アルベリオンおかしくね?(n回目)
アルベリオンにゴーレムについてをある程度教えてもらったあと、俺たちは魔物を倒してまわっていた。
「相変わらず早いです、ね!」
「ギジャアァァ!?」
今アルベリオンに潰されたのは、ハウスセンチビートル。
能力は大体全部強いんだが、アルベリオンの前では無力。
毒は効かないし、牙も避けられる。しかも、逃げ回っても速度で負けている。
血吸いコウモリに関してはアルベリオンに対して血を吸えないし、俺は【自爆】で即殺出来る。
両方とも完全に詰み状態だ。南無。
あれ?俺たちってもしかしてめちゃくちゃ理不尽なのでは?
まあ、どうせ倒してもリポップするし関係ないか。ここは異世界でも豹変した現実世界でもないのだ。
「ご主人様、魔石はもらいますね」
「ああ、どうぞどうぞ」
何回か魔物を倒してみてわかったのだが、アルベリオンが倒した魔物の経験値は俺に分配される。
アルベリオンは倒した魔物の経験値ではなく、魔石の魔力でレベルアップすることに関係するのだろう。
意味がわからない。
やはりこのゲームはゴーレムを作るのが最適解だった・・・?
だいぶ条件の厳しい遺跡にあったものとはいえ、あまりに強すぎる。
アルベリオンに単独行動させとけば俺が放置しててもレベリングできるってことだろ?
もはやゲームバランスとかは考えてないのだろうか。
まあ運営は何考えてるかわからないし、これが正常か。勝手に調整してくれるだろ。
ジンはこんな風に考えているが、こんなインフレ具合はこのゲームは想定していない。
実際、田中はジンのプレイ映像をみて怒り狂っている。
田中は当初の予定として、もっとゆっくりインフレさせていくつもりだった。少なくともゲーム公開して1ヶ月も経っていないのに、こんなに強くなりすぎてはいけない。
だが、このゲームはモットーとしてバグ以外は基本調整しないと言っているので、ナーフすることも出来ない。
完全に八方塞がり状態なのだ。
・・・まあ、全てはゲーム開発部のせいなのだが。今まで田中を怒り狂わせているのは全て、ゲーム開発部がはっちゃけたせいなのだ。
田中の毛根と胃壁のライフが0になる時も近い。
◇◇◇◇◇
「ジン様、またレベルが上がりました」
「お、おう。そうか」
やばい。アルベリオンのレベル上昇までのテンポが早すぎる。
「ステータスの上昇幅もかなり大きいです」
「そ、そうか」
なんかレベル3でステータスが1.5倍くらいになってるらしい。
おかしいな?俺たちプレイヤーは1レベルで0.05倍くらいなんだけど?
「強くなるのは楽しいですね」
そう言ってアルベリオンはズンズンと進もうとする。
が、俺のAGIが低すぎてゆっくりの速度になってしまう。
「ジン様・・・」
「わかった。わかったからそんな目で見ないでくれ」
やはり、あまりに遅すぎてイライラさせていたらしい。
めちゃくちゃジト目で見られた。
やっぱりアルベリオンってAIにしては高精度すぎるな。もしかしたら中に人が入ってたりするのか?
もしそうなら面白いな。
ゴーレムコアが使われるまで、仕事がなくてぼーっとしてるところを想像できた。
「では私がジン様をおんぶして行きますよ」
「お、おう。わかった」
もはや俺の人権はなくなりつつあるらしい。
アルベリオンの有無を言わさない声に逆らうことができなかった俺は、アルベリオンの背中に素直におぶさる。
尻に敷かれるタイプだから、結局俺は逆らうことができないのだ。
「それでは行きます!」
俺が完全におぶさったのを確認したアルベリオンは一気に踏み込む。
景色が目まぐるしく変わっていく。
は、速い。
先ほどまでのノロノロした速度が嘘みたいだ。
バルドも結構早かったが、この速度を目にすると相当手加減してくれていたことが分かる。
「前方、敵です。殲滅します」
「お、おう。任せた」
そして、通りがかりに滅ぼされる魔物たち。
血吸いコウモリはアルベリオンの拳に弾け飛ばされ、ハウスセンチビートルは頭を全力の蹴りで叩き潰される。
あ、血吸いコウモリが・・・血しぶきに変わった。
しかもこれで魔石をしっかり拾っているのだからすごい。もはや俺の目では何が起きているのかは認識できない。
というか酔う。めちゃくちゃに酔う。
あまりに速すぎる速度と情報の波に、頭がキャパオーバーしている。
「ふぅ、こんなものですかね」
と、俺がめまいと頭痛に悩まされていたらアルベリオンが止まってくれた。
結局今回倒されたのは血吸いコウモリが125匹、ハウスセンチビートルが6匹。
これがたった数分の間で行われたのだから、終わってる。
「んー、今回はレベルが上がりにくいですね。1レベルしか上がりませんでした」
「いや、それが普通だから」
レベルアップの速度が穏やかになってきたらしい。良かった。
このままポンポンレベルが上がってたらゲームバランスとか言ってられないからな。
「はぁ、それじゃあ最奥のボスのところを目指しますか」
「いや、なんで落ち込んでるんだよ。アルベリオンの強さ的にそんなものだろ」
そして、俺はまたアルベリオンの背中におぶさって猛スピードで最奥を目指す。
・・・もちろん、敵を殲滅しながら。




