西の山へ
ある程度の準備をし終わった俺は西の山に来ていた。
攻略組が今ここを攻略しようとしてるみたいだし、遭遇するかもな。
と、道中思ったりもしたが特段そういうことはなかった。これに関しては出会えたらラッキー程度に思っていたので、ほぼ問題ない。
西の山は高度1000mほどのそこそこな規模の山だ。上の方に行くと雪が積もっているらしくて、寒さ対策をしていないとかなり厳しい攻略になるようだ。
それに加えて、高度が変わるごとに生息している魔物や植物が変わったりするので知識が各層ごとに必要になってくるそうだ。
流石にその内容まではわからないが、その辺りは攻略しながらデータを集めていこう。
そう思いながら、俺は山の中に入っていく。
山の低層は鬱蒼とした森と言った感じで、湿気ていて木が大量に生えている。そしてその木一本一本が日光を奪い合うが如く葉を広げているので、木の下は昼でもかなり暗くなっている。
俺はそんなフィールドをホラー耐性のない人は厳しそうだなとかしょうもないことを考えながら進んでいく。
と、進んでいたら急に空から何かが降ってきた。
「グエエエ!」
俺の目の前に着地したそれはカエルのような見た目の魔物だが、目が8つあるというキモい見た目をしていた。
が、そいつは明らかに何かに怯えている様子で、俺のことなど気にもかけずすぐにジャンプして逃げていった。
なんだ?なんで魔物なのに俺のことを攻撃しないんだ?
と、疑問に思って、その場に滞在しているとその答え合わせの時間が訪れた。
「グオオォォォ!!」
目の前から先ほどのカエルよりも明らかに早い速度で魔物が突っ込んできたのだ。
生物が逃げるということは大体の場合捕食者から離れるためだ。俺はそのことがすぐに頭に浮かばずに逃げるのが遅れてしまった。
カエルが逃げていることを認識した時点で俺も逃げるべきだったのだ。そうすればこんなふうにエンカウントすることもなかっただろうに。
「グルェ?」
その魔物は俺を認識すると、足をとめこちらを見てきた。
「グルル、グオオオ!!」
そして、標的を俺に変えたのかニヤリと笑って俺に威嚇の声を挙げる。その声は今まで出会ったどの魔物よりも大きく、そして鋭い声だった。
そいつの見た目は、目が四つあり、顔はカエルで足はイモリ、体は蛇という気持ち悪い外観をしていた。それに大きさもなかなかのもので高さが3m、体が8mほどだった。
その身からでる圧は明らかに砂漠のフィールドボスであるグロスイグアナよりも強い。俺はあいつでさえ相討ちだったのだ。十中八九こいつには勝てない。
そう思わせるほどにはそいつは強かった。
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モンスター名:レッサーポイズンドラゴン
HP:1500/1500
説明:ポイズンドラゴンの下等種。が、下等種だからと言って侮ってはいけない。その身には竜種と言えるくらいの強さを秘めている。名前の通り毒を使って戦う。過去に小規模な街を何度か壊したことがあるため、発見次第討伐するべき、と定められている魔物。
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なんだこいつは。砂漠のフィールドボスでも体力は1000だったのにそれの1.5倍?絶対こんな場所にいるべき魔物ではないだろ。
「グルル・・・」
レッサーポイズンドラゴンは俺のことを餌とすら見ていないのか完全に舐めている態度で俺のことをニヤニヤと見ていた。
なんだ?俺のことを遊び道具とでも思っているのか?
魔物に完全に舐められていることに気づいた俺は勝てなくても最低限一矢を報いてやると思い、戦闘体制に入る。
「グルァ!」
俺が戦闘体制になったことを認識したレッサーポイズンドラゴンはまずは小手調べなのか小規模な毒の球を口から吐き出した。
ベチャッ
その球は当然避けられない俺に命中する。粘り気があり、色も毒々しい紫色という明らかに毒ですよという見た目の通り俺は毒状態(小)にかかる。
一応毒耐性のスキルは持っているがどこまで通用するかだな。
レッサーポイズンドラゴンは俺がその攻撃も避けず、正面から喰らったことに驚いたのか一瞬顔が固まったが、すぐにニヤニヤした顔に戻る。そして、次の攻撃をする準備をしていたのだが、その攻撃を辞めて攻撃してくる気配がなくなった。
どうやら毒を浴びせてあとはその毒で倒れていくのを見るのが好きらしい。いい性格してるぜ。
が、これはチャンス毒状態(小)だと俺の回復量よりも与えるダメージが下回っている。このままこいつを騙し続ければ反射ダメージだけでこいつを倒せるかもしれない。
と、思い俺はできるだけ毒に苦しんでいるふりをし始める。
それを見たレッサーポイズンドラゴンは楽しそうに俺の様子を眺める。本当にこいついい性格してるな。
格下しかいない環境で育ったからなのかは知らないが、あえて即死させずじわじわと殺すという戦法をとってきている。
が、今回はその慢心は俺にとってありがたい。俺はこのまま倒せたら楽なんだがなと思いながらも苦しんだふりを続ける。
◇◇◇◇◇
あれから15分ほど俺は苦しむふりを続けていた。
どうやらこいつは心底バカだったようで今更になっておかしいと思い始めたようだ。が、もうこいつの体力は半分を切っている。ここまで来れば最低でも相討ちには持っていけるはずだ。
「グルェ?グルアァ!」
「あ、ばれた?俺は苦しんでるふりをしてただけだぜ?」
「グルァ!?」
「そんなこともわからないなんてお前相当バカだな」
俺はここぞとばかりにスキル【挑発】を使用した。
「グルアアアァァ!」
ドラゴンは騙されたことがよほど癪に障ったのか怒り狂った様子で俺に毒の球を乱射してきた。
ドドドッ!
俺はそのすべての球を受け止める。
「グルッ!」
今度は勝っただろうとドラゴンは鼻を鳴らす。
が、今回は相手を舐めすぎた。全力で攻撃するのがあまりにも遅すぎた。ドラゴンは自らのHPがぐんぐんと減っていることにも気づかず、いつの間にか死んだ。
・・・最後まで馬鹿すぎたな。
俺はそう思いながら毒ダメージによって死に至る。
今回は相手の油断と慢心を突けたから良かったが、普通に戦っていたら負けていただろう。俺はあいつを反面教師にどんな相手でも油断せずに戦おうと心に決めた。
後書き
舐めプ、良くない




