大量!大漁!大蛙!
トレントを倒した後、俺はまた八つ目蛙を倒していた。
「【自爆】・・・それにしても八つ目蛙とエンカウントしすぎじゃないか?」
ここまでトレントはあの時に出会った一体だけで、あとは八つ目蛙しか出会っていない。ヒルビルに至っては一度も見たことがない。
これは明らかにおかしい。軽く情報を見ていてもここまで偏りがあるとは聞いていないのだ。もしかしたらなんらかのイベントにすでに入っているかもしれない。
そんなことを思いながら山の奥を目指していると、進行方向から音が聞こえてきた。
ザアアァァ
それはまるで滝が流れているような力強い、だけどどこか心地よい音だった。
「なんだ?滝?」
今まで登っている途中、川や湖の類は一度も見ていなかった。なので、この音はあまりにも不自然だ。
俺は辺りを警戒しながら進んでいく。
「グエッ」
「グルェッ」
「グエェェ」
その音に近づくにつれて滝の音とは別の音が聞こえてきた。
間違いない。これまで何度も戦ってきた憎き敵、八つ目蛙の声だ。それも複数聞こえる。
どういうことだ?一体何が起きているんだ?
俺が疑問に思いながら進んでいると、ふと開けた場所に出た。
俺の視界には広大な湖が広がり、俺はちょうどその湖を上から見渡せる崖の部分に立っていた。
崖の高さはちょうど10mくらいだろうか。飛び降りても死にはしないだろうが、普通に高い。
ゴオオォォォォ!!
そしてその湖に流れ込む30mはありそうな巨大な滝。先ほどから聞こえていた音はこの音だったのだろう。
が、問題はその滝ではない。
「グェッ」
「グルェッ」
「グルェ」
見渡す限りの蛙、蛙、蛙、蛙、蛙、蛙。
この湖にはありえないほどに大量の八つ目蛙がたむろしていた。それはまるで蛙の絨毯、いや大地といってもいいだろう。
ある蛙は日向ぼっこをし、ある蛙達は喧嘩をしている。さらにある蛙は溺れそうになっていたりと個性豊かな蛙達が生活を楽しんでいる。
そんな蛙の天国に俺は辿り着いてしまったようだ。
「は?おいおいおい、どういうことだよ」
幸いにも俺はこの大量の蛙たちにまだ気づかれていないし、このままサッと立ち去ることもできるだろう。
だが、このままこいつらを放置するとどうなるか。
このまま留まり続けるなら問題はないだろう。だが、もしこれだけの蛙たちがドラゴンの時のように追い立てられたり、気まぐれに移動したらどうなるだろうか。
当然、その通り道は阿鼻叫喚のカオスになる。
そしてそこがイルンだった場合、まず間違いなく街は滅ぶ。
いかに強い冒険者がいるとはいえ何万という数の暴力には抗えないのだ。
「くそっ!」
その可能性に辿り着いた俺はここから立ち去るという選択はできなくなった。それはつまりこれだけの蛙を倒さないといけないということを意味する。
しかし、HPを消費しないと攻撃できない俺にこれだけの軍勢を倒す術はない。
また、一度離れて増援を呼ぶにしてもこいつらがいつ移動するかもわからないので離れることもできない。
完全に八方塞がり状態なのだ。
「グルェ?・・・グエエェェェ!!」
が、そんな思考をしている余裕はなかった。1匹の蛙が自分達とは違う生命を見つけて、明らかに興奮した声で叫ぶ。
「「「グェッ?」」」
その声に釣られて大量の八つ目蛙の目がこちらをギョロリと見つめる。
うわっ、きっも。ただでさえ4倍なのにそれが大量になったらもっとキモいな。今のを集合体恐怖症の人が見たら絶対失神してたぞ。
この辺りに住んでいる蛙は皆飢えている。当然だ。これだけの数の蛙の食料を賄うのはどれだけ豊かな森でも不可能だ。
そんな飢えた蛙が食べれそうな生物を見つけたらどうなるか。確実にその獲物を死に物狂いで食べにくるだろう。
「「「グエエェェェ!」」」
大量の八つ目蛙がその舌を伸ばしてくる。
「クソッ!バレたか」
逃げるならもっと早く行動するべきだったし、考えるなら一度隠れてから考えるべきだった。
そんな後悔をしてももう遅い。俺は大量に放たれた舌の一本に為す術なく絡め取られる。
こうなってしまっては仕方がないので、ある程度近づいてから俺は【自爆】を起動する。
それも消費する体力を生けていける限界まで増やして。
ボゴオオォォン!
俺を中心に半径50mほどの大爆発が起き、約300匹ほどの蛙がその爆発に巻き込まれた。
一度やってみたかったんだよな。限界まで強化した自爆。
それにしてもすげーな、もはや手榴弾を超えて小規模なミサイルくらいの爆発を起こしてるんじゃないか?
《レベルが上がりました》
《ステータスポイントを自動で振り分けました》
当然、その爆発に巻き込んだ蛙たちの大量の経験値が入り、レベルが上がる。そして体力が全回復する。
ん?体力が全回復する?なんでだ?
レベルが上がれば体力が回復するということを完全に忘れていた俺は、なぜ体力が回復したのか一瞬理解できなかった。
そういえばそんなシステムあったな。ってことは体力はほぼ気にしなくてもいいってことか?じゃあ考えるのは自爆のクールダウンくらいか。
俺の爆発を運よく避けた蛙たちはあまりにお腹が空いていたのか俺が殺しきれなかった、瀕死の蛙を食べ始めていた。
おいおい、まじかよ。こいつら共食いまでするのか。そんなに飢えてるのになんでこの場を離れなかったんだ?
と、まさか共食いをするとは思っていなかった俺は若干引き気味になりながら蛙たちの動向を見ていた。
が、当然全てが全て共食いをするのではなく、一部の蛙がこちらに向かって突っ込んでくる。
「グェッ!」
はぐれ蛙たちは短期決戦を仕掛けるべきと判断したのか、その大きな体でプレスしてきた。
しかし、その攻撃で、俺を即死させれなかった時点で勝ち目はない。
反射ダメージによって蛙たちは次々と死んでいく。
俺はなんとかポーションを飲みながら次の自爆のクールダウンまで耐える。
「3、2、1、よしっ【自爆】!」
ドオオォォン!
俺を中心にまた大爆発が起きる。今回はレベルが上がっていたため、先ほどよりもさらに範囲が広がっていた。
《レベルが上がりました》
《ステータスポイントを自動で割り振りました》
《職業進化が可能です》
どうやら今回の爆発で次の職業になれるようになったらしい。
それはレベルが上限になったことを意味するので、俺は急いで職業進化を行う。
くそっ、今回もMの上級職しかないのかよ。
今回の進化でもまたM[上級者]しか選択肢がなかったため、俺は渋々その職業に進化した、その時、
「なっ!?」
俺の体が飛ばされた。
追記
今回、思い立って新しい作品、
「ダンジョンマスターなのに、全然ダンジョン作れないんだが?」
を公開しました。
よろしければ、読んでいただけると幸いです。




