攻略隊
「おーい、大丈夫か?」
俺が足を雪に取られて詰んでいた時、上の方から男性の声が聞こえてきた。
「かなり厳しいです!助けてください!」
俺は声を張り上げて、声をかけてくれた人物に助けを求める。
「よし、わかった。そのままそこで移動せず、じっとしていてくれ」
なんとか俺の声はあちら側に聞こえていたようだ。良かった。
俺はほっと胸を撫で下ろす。
数分ほどその場でじっとしていると、数mほど先から気配を感じた。
危なかった。もう俺の腰くらいまで雪が積もってきているから、てっきり助けに行くと言いながら実際は助けに来ないタチの悪すぎる悪戯かと思った。
「よし、着いたぞ。お前ら、彼を引き抜くのを手伝ってくれ」
「「「いっせいのーせっ!」」」
彼がそういうと3人のプレイヤーが俺の周りに立って一気に引き抜いてくれる。
「ありがとうございます。助かりました」
俺は素直に礼を述べる。
それと同時に彼らが近くに近づいてくれたため、その姿を見ることができた。
4人とも男性のプレイヤーで、俺に最初声をかけてくれた人はムキムキマッチョの男性だった。
「いやいや、お互い様ってもんよ。それにしても間に合って良かったぜ。まさかこんな場所に攻略隊以外のプレイヤーがいるなんてな」
「攻略隊?近くにいるんですか?」
彼は興味をひくことを言った。
攻略隊。
彼らは、今次の街を探すべくこの山を攻略しているらしい。これは街で色々買っている時や図書館にいるときに何度か聞いた。
「あぁ、今は社会性をある程度持つトッププレイヤーがタッグを組んで攻略してるところだな。実際俺もその一員だ」
「本当ですか!?攻略を始めた時にもしかしたら会えるかもとは思ってたけど、まさか本当に会うことになるとは」
まさかの本当に彼らは攻略隊らしい。
攻略前に思っていたことが実現するとは。これももしかしてフラグ建築士とかの効果だったりするのか?
・・・いや、流石にないか。もしそうならこのゲームは人の運命力を変える力を持つことになってしまう。そんなことがあったら大事件だ。
「まあこんなところで立ち話もなんだ。俺たちの拠点に来るか?」
と、そんな根も葉もない陰謀論を想像していたら、拠点に来ないかと提案された。
「良いんですか?ぜひお願いします」
「よし、わかった。俺に着いてきてくれ。拠点はここから大体100m離れてる場所にある」
どうやら拠点に連れて行ってもらえるらしい。俺は攻略隊の拠点がどんな感じになっているのか見てみたいので、承諾する。
というか、ここで断ったら間違いなくまた雪に埋もれることになるだろうから、断ることなどできないのだが。
「そういえば、なんで俺があそこにいるってわかったんですか?」
俺は助けてもらったことに感謝しながら、一番疑問に思っていたことを聞く。
「あぁ、それはそこにいる斥候のおかげだ。そいつは相当広い範囲の気配探知を持っていて近くの気配を探れるんだ。まあ、まさか拠点から近いところに人間がいると行って飛び出して行くとは思わなかったけどな」
「斥候のシーフっす。よろしくっす」
彼がそう言うと、シーフと名乗った男性が俺に自己紹介をする。
なるほど。どうやら彼の広い索敵範囲と行動力に助けられたらしい。
それにしてもこのゲームにも斥候とかいるんだな。てっきりよくわからない職業まみれでまともなものはほぼないと思っていたのだが。
いや、俺のプレイスタイルが奇抜すぎてそう見えてるだけか。一体どこから俺のステータスはおかしくなり始めたのだか。
「よろしくお願いします。シーフさんに助けられたんですね」
「ははは。そうは言っても僕だけじゃ絶対ここには辿り着けなかったっすから」
確かにそれもそうか。悪いが、この人はお世辞にも強いようには見えない。
とてもじゃないが、この吹雪の中100mも移動するのはできるとは思えない。
そう考えると、周りの人にも助けられていると考えるのが妥当か。
「改めて、ありがとうございます。みなさん」
「ははっ。褒められて悪い気はしないが、そういうのは拠点に戻ってからにしてくれ。まだ天気は大荒れ状態なんだ。今はゆっくり談笑するタイミングではない」
「「すいません(っす)」」
確かに彼の言う通りだ。今は猛吹雪で1m先もまともに見れる状況、談笑しているような余裕はない。
そう思った俺とシーフは目を合わせて頷くと、黙々と彼の後ろを着いて行く。
◇◇◇◇◇
あれから30分ほど慎重に山を進んでいると、ホワイトアウトでくっきりと見えないがぼんやりと光が見えてきた。
「よし、見えてきたぞ。あれが俺たちの拠点だ」
と、リーダー格の彼が言う。
そこは拠点と呼ぶのには発展しすぎている建物があった。
大きさは小さめのハイツくらいだろうか。かなり大きい。全て木造でできていて、中からオレンジ色の灯りが漏れている。
すげー、よくこんな雪山にここまでの建築物を建てれたな。もしかして建築士みたいな職業の人が攻略隊にいたりするのだろうか。
「よし、じゃあ早速中に入るか。流石にあれだけの吹雪の中を進むのは疲れたな」
彼はそう言うと中に入って行く。それに伴って他のプレイヤーも中に入っていく。
「お、お邪魔します」
それを見た俺も恐る恐る中に入るのであった。




