血吸いコウモリ
イエテイによって吹き飛ばされ、スキーよろしく雪山を猛スピードを下った俺。
俺は今、先ほどまでの山間部とは打って変わった景色の中にいた。
「ここはどこだ?」
俺は思わず疑問を漏らす。
当然だ。雪山から下るだけでは到底辿りつけない場所である洞窟の中にいるのだ。
こんな場所があるなんて聞いたことがない。攻略隊のメンバーも考察スレにもこんなことは言われていなかった。
「とはいえ、すげーな。こんな洞窟現実じゃ絶対に見れないぞ」
高さが10m、幅が5mほどある大洞窟。
中はひんやりとした空気が漂っており、どこからか水音も聞こえる。
それに加えて、暗さもなぜかある程度に抑えられている。ここは別に出口に近そうでもなさそうなのに、だ。
まあ、そこはゲームクオリティなのだろう。
・・・いや、このゲームがリアル性を追求しないわけがない。少なくとも何らかの要因があると見ていいだろう。
とはいえ、今すぐその原因を見つけれそうにもない。
仕方ないので俺はそのまま深い方に向かって進むことにする。
下ってきたので、上方向に伸びている方に進んでいけば戻れるかもしれないがそんなのは面白くない。
せっかくゲームをしているのに現実的な選択ばっかりしてるのは勿体無いからな。俺は男だ。当然ロマンのありそうな方を選ぶに決まっている。
「それにしても本当に綺麗だな」
進んでいくにつれてわかってきたのだが、この洞窟は自然の美しさが如実に残っている。
壁一つ見ても、長年水の流れや風で砕けてきたのか芸術的な崩れ方をしている。それと、両脇には小さな水の流れがあった。
入ってきた時に聞こえた水音はこの音だったのだろう。今でも静かなせせらぎが聞こえる。
マイナスイオンが出ていそうだ。精神が癒やされているのを感じる。
「グギャギャ!」
俺が川のせせらぎの音を聞いて精神の癒しを感じていると、空中から不愉快な声が聞こえてくる。
それも複数。
「グギャア!」
「グギャギャッ!」
「うおっ」
俺が上を見上げると、巨大コウモリが複数でこちらをガン見していた。
俺は思わず驚愕の声を漏らす。
そりゃそうだろ。ふと上を見たら異形の魔物が全員でこっちを見てるんだ。恐怖しない方がおかしい。
「グギャア!」
俺が驚いていると、1匹のコウモリが俺に牙を向けて突撃してくる。
突然の突進に対応できず、肩にざっくりと牙が突き刺さった。
「ちょ!待て!離れろ!」
俺は必死に肩にへばりついたコウモリを剥がそうとするが、俺のSTRは0。当然剥がせるはずもない。
「グギャ!」
「グギャギャ!」
そして、俺がコウモリの攻撃を避けられないのを見た他のコウモリも一気に俺に飛びかかってくる。
「うおっ!来るな!」
ここからは完全に乱戦状態になった。俺の血を一滴でも吸おうと死に物狂いで飛びかかってくるコウモリの群れにもみくちゃにされ続ける。
「グギャァ」
「グギャア!」
「グギャグギャ!」
この洞窟には全然魔物や生物が入ってこないのだろう。俺の血を吸おうとするコウモリたちの顔は必死だった。
その必死さに負けて、俺はされるがままになった。
グングンと減っていくHP。
・・・そう、この攻撃は俺のHPを減らしてしまっている。
それが何を意味するか。
「グギャッ?」
『死』である。
俺に一番最初に噛みついたコウモリが至福そうな顔をする中、自身の異変に気づく。
が、もう遅い。
その時にはすでにコウモリはHPを完全に失なっていた。
「グギャッ」
「グギャァ」
「グギャ?」
それを皮切りに俺に必死にへばりついていたコウモリたちも断末魔の声をあげながら死んでいく。
「「グギャギャ!?」」
仲間がバタバタと死んでいくのを後方から見ていた、血を吸えなかったコウモリたちが驚愕の声を漏らす。
そして、こいつに噛み付くのはまずいと判断したのか、すぐさま俺に背を向けて、その場から離れていく。
「【挑発】」
が、そんな甘えを俺は許さない。
せっかくの魔物なのだ。経験値やこいつを倒すことによって得られるスキルとかもあるかもしれない。
逃げられるのは困る。
「グギャッ!?」
そのスキルの声を聞いたコウモリは驚いた顔を浮かべる。
が、それも束の間、目を赤色に変えて俺に突進してくる。
◇◇◇◇◇
「グギャァ・・・」
俺にへばりついていた最後のコウモリが断末魔の声をあげて、絶命する。
《レベルが上がりました》
《称号【血は蜜の味】を獲得しました》
お、久しぶりのレベルアップだな。今回は13から14になった。
それにしても1レベル上がるだけで18もHPが伸びるのやばいな。運営はこんなぶっ壊れスキルは許していいのか?
ま、その辺は勝手に調整するだろ。知らんけど。
とりあえず、俺は今回獲得した称号の効果を確認する。
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称号名:血は蜜の味
能力:自身の血の美味しさが格段と上昇する。吸血系モンスターや種族から狙われやすくなる。
取得条件:自身の血を複数の生物から心の底から渇望される。
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はあ、またこういう感じか。
なんか碌でもない称号とかしか最近取れてない気がする。もっと有用な称号が欲しいのだがな。
と、俺は若干頭を痛くしながらさらに奥に進んでいく。
後書き
↓諸悪の根源
監視役「ざまぁww」




