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ダメージ?そんなのくらってなんぼでしょう~HP極振りの行くVRMMO~  作者: まあ
第二の街イルン

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イエテイ

「よし、どんどん進むぞ」


 俺たちはホワイトウルフでそれぞれの力を見せ、さらに奥まで進んでいた。


「ホワイトウルフ以外の魔物を見たいな!」


 ちなみに、俺は相変わらずバルドの背中の上で無防備にアカネに叩かれている。


「そうだな。それはそれと俺の背中を叩かないでくれ」


 アカネの背中叩きは痛いのだ。このゲームでは痛覚設定を0にしてるのにそれを貫通してくる。


 痛覚設定貫通攻撃みたいな謎の能力があったりするのだろうか。そんなものがあったら俺はまず間違いなく発狂するね。


「おい、魔物だぞ」


 そんなゲームとして終わっている想像をしていたら、バルドがまた前を見ながら敵を指差す。


 そういえば、今までの索敵は全部バルドがしてるな。なんか気配察知みたいなスキルでも持っているのだろうか?


「おぉ!今回はホワイトウルフじゃないな!」

「あぁ、今回は誰がやる?」


 その敵の見た目は、白い毛が生えたゴリラといえばいいだろうか。図体がムキムキで身長は2mを軽く超えている。


 簡単にいうと、イエティだ。


 まだこちらには気づいていなさそうなので、俺はその魔物の詳細を確認する。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

モンスター名:イエテイ

HP:500/500

詳細:雪の多い地方に生息する魔物。力が非常に強く、人間の頭程度なら易々と握りつぶしてしまう。が、そこまで賢くはないため、基本的には突進と殴打くらいしか攻撃方法がない。そのため、非常に絡め手に弱い。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 まあ大体見た目とイメージ通りの説明だな。


 名前がイエティじゃなくて、イエテイなのは運営の姑息さを感じるな。もう少し何かあっただろうに。


「今回は俺がやってもいいか?まだ戦ったことがないんだ」


 それを聞いた2人は目を合わせて、頷くと俺に激励の言葉をかけてくれる。


「あぁ、任せるぞ」

「おう!頑張ってこいよ!」


 俺はその声を背にしながら、イエテイに近づいていく。


「グガ?」


 イエテイは残り距離が10mほどに差し掛かると流石に気づいたのか、こちらを見て懐疑的な声を上げる。


「グガッ!」


 そしてすぐさま敵だと判断したのか、近くにあった雪を固めて投げてくる。その速度は新幹線を超えていそうなほど速い。


 まさか近づいていきなり雪だまを投げてくるなんて、思ったよりも脳筋だ。これなら反射だけでも余裕で倒せるかもしれないな。


 バゴン!


 そんな風に余裕ぶっていると、その雪玉は俺にクリーンヒットする。


「グガッ!」


 それを見たイエテイは嬉しそうな声を上げる。


 その顔は小学生がいたずらを成功させた時のような満足感に満ち溢れているような顔だった。


 ・・・まあ、いたずら(人が余裕死ぬレベルの雪玉を当てる)だが。


 普通の人間ならこれで場合によっては弾け飛んだりするのだろうが、俺はあいにく普通の人間ではない。


 この程度では俺のHPの1割すら削ることができないのだ。


「グガァ?」


 と、俺が何事もなさそうに立っている俺を見たイエテイが不思議な顔をする。


「お前の攻撃はそんなもんか?かすり傷にもならないな」


 と、俺は毎度のごとく【挑発】の効果を言葉に乗せてイエテイを煽る。


 本当にこのスキルは便利だ。俺の職業分類は一応タンクに近いので、このようにヘイト管理できるのは非常にありがたいのだ。


「グガ!グガ!」


 どこからどう見ても脳筋のイエテイにも当然その効果は入り、顔を真っ赤に染めながら地団駄を踏む。


 ・・・地団駄を踏む?それって負けた時にするやつでは?


「グガ!」


 このまま地団駄を踏まれていたらそれこそ困っていたのだが、流石にそんなことはなかった。


 一通り地団駄を踏み終えると、イエテイは俺に向かって思いっきり腕を振りかぶりながら突っ込んでくる。


 速い。


 数瞬の間に俺との距離を詰めたイエテイは俺のことを、その助走の速度も込めて俺に全力のパンチを喰らわせる。


 ドガアァァン!


 その明らかにトン超えしていそうなパンチをまともに食らった俺は、当然吹き飛ばされる。


 それがいけなかった。


 俺が吹き飛んだ先は上昇方向ではなく、下降方向。


「嘘だろおぉぉ!!」


 俺は、その慣性のままに物凄い速度でたまを下っていく。


「あ、おい!」

「ジンー!」


 最後に焦った顔をしたバルドとアカネが見えたが、それすらも一瞬で見えなくなる。


「うわあぁぁ!」


 俺は情けない声を上げながら、猛スピードで滑っていく。


 あまりの恐怖に俺は目をギュッと閉じる。


 が、俺の体は止まることを知らず、そのまま下っていくばかりだった。


◇◇◇◇◇


「ぐふっ」


 若干速度が緩まってきたと思っていたら、俺の背中が何か異物にぶつかり、そこで止まる。


「はー、酷い目にあった」


 そういえば、前もこんなことがあったな。なんだったか。


 あ、遺跡の意地の悪いトラップに引っかかった時か。思い出したら腹が立ってきた。俺はいまだにあれを作ったやつを許してないからな。


「んあ?」


 忘れていた怒りをふつふつと思い出しながら、俺が止まった場所がどこなのか周りを確認する。


 が、そこは深い森でも岩山でも、雪に埋もれた白銀の世界でもなかった。


 俺の目に入ってきたのは巨大な洞窟だった。


「ここはどこだ?」


 思わず、独り言を呟くがその声は反響するのみで返事は返ってこない。


「え?外は?」


 そして、外に戻ろうとして振り向くもそこには俺が予想していたような光はなかった。


 振り向いた先に広がっていたのもまた、洞窟。


 どうやら俺は気づかぬ間に洞窟に閉じ込められてしまったらしい。

後書き

ジン、またしても変なイベントに引っかかる。

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