盗賊戦:後半
総合ポイント200pt達成!
皆様のおかげで総合200ptを超えることができました。
作者の気まぐれで連載を開始しているのに、ついて来てくださる読者の方には感謝しかありません。
これからもこの作品をよろしくお願いします。
時は少し遡り、
「人間ってどんな味がするんだろうねぇ?」
私はエナ。ULOでモンスターを食べて新しい味を探しているプレイヤーだ。今は次の街に行く時に絡まれた盗賊の対処をしているところ。
人間はいまだに食べたことがないから、どんな味がするか楽しみなんだよね。
「ケヒヒ、おとなしく着いてこないなら強引に連れて行ってやるぜぇ」
と、目の前の盗賊さんが言う。なんで私の貧相な体がいいんだろうね?もっとスタイルのいい人もいるだろうに。
まあ、どうせ食べるから関係ないんだけどね。
私のところにきた盗賊さんは2人で、1人は短剣、もう1人は盾を持っている。盗賊がパーティで戦うとは思ってなかったので、この組み合わせにはちょっとびっくりした。
私のところに近接職ばかり来てくれたのは食べやすいようにっていうジンさんの采配かな?もしそうならまた後で感謝しないとね。
それにしてもジンさんはすごいな〜。私みたいに新しい物を求めて次の街に行くんじゃなくて強くなったから行くなんて。会話も私なんかよりもよっぽど上手だし、私の話も聞いてくれた。正直感謝しかないよ。
「考え事か?だが、よそ見はだめだぜ?」
と、余計なことを考えていると盗賊さんの1人が私の背後に回って、短剣を振り下ろしてきた。
ガキン!
が、その刃が私に刺さることはなかった。むしろ短剣の方がぐにゃりと変形してしまった。
まあ、しょうがないよね。私は防御力極振りなんだし、そんな短剣でダメージを喰らうほど私はやわじゃない。
「なっ!?」
短剣使いさんは、自分の武器が壊れたことにびっくりしちゃったのか体が止まってしまった。
「だめだよ、戦闘の途中で動きを止めたら」
そう言って、私は盗賊さんの腕を掴む。
・・・とは言っても、私の身長が小さ過ぎておねだりしている子供みたいになってるけど。
それじゃあ、全ての命と、自然の恵みに感謝して、
「いたただきーーー」
「おらぁ!!」
「きゃっ!?」
いただきますをしようとしたらもう1人の盾使いの人に吹き飛ばされてしまった。むぅ。
私はせっかくのご飯を邪魔されて、怒って頬を膨らます。
「すまない、助かる。振り払えなかった。」
「いいってことよ。それにあの子さっきいただきますって言おうとしたよな?」
「ああ、確かにそう言っていた」
「マジかよ・・・」
盗賊さんたちは私が思っているよりも仲がいいみたいだ。助けてこないと思ったのに・・・・。
今度こそ食べられるように私はスキルを使う。
「【大物喰らい】」
すると私の体から黒いモヤが滲み出てくる。このスキルは偶然ボスモンスターを倒して食べた時に手に入れたもので、私が餌と認識した物を全て自分の近くに連れてくるという効果を持っている。
せっかく食べたいのに、私の速度が遅過ぎて逃げられた時が何度かあったからこのスキルをゲットした時は嬉しくて、ぴょんぴょん跳ねていた気がする。
「な、なんだこれは!?」
「うお、吸い寄せられる!?」
「【悪食の手】
私は近づいてきた盗賊さんたちを黒い手で拘束する。このスキルは最初の方に取れたスキル【悪食】のレベルが上がって手に入ったもので自身の半径1m以内の餌と認識した物を闇の手で拘束すると言う効果を持っている。
「うわ、なんだこの手?抜けられない!」
「くそっ、なんで抜けられないんだ!?」
一応格上なら抜け出せるんだけど、盗賊さんたちはそうではなかったみたい。私の闇の手に捉えられて苦しそうにもがいている。
じゃあ、改めて全ての命と、自然の恵みに感謝して、
「いただきます」
私は、2人のうちどちらから食べるか迷ったけど、お預けを食らった短剣使いの方から食べることにした。
「お、おい。まじで俺のこと食べるつもりか?」
「うん!美味しかったら盾使いの人も一緒に食べてあげる!」
そう言って私は短剣使いの手に齧り付く。
・・・ん、意外と美味しいかも?さっぱりしてるけど後味の深い甘味と、ほのかな甘みを感じる。似たような味を挙げるならなんだろう?あ、馬刺しが一番近いかも。醤油が合いそう。
このゲーム多分魔物とかの生物の味は作り物だと思うんだよね。だから多分人間も現実世界で食べたらこんなに美味しくないと思う。
まあ、流石に私もそこらへんは弁えてるから現実世界で食べたりなんてしないけどね。あと今回食べてるのは、相手が盗賊で悪い人だからね。善良なNPCを襲って食べたりはしないよ。
「うぐっ」
人間も意外と美味しいことがわかり、もぐもぐと食べ進んでいく。盗賊さんが呻いているけど気にしない気にしない。
さすがに運営もまずいと思ったのか、仕様なのかは知らないけど、人間の場合傷口から血が吹き出したり、内部構造がリアルだったりはしないのでそこまでグロくならなかったのは幸いと言うべきかな?
「ぐふっ・・・」
盗賊さんは腕一本食べ切れた時点で事切れたらしく、さらにプレイヤーさんだったようで光になって消えてしまった。
まさか2回もお預けを食らうとは・・・。あの盗賊さん私が嫌がることをわかってるね。むぅ。
私はまたしてもお預けを食らったことに、不満を覚え頬を膨らませる。でも、私にはもう1人食べれる人がいる。私は盾使いの盗賊さんに話しかける。
「あなたはプレイヤー?NPC?」
「え、NPCだ」
盗賊さんは顔を恐怖で歪ませながら私の問いに答える。
そんな目を向けるなんて失礼だね。私は気になるものを探求しているだけなのに。
「そう!よかったぁ!最後まで食べ切れるね」
もう1人の盗賊さんはNPCだったようで、今度は最後まで食べ切れることに一安心する。
「それじゃあ、いただきます!」
◇◇◇◇◇
「ぎゃあああ!」
盗賊さんが死ぬ前の最後の雄叫びをあげた。
手足を一本ずつ失ったのに生きていけるなんて人間の生命力ってすごいね。私だったらそんなに生きていけるかなぁ?分からないや。
「ふぅ、美味しかった。ごちそうさまでした」
そして、私はその後も食べすすめ、完食。なかなかに食べ応えがあったし美味しかった。それぞれの部位によって味が変わったのはびっくりだったよ。運営もなかなか悪趣味だね。
私は年齢的にまだお酒は飲めないけど、人間の味は全体的に居酒屋で出てくるような酒のつまみに良さそうな味ばかりだった。
・・・まあでも、正直人間を殺してまで、食べたいかというと別にそんなことはないかな。今回だけで十分だね
。
「あ、終わったか?」
「あ、ジンさん!お疲れ様です!人間もなかなか美味しかったです!」
「お、おう、そうか。それは良かったな」
ジンさんは私の食い気味な態度に若干引き気味になりながらも、私の頭を撫でてくれた。
ジンさんって何歳なのかな?私よりも年下だったら、ちょっと変な気分になりそうだね。
そして丁度残りのプレイヤーたちの戦いも終わったようで、私たちは戦後処理に向かった。
後書き
エナちゃん、ちょっとサイコパス気味。




