うへへへ』
実は彼女が、内心ジンに変態的な好意を持っていることにジンは気づくのだろうか。
・・・いや、気づくことはないだろう。
アルベリオンは表情と内心を隠すのが非常に得意なAI。
それに加えて、ジンは鈍感。
ジンとアルベリオンのカップリングが発生する確率は0に近いだろう。
とはいえ、好意を抱いているのは事実。
アルベリオンがヒロイン枠を取る日も近い。
◇◇◇◇◇
《レベルが上がりました》
《一部スキルのレベルが上がりました》
《一部スキルのレベルが上限に到達したため、進化しました》
《大量の称号を獲得したため、アナウンスを省略します》
「はぁ、まじか」
ゴーレムがまさか自爆をしてくるとは思っていなかった俺は、アルベリオンを失った悲しみに暮れながら今回の戦闘の報酬を確認していた。
自爆したから報酬はなしとかではなくてよかった。
今回手に入ったのは、ゴーレムの素材3種類と巨大な魔石。それと大量の称号。
魔石はアルベリオンに渡せば強くなれるから普通に嬉しい。
称号は獲得数が多いから、また後で見ることにしよう。
というか、もう普通に三半規管が死んでる。
今、吐いていないのが奇跡なぐらいだ。もはや目眩とかを超えて世界が回っている。
こんなところまでリアルに合わせなくてもいいのに。
とりあえず今回手に入ったのは、魔鉄がたくさんと、魔鉄ゴーレムのコア(破壊状態)、魔鉄ゴーレムの水晶。
魔鉄という響きから強そうなのはわかるが、正直どれも何に使うかわからない。
まあこれは後でミルさんに見せればいいだろう。あの人ならきっとなんとかしてくれる。
それにしてもコアが破損状態になっているのは結構痛いな。
もし自爆させずに倒していたら遺跡の時のようにゴーレムコアのままドロップさせることができたのかもしれないと思うと、結構痛い。
かなり気が合うゴーレムだったがためにもう一度会って話してみたかったのだが、こればかりは仕方ない。
それと、ゴーレムが自爆して死んだ後に確認してわかったのだが、闘技場の真ん中に転移陣が出現していた。
この洞窟内では転移が不可能だったが、この転移陣の上にいると転移が可能になるらしい。
ぐちゃぐちゃに回され続けて疲れた俺はフラフラとしながら一旦休憩するべく、イルンへ転移するのであった。




