魔水晶
お星様を10分ほど眺めていると、徐々に世界が洞窟に変わっていく。
効果時間が切れたか。思ったより早くて、良かった。
ある程度世界が戻ってきたら、俺は改めて進化したスキルを確認する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
スキル名:上位毒耐性
レベル:1
説明:【毒耐性】に比べてより毒にかかりにくくなる。また、毒状態【小】までなら無効化する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
お、今回は比較的具体的に書いてあるな。前までの毒耐性は全然どこまでの毒に耐性がつくとかは書いてなかったからな。
いや、もしかするとほぼ効果がなかったのかもしれない。上級でやっと『小』を無効できるのだ。その可能性は高い。
まあそんな簡単に耐性が付いたらゲームバランスがおかしくなるか。毒を主軸に戦ってる人だっているだろうしな。
バランスを考える運営は大変だな、と思っていると視界が完全に元に戻った。
貧血は解除されていないので、頭痛は残っているが。
辛い。
とはいえ、進まないとしょうがないので俺は頭を押さえながらフラフラと進んでいく。
◇◇◇◇◇
血吸いコウモリを即殺したりしながら進んでいると、ふと徐々に明るさが増していることに気づいた。
「なんだ?もしかして光源がこの辺りにあるのか?」
俺は知らない何かがあるかもしれないと、気持ち早め(AGI:0)に進んでいく。
進めば進むほど強くなっていく光。
俺がその光源に近づく頃にはもう目を開けているのも辛いくらいだった。
とはいえ、人間は慣れる生き物。ある程度その場に留まっていたら徐々に見えるようになってきた。
こうやって勝手に慣れていくところまで再現しているのは本当にこのゲームはすごいと思う。よく分からないイベントを無くしたらもっといいゲームになると思うんだがな。
まるで作ってる人と管理者が別人みたいじゃねーか。こだわりの強い人が環境系で、弱い人がゲーム設計を行なっていたりするのか?
なお、このジンの考察は概ね正解している。環境や人体系は非常にこだわりの強い部と部長か担当しており、ゲーム設計に関しては、周知のゲーム開発部が『うぇぇぇい!!』しながら作っている。
そのため、このゲームには明らかな違和感があるのだ。
・・・ちなみに、社長の悪ふざけによってこのゲームはこんな感じになっている節はあるのだが、それはまた別のお話。
◇◇◇◇◇
とりあえず俺は、慣れてきた目で周りを確認する。
眼前に広がっていたのは、真っ白に輝く空間。
高さ、幅、ともに50mほどの正方形の部屋に床、壁、天井に敷き詰められた鉱石。
それらが全て発光している。
「うおっ、眩しい」
完全に油断し切っていた俺は、その鉱石群を直視してしまい一瞬目が眩む。
とはいえ、この洞窟がどこにいても明るいのはこの鉱石のおかげなのだろう。
洞窟全体を照らしている光量は伊達じゃない。
遠目からなら見られないことはないが、近くだと明らかに危険だ。
おそらく目の前に持ってこられると失明するだろう。
そんな雰囲気を感じる鉱石だ。
とはいえ、見たこともなければレア度も分からないため、目を限界まで細めながらその鉱石の詳細を確認する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アイテム名:魔水晶
レア度:最上級
説明:大規模洞窟の深層部で、さらに魔物の多い場所にしか発生しない鉱石。素材としての価値も非常に高い。そのため希少性が高く、一つ売るだけで一財産を築けるほど。鉱脈を見つけた日には国家予算にも劣らないほどの金額を稼げるだろう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
なんだこのアイテムは。
レア度が最上級な上に、希少性がめちゃくちゃ高い?しかも素材としても価値も高い?
俺の目の前にあるのを全部収集したらこのゲームの資産王になれるじゃねーか。
ん?この鉱石洞窟の深層部にしかないのか?
ってことは、今俺は洞窟の深層部にいるってことか。一体なぜ俺はこんな場所に迷い込んでしまったのだろうか。それとどこにこんな洞窟への入り口があったのだろうか。今でも謎である。
と、ここで俺はふとあることを思いつく。
あれ、この鉱石でゴーレム作れば最強になるんじゃね?
いまだにアイテムボックスの中で倉庫番している【ゴーレムコア】。流石にそろそろ使って反射以外の攻撃方法を手に入れたい。
元々金を使って作る予定だったが、金の等級は『上級』。魔水晶よりも等級が低いくせして、全然手に入らない。
それなら目の前に腐るほどある最上級鉱石で作った方が絶対に効率がいいし、強いゴーレムが作れるだろう。
とはいえ、焦りすぎてはいけない。念の為ゴーレムコアを取り出して魔水晶で作れるかを確認する。
結果は、可能。
「よっしゃあぁぁ!」
俺は大声をあげて喜ぶ。
なにせ見た感じゴールデンゴーレムだとちょっと今の俺のインフレ具合についていけなさそうで心配していたのだ。
そこに来て、金よりも階級の高い鉱石が見つかった。しかも大量に。
そんな状況になれば誰もが喜ぶだろう。無論、俺も喜ぶ。
俺は早速魔水晶を採取していこうと光り輝いている部屋に目を向ける。
「うわっ、眩しっ!」
完全に失念していた俺はその眩しさに目が眩む。
そうだった。めちゃくちゃ眩しいんだった。しかもどうやって採取すればいいかも分からない。
あれ?詰んだか?
後書き
ジン「目があぁぁ!目があぁぁ!」




