謎の遺跡
「【自爆】」
自爆を起動した俺は目の前にいたサンドスコルピオを倒す。あれから一時間ほど探索して、何度か砂漠でモンスターとエンカウントしたが、今のところサンドスコルピオとサンドワームしか見ていない。このエリアにはあの2種類しかいないのだろうか?
そう思いながら、空を見上げ、砂漠に着いた時にちらほらと見えた影を探してみる。しかし、そこに期待していた影はなく、ただ照りつける太陽があるのみだった。
うーむ、最初に見えた時は砂漠に住む鳥のような魔物だと思ったんだが、どうも違うらしい。今は影の一つも見えなくなってしまった。もしかしたら出現に何か条件があるのかもしれない。考察サイトを見ればわかるだろうが、あいにく俺はそういうのはあまり見ない主義だ。自分で条件を探るしかない。
まあ気長に待つか・・・と思いながら歩いていた時、
カチッ
と何かを作動させるような音がなって突然自分の足場が崩れて、俺は突然開いた穴に吸い込まれていった。
◇◇◇◇◇
あれから数十秒ほど落ち続けて、硬い床に叩きつけられた。普通のプレイヤーなら死んでいただろうが、俺はあいにく極振りプレイヤーなので死ぬことはなかった。・・・それでもミリだが。
「いてて・・・ここはどこだ?」
俺はポーションを飲みながら、周りを確認する。これが落とし穴で、落ちたのに死ななく、上に登れないという最悪の事態を想定していたのだが、どうもそうではないらしい。
なぜなら、まるで荒廃した遺跡のような道が広がっていたからだ。壁は少し苔むした石レンガでできており、ところどころが壊れて穴が空いている。さらに、通路の横の壁の床に松明であっただろう炭のようなものが散乱している。
松明が壊れているが、なぜか明るく非常に見やすい。何か特殊な技術があるのか、それともただゲームだからなのかはわからないが、これなら探索に困ることもないので助かる。
「すげー、あの砂漠の下にこんな遺跡があったなんて。ただ、こんなものがこのエリアにあるなんて一回も聞かなかったぞ?」
それもそのはず、この遺跡もまたゲーム開発部の悪ノリで作られたものの一つで、非常に難しい条件を満たさないとそもそも入れないのだ。そのうちの一つが広大な砂漠のフィールドの中に一つだけある10×10cmほどのボタンを踏むことなのだ。
そんなことは露知らず、俺はすぐさまその遺跡を探索し始めた。だって、砂漠の下にある遺跡だぜ?しかもだいぶ前のものっぽい。さらに、もしかしたら見つけたのは俺が最初かもしれなくて、誰も見たこともないお宝が眠っている可能性だってある。そりゃあ男なら、そんなロマンに溢れた場所を探索するよなぁ?
ということで、通路をどんどんと先に進んでいく。すると見えてきたのは一つの部屋。木の扉がおそらくついていたのだろうが、朽ち果てて扉としての役割を果たしていない。俺はその扉を軽く壊して部屋の中に入る。
そこは4畳半ほどの小さな部屋になっていて、壊れかけのテーブルと椅子しか置いてなかった。
「うーん、ここは生活するための部屋ではなかったのかな?生活するには狭すぎる」
そう言いながら、テーブルや椅子を調べる。パッと見では何もわからなかったが、このテーブル下に小さな収納があるタイプでその中に石板が入っていた。
その石板には、こう書かれていた。
"この石板を読む者に、私の全てを捧げる。長きにわたるーーー大戦がようやく終結した。私はその大戦の功労者の1人ーーーーだ。しかし、仲間にはめられて国を追われて、私は戦場となった場の地下で細々と過ごしていた。だがそんな生活にももう限界が来たのだ。戦場では無敗だった私も結局寿命には勝てない。そこで、私は未来の強い者に私の全てを託すことにしたのだ。だから、この建物をできる限り強化し、簡単には踏破できないようにした。もし自分の力に自信があるのなら取りに行くといい。私の全ては最下層に置いてある。もし無理だと思うなら、この通路を引き返した先にあるボタンを押して地上に戻るといい。どちらにしよ、君の自由だ。"
一部字が掠れて読めないところがあるが概ね内容はわかった。とりあえず昔の偉い人が遺産を残すべく建てた建物がこの遺跡で、強化されてダンジョンのようなものになったそうだ。そして、最下層には財宝がある。
一応戻ろうと思えば戻れるらしいが、挑戦もせずに諦めるのは俺のプライドが許さないので、俺はこの遺跡を攻略することにした。
しかし、この大戦っていうのはなんのことなんだろうな?今までゲームをしていても一度も聞いたことがなかった。NPCからも考察班からも一切触れられていなかったのだ。
そこまでストーリーに関係のない話なんだろうか?それとも、このゲームのエンドコンテンツなのかもな
と、あり得ない考察をしながら、俺は部屋を出た先にある階段を降りていった
◇◇◇◇◇
昨日、まさかの徹夜をする羽目になってしまった田中は今日こそは大丈夫だろうと思い、昼休憩時に紅茶を飲んでいた。
「ふう、昨日は酷い目にあった。まさかあんな想定外の事態が起きるとは」
バン!!
今日は平穏な一日が続くだろと思いながら、そんなことを呟いていた時、またしても部長室の扉が強く開けられた。
「なんだ、どうしたんだ?」
怪訝な顔でそこを見ると、昨日と同じく焦った顔の伊藤がそこにいた。
「部長こそ、今そんな紅茶をとってる暇なんてありませんよ」
「む、何を言っているんだ。問題は今日の朝何とか解決したはずだろう?」
「あれから、あのプレイヤーにある称号をつけて監視役をつけていたんです」
「プライベートもあったもんじゃないな」
「ちょっと黙っててください」
普段伊藤は田中がこのような冗談を言った時はしっかりと乗ってくれるのだが、今日はそんな余裕がないらしい。非常にピリピリした様子で田中に説明してくる。
「で、そのプレイヤーが今日もログインしたんです。昨日は職業進化したあと、耐熱用の装備や水を買っていたので、今日は東の砂漠に行くだろうという予想はあっていました。ただ、そこからが問題です。部長、あの砂漠何か仕掛けがありましたよね?」
「えー・・・。あー、そういえば将来エンドコンテンツ用として作った遺跡があったか?」
「そうです。その遺跡に少年が入りました」
「ほう、そうかそうか。少年が遺跡に・・・・・はぁ!?少年が遺跡に入った!?」
「そうです。入ってしまいました」
「おいおいおいおいおい、勘弁してくれよ・・・」
ここで田中の頭はフリーズ。頭を抱えたまましばらく動けなくなってしまった。
「くそっ、問題は職業だけじゃなかったか。これだからゲーム開発部の連中は・・・」
と、伊藤はイライラしながら、ぶつぶつと愚痴をこぼす。
「はぁ、確かあれは勝手にゲーム進行度によって難易度調整をしてくれるやつだよな?」
「まあ、一応は。報酬も進行度によってどんどん豪華になっていきます」
「なら、難易度調整はしなくていいな。しないといけないのはエンドコンテンツに深く関わるものの消去と、エンドコンテンツの道筋の調整か」
そう言って、田中は胃を抱えながらまた伊藤に指示を出す。伊藤は「あぁ、今日も寝れないのか」と思いながら指示に従う。
後書き
運営2徹目
伊藤、田中「「許さん」」




