砂漠:フィールドボス
ガイアー達をなんとか倒した俺は今度はフィールドボスを倒すべく、さらに奥地へ向かった。
「うお、急に環境が変わったな」
今までは砂丘みたいな感じでなだらかな砂が広がっていたのだが、奥に行くにつれて岩が出てきて、その割合が増えてきた。ただ、その暑さは健在で岩になった方がむしろ暑く感じる。
あれだ。夏場コンクリートから跳ね返ってくるような暑さだ。とにかく暑い。
その岩場をある程度抜けていくと少し開けた広場にでた。その中央には魔物が寝ていた。寝ているだけなのにその圧は雑魚を寄せ付けない雰囲気を感じる。
こいつがフィールドボスだ。ゾウほどのとてつもなく大きな体。イグアナのような形に、身体中についた傷。聞いていた話と一致している。おそらくこの砂漠の生態系の頂点に君臨しているのだろう。俺が近づいてきていても気にせず眠り続けている。
とりあえず起こさないと話にならないと思い、どうやって起こそうか悩んだ末俺は咆哮で起こすことにした。
このスキル前はそこそこの頻度で使っていたのだが使わなくなる期間が長くなって、完全に忘れていた。反射とは確かに合わなかったが、実は自爆とそこそこ相性がいいので、今後もう少し使う頻度を増やしてみようと思う。
「【咆哮】」
「うおぉぉぉぉ!」
するとデカイグアナは鬱陶しそうに目を開ける。
「グルア?・・グルルル」
そして目の前にいる者が快眠を妨げたとすぐさま判断し、俺に敵意を向けてくる。
うーん、当然のように咆哮を喰らっていないな。精々鬱陶しい羽音ぐらいにしか思っていないのだろう。
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モンスター名:グロスイグアナ
HP:1000/1000
説明:この砂漠で何十年も生きてきたイグアナ。幾度となく戦いを挑まれ、死闘を繰り広げてきた。体にある傷はその死闘の跡で、基本的に弱者に興味がなく、目の前を通っても見逃される。そのため比較的温厚な魔物と位置付けられている。が、その強さは絶対的で戦いを挑んで帰ってきたものはいない。
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やべーな、このボス。当然のようにHPが4桁だ。俺が全力で自爆しても防御力もそこそこありそうなので絶対に倒せない。だからと言って反射で倒すにしても当たりどころが悪ければワンパンで死にそうだ。
「グルルル」
どうやら睡眠を妨害されたのがかなり癪に触ったらしく、不機嫌そうにこちらを威嚇している。おそらく何度も戦ってきて、外見だけで判断してはいけないと考えているのだろう。かなり慎重だ。
俺も自ら攻撃する手段がないので、向こうの攻撃に備えていつでも動けるようにする。
「グオオォォ!」
先手を取ったのはイグアナの方だった。このまま睨み合いが続いても埒が明かないと判断したのだろう。ものすごいスピードでこちらに突っ込んできた。
俺のスピードじゃ大体の攻撃は避けることが出来なく、精々急所に対する攻撃を喰らわないようにするくらいが限界だ。だから、点への攻撃ならなんとかなるのだが、この攻撃はただの突進なのにこいつの図体がデカすぎて、どうにもならない。
「クソッ」
ドォォォン!
俺はその突進を正面から喰らってしまい、後ろの岩に吹き飛ばされる。さっきの攻撃で相当なダメージをもらってしまった。今の体力は二千弱なのだがそれでもなお体力が100ぐらいしか残っていない。
「グルル?」
イグアナは攻撃したのに、自分がダメージを喰らっているのに不思議そうに首を傾げている。俺はその間になんとか体勢を整える。
「グルア!」
が、イグアナは数秒しか隙を見せずに、すぐに臨戦体勢になる。全力の攻撃を受けたはずの俺が生きているのに多少驚きはしたものの、やはり隙は見せない。
・・・ゴールデンゴーレムはなんだったんだ。あいつは隙まみれだったぞ。
俺はこういう時のために街で買った高級ポーションを使う。このポーションはゴーレムの素材を売った今の財産でも3つしか買えなかった。が、その性能は絶品。今までのような固定値ではなく割合で回復し、このポーションだと半分回復する。
正直あまり使いたくないのだが、エリクサー症候群になるのも嫌なのでここで使う。ここでチラリとイグアナのHPを確認する。
まだ400残っている。本当はポーションを2本飲みたかったのだが、許されなかった。
「グルアァァ!」
今度こそは倒すとボスがまたものすごい速度で突っ込んでくる。
・・・今の体力だと正直なところ受けきれないだろう。だが、相討ちにはしてやる。
「来い!」
ドゴォォォン!!!
俺はその攻撃を真から受け止めて吹き飛ばされた。そして当然俺のHPゲージは弾け飛ぶ。
《ーーー死亡しました》
《リスポーン地点への転送を開始します》
だが、転送される前の俺の目にはしっかりと映っていた。俺に攻撃したと同時に、HPがなくなって心底不思議そうな顔をしながら、死んでいくイグアナの姿が。
【エリクサー症候群】
RPGなどで手に入る強力な回復アイテム「エリクサー」等の強力なアイテムを「もったいない」「いつか使う時が来るかも」とためらい、結局最後まで使わずにクリアしてしまう、ゲーマーのあるある現象・心理状態を指す。




