マナクリスタルゴーレム
魔水晶の安定した採掘の方法を確立した後、小1時間ほど採掘をしていたら目標数が貯まった。
後半の方は壁や天井にも範囲を伸ばして自爆していたため、より多く稼げるようになっていた。
・・・そのせいで洞窟内が全体的に暗くなってしまったが。
ま、まあ必要経費だよな。俺が強くなればそれでいいのだ。そうだ、きっとそうに違いない(震え声)
俺は人類のエゴの一端を垣間見ながら、集まった魔水晶の山を見つめる。
すげーな。めちゃくちゃ眩しいし、でかい。
ここまで集めた俺を讃えて欲しいものである。
とはいえ、せっかく素材が全て集まったのだ。早速鉱石の山にゴーレムコアを使用する。
《【ゴーレムコア】の使用を確認しました》
《【魔水晶】100キロを使用します》
アナウンスが聞こえると同時に、俺の手の中にあったゴーレムコアと鉱石の山が光り輝いて合体していく。
みるみるうちにゴーレムコアに吸収されて、小さくなっていく鉱石の山。
ふと、耳鳴りのような音が響いた。
刹那。
俺の視界の全てが白の世界に染まる。
【遮光】を持っていてなお、一切抵抗できない光だ。
「うおっ」
俺は思わず目を閉じる。
「作成してくださりありがとうございます」
ある程度光がおさまってきた頃、俺の前から中性的な声が聞こえる。
「え?」
俺が恐る恐る目を開けると、そこにいたのは神秘的な光を放つゴーレム。
いや、もはやゴーレムではない。
その容姿は非常に整っており、見た目はほぼ人間と言っても差し支えない。
人間と違うのは、髪、肌、顔全てが白色で構成されているところくらいだろうか。
白髪ロングのめちゃくちゃ美人。身長は160cmほどで俺と同じくらいだろうか。その体から漏れる淡い光に神秘的な雰囲気を感じる。
静かに微笑んでいる姿は、ほぼ全ての男をダメにするだろう。
まさかゴーレムを作って、こんな美しい女性が完成するとは思いもしなかった俺は、口をあんぐりと開けて固まる。
「ご主人様?具合でも悪いのですか?」
彼女は俺が固まっているのを見て、心配そうな顔をしながら俺の目を上目遣いで覗き込んでくる。
「うおっ」
俺はそのあざとい顔に赤面しながら、目を背ける。
「ご主人様?」
「あー、まずそのご主人様っていうのやめてくれないか?心臓に悪い」
こんなに美人な人に『ご主人様』って呼ばれたら俺がまるで奴隷を持ってるみたいじゃないか。やめてくれ。
「そうですか?では、なんとお呼びすればよろしいでしょうか?」
「あー、ジンでいいよ」
「分かりました。ジン様」
うーむ、敬称はおそらく変えれないんだろうな。まあこれならギリ大丈夫だろう。
「ところで、なんでそんな流暢に話せるんだ?俺の知ってるゴーレムは話せてもカタコトなんだが」
「口調、ですか?それなら私の階級が関係していると思います」
「階級?」
「我々ゴーレム種はその作る素材によって階級が変わって、より強くなり性能が上がります」
なるほど?ゴーレムの階級か。
俺の知っているゴールデンゴーレムは、金の階級である上級であるとするなら、今作ったゴーレムは最上級なのだろう。
それでこんなにも見た目、口調が違うのか。
「あ、詳細を見ていいか?」
「はい、大丈夫です」
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モンスター名:魔水晶ゴーレム
レベル:1
HP:1500/1500
作成者:ジン
説明:最上級鉱石である魔水晶によって作られたゴーレム。その強さから国を3つ滅ぼした過去をもつ。基本的な闘い方は他のゴーレム種と同じだが、異常なのはその速度と圧倒的な攻撃力。魔王種の一角。
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は?
俺は目を擦ってもう一度見直すが、書いてあることは変わらない。
は?
強すぎじゃね?
「どうかしましたか?」
俺があまりの強さに衝撃を受けていると、彼女がきょとんとした顔でこちらを見てくる。
可愛い。
「いや、強すぎじゃない?」
「そうですね。私は一応ゴーレム種の中では強い分類だと思います」
彼女は若干はにかみながら、そう答える。
やけにリアルだ。このゲームのAIの精度は相変わらず半端じゃないな。
「しかもレベルの概念まであるのか」
「そうですね。作成者がいる場合、レベルという概念があります」
「エグくね?」
「エグいです」
それって基本のスペックにレベルっていう強化素材が入るってことだろ?やべーな。
頑張れば国を滅ぼすことも出来るかもな。
「ところで、名前とかってあるのか?」
このままずっとなんて呼べばいいのかわからないのは不便だ。
頭の中では彼女って呼べばいいのだが、普通に呼ぶ時になんと呼べばいいのか分からない。
「名前はありませんから、ジン様がつけてもらって構いません」
まじか。
いや、まあ当然といえば当然か。さっき生まれたばかりなのに名前があった方がおかしい。
もしあったら作ったんじゃなくて、どこかから転移してきた可能性も出てくるしな。
「名前、名前かー」
とはいえ、呼びにくいので名前をつけないといけない。
今まで運営のネーミングセンスをボコボコにしてきたが故にハードルが上がってしまった。まずい。
彼女の特徴はとにかく白いこと。
どうせ名前をつけるなら特徴にちなんだ名前を付けたい。
白、白か。
英語ではホワイト?
いや、こういう時はラテン語とかの方がいいって聞いたことがあるな。
ラテン語で白は、えーっと、アルバ?
アルバ?アルバ・・・アルべリオン!
「アルベリオンってどうだ?」
「良いですね!」
めちゃくちゃ顔を輝かせてくれる。
良かった。
「じゃあ、よろしくアルベリオン」
「はい、よろしくお願いします。ジン様」
後書き
今後のストーリーに関係するため、話の改変を行いました。
今回改変を行った話は38話『遺跡:最終層』です。
ゴーレムコアの階級を上級から最上級に変更しました。それに伴って、金より上の階級で作成することが不可能という文の削除を行いました。
こちらの改変を頭に入れて読んでくださると、ありがたいです。




