街探索
《新たな街、イルンに到着したことを確認しました》
《リスポーン地点に新しく設定できます》
《新しく転移要素が追加されました》
「ん?」「あれ?」
イルンの街に入った途端、アナウンスが聞こえてきた。俺とエナは揃って首を傾げる。
「えーっと、リスポーン地点の更新と、転移機能の解放?」
「えっ、転移機能なんてあるの?このゲーム」
「あるみたいだな。一応訪れた場所に転移できるようになるみたいだ。まあ、新しい街に着いたら転移できるようになるっていうのは仕方ないな」
「えー・・・。あれだけ頑張ってフィールドに行ってたのはなんだったの・・・?」
「それはそうだな」
エナは俺と同じく極振りプレイヤーなので、スピードが致命的に遅いのだ。だから、俺と同じでフィールドに行くのにとても時間がかかっただろう。俺は、仲間がいることに少し安心した。
それはそうと、運営?こんな便利な機能を次の街に行かないと解放できないなんてふざけてるのか?どれだけ俺たち速度がトロイ人たちが頑張ったと思ってるんだ。
先に言えよ!!
と、ひとしきり確認した俺は気を取り直して、門の外とはまた違った景色に驚いていた。
「すげぇな。門の外は屋台が並んでいたけど街中は全然並んでいない」
門の外は屋台が無数に並んでいたのだが、街中には屋台が一つもなかった。その代わりとしてあるのは建物の中にある店だった。
「うわあ!すごい綺麗な街だね!それにこの匂いなんだろう?いい匂いがする」
エナも先ほどとは打って変わった景色にびっくりしたのか、目をキラキラ輝かせるが、すぐにご飯の匂いに気づきそれに夢中になってしまった。
本当にエナは変わらないな。新しいものよりもご飯の方が好きだなんて。
俺はエナと関わっていると時間が溶けていくし、疲れると思ってエナにある提案をする。
「ここから別行動にしないか?エナだって俺とずっと一緒は嫌だろ?それにエナも食べたい物がたくさんあるんだろ?」
「確かに、ジンさんにずっと付き合わせるのも申し訳ないしね。元々パーティを組んでたわけでもないし。いいんじゃないかな?」
もっともらしいことをエナは言っているが、多分そんなことはかけらも思っていないだろう。顔に早くいろんなご飯を食べたいと書いてある。めちゃくちゃワクワクして目を輝かせているからわかる。
と、エナから一応同意を得たのでここからは別行動にする。流石にずっと一緒にいるのは疲れる。この数時間の旅でさえかなり心が摩耗したのだ。
「それじゃあ、またな」
「はーい!バイバーイ!」
そう言ってエナは早速すぐ近くの飲食店と思われるところに走っていった。
やっぱり食べ物のことで夢中だったか。あれほど顔に書いてあるのを見たことはなかったな。誰でもあれには気づけるな。
「さてと、じゃあ俺は一旦この周辺の情報を集めるところからかな」
俺はエナが隣からいなくなったことに少し寂しさを感じながらも、攻略に向けて動き始める。
◇◇◇◇◇
あれから30分くらい聞き込み調査やら、資料を見てみて俺はなんとなくこの街の情報がわかった。
まず、この街は商業の街と言われるほど商いが盛んで新人から大商人までが訪れるらしい。そして街の中に店を構えられるのは一握りの商人のみ。それ以外は基本的に街の外で露店や屋台をして名声を稼いでいくらしい。
なるほど、だから外はあんなに屋台が多かったのに中に入ると一気になくなったんだな。
それと、一応プレイヤーも申請すれば素材や作成品を売ることができるらしい。まあ今のところ素材が余ってたりはしないから俺は使わないかな。
他には、この街の周りの様子もいくつかわかった。
まず、ここから北に行くと最初の街に戻れる。まあ、これは当然だ。
そして、西は最初の街と比べると少し規模の小さい山があるそうだ。そこには高山特有の魔物や植物がたくさんあるらしい。それに鉱石もちょこちょこ取れるらしく、かなり重宝されてるようだ。
さらに、東にはこの街が栄えている一番の理由の一つであるダンジョンがある。
ダンジョン
異世界系小説でよく聞く名前だ。
様々な種類があるが、このゲームでのダンジョンは魔物が大量に出てくる代わりに大量の素材が取れるし、宝物が取れる場所だ。そしてその規模からE〜Sのランクがつけられており、Eが一番低く、Sが一番高い。そして、踏破報酬は難易度が上がるにつれ豪華になっていくらしい。
今のところ報酬がわかっている上限はCランクで、スキルオーブというランダムでスキル入手できるアイテムだそうだ。
そして、この街の近くにあるのはDランクで、食料になるものや薬草などを入手できるそうだ。
ぜひ、この街にいる間に訪れたいものだ。
最後に、なんやかんや一番気になる南なのだが、海が広がっており、砂浜があるそうだ。しかし、その海を渡った人はいまだにおらず、その先がどうなっているかまだわかっていないそうだ。
そして、今のところ次の街の場所がわかっていないらしく、考察班は山の先にあるのではと踏んでいるらしくて、今は西の山を攻略しているそうだ。
ユニーククエストの目指す場所の手がかりになると思ったのだが、流石にそんなことはないようだ。
まあまだ期限はあるからゆっくりと考えよう。
とりあえず、俺は最初の目標であったゴーレムコアの素材を集めるということを達成するために西の山に行くことにした。
よし、じゃあある程度準備をしていかないとな。
後書き
エナちゃんの出番は一旦ここまで。
またジンはソロで動いていきます。
ちなみに、盗賊のプレイヤーの何人かが、食べられることによって新しい扉を開いた模様。
次回は、一度あの可哀想な人の今についての閑話を挟みます。




