試運転
次の日、俺が学校から下校しているとマサキが後ろから話しかけてきた。
「よう、ジン。どうだった?」
なんでこいつはいつも気配を消して俺の背後に立っているのだろうか。今まで後ろに立っている気づいたことが一度もない。
「どうだったってなんのことだ?」
「昨日のスキルのことだよ。俺もログアウトしてから少しだけ調べてみたんだけど、全くでてこなかったんだよな」
「そうそう、俺もそうだったから結局また戻って調べてから取ったぞ」
「え、もう取ったのか?」
マサキは少し不思議そうな顔をしながら俺に尋ねる。
「うん、自爆ってスキルなんだけど」
「自爆か。またマイナーなスキル取ってきたな」
「そうなのか?」
「ああ、それも反射と同じようなゴミスキルってβテスターに言われてたぜ」
自爆もまた反射と同じくゴミスキルだったようだ。
なんで俺はこんなにハズレばかり引き抜いているのだろうか。かなり運はいいはずなんだがな?
まあ、今のプレイスタイルで満足しているからそれでいいが。
「それはそうかもな。軽く使っても欠点は何個か出てきたしな。でも伸びしろは感じるぞ?」
「まあ、ジンが使ったらそうだろうな・・・」
「ん?なんて」
「いや、なにもないよ」
そして、話題は雑談に変わっていき、いつの間にか自宅まで帰ってきていた。
「じゃあな〜」
「うん、また」
そして、俺は自宅に帰りULOにログインした。
《ULOにようこそ》
「よし、それじゃあもう少しスライムと戦って検証してみるか」
俺は自爆の検証をするべく、草原に向かった。
◇◇◇◇◇
その後、スライムと何度か戦ってみてわかったことが複数あった。
1つ目は、自爆スキルの爆風を食らうと少しの間だけスタンするということ。
2つ目は自爆スキルはやはり防御力(VIT)によって与えるダメージが変わってしまうということ。
最後はスライムを倒すのに必要な体力は55だということだ。
まず、一つ目に関してだが、スライムにHPを瀕死にさせないように10だけ消費して爆風を食らわせてみると、爆発をくらってから1〜2秒ほど動けないでいたからだ。
また、このときにわかったことだが消費するHPの最小値は10だったらしく、1桁HPを消費しようとしてもそもそもスキルが発動しなかった。
次に、2つ目だが、スライムの最大HPを削りきれる50で何度か自爆してみてもぎりぎり耐えられてしまったことから、これも確定。
また、最後のことに関しては普通に54消費しても生き残られたからである。
「あ、そういえばミルさんに預けておいた装備治ってるかな」
ふとそんなことを思い出し、俺は装備屋に向かった。
「あら、ジンくんいらっしゃい。もう装備治ってるわよ」
「あ、そうなんですか。ありがとうございます」
「いえいえ。大丈夫よ。それが仕事なのよ」
あ、そういえばミルさんっていつもULOの中にいるな。現実世界は大丈夫なのだろうか。
と思っていると、そのことが顔に出ていたらしく、
「私は夜勤なのよ。だから昼の間はこのゲームの中にいるわ」
「え、そんな顔に出てましたか」
「えぇ、ジンくんは思ってることが顔に出やすいからわかりやすいわ」
「え〜」
ショックである。俺は基本的にポーカーフェイスでいると思っていたがそんなに顔に出やすかったとは。
今後戦闘で読まれると困るから、気をつけないと。
・・・いや、無表情で焦点も定まらないまま剣を振りかざしてきたら怖いな。
やっぱりやめておくか。
「それじゃあ、また」
「ええ、またね〜」
としょうもないことを考えながら、俺は修理された装備を着てスライムをまた倒しに向かう。
◇◇◇◇◇
「【自爆】」
《称号を入手しました》
とスライムを何匹か倒していたら、こんな称号を入手した。
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称号名:Mへの入口
能力:自傷ダメージを10%減らす。痛覚を10%アップする
取得条件:500ダメージ自傷ダメージを受ける
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なんだこの称号は。名前がひどすぎるだろ。運営?なんでこんな称号を用意したんだ?
ちなみに俺はMではない。不名誉極まりないな。
しかも『入り口』ってことは今後自爆を使っていくのならまだまだ進化していきそうである。
が、名前がひどいくせに能力はかなり強くなっていて、試しにスライムに消費HP55で攻撃してみるとスライムは倒したが、5ダメージほど自身の受けるダメージが減った。
なんでこういう消したいやつに限って効果が強いのだろうか。運営の策略か?運営は俺に何をさせたいんだ。
それと、痛覚が上がるという能力を見て初めて気づいたのだが、このゲームには痛覚設定なるものがあって俺は今までそれを40%でプレイしていたようだった。
これに気づいた俺は急いで痛覚設定を0に設定を変えた。というか痛覚を上げるのはやばいと思う。
痛覚を上げすぎて、擦り傷が骨折みたいな痛みになったらどうするんだ。発狂するやつも出てくるんじゃないか?
と、運営の危険な思想に気づきかけた俺は、その後もスライムを狩り続けていくのであった。
後書き
ジン、Mになる。
ジン「俺はMじゃないんだが?」
・・・ツンデレか?
ジン「は?おいおいお・・・」




