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第34話:出発前の腹ごしらえ

 「おいおい、こりゃ何の騒ぎだ?」

 

 「ヨナ!エーギル!」

 クロは二人の顔を見て、この店で合流する約束だったのを思い出した。

 

 

 店主が事の経緯を説明する。

 

 

 「……それで、こいつらどうしたらいいと思う?」

 クロはヨナとエーギルに尋ねた。


 ぐるぐる巻きに縛られたチンピラ達は、まるで死刑申告でも待つような顔をしていた。


 「そうだなあ……ご飯代を奢ってもらうというのはどうだろう?」

 そのエーギルの提案に、ヨナはニヤリと口角を上げた。

 

 「それでちょうどいいんじゃねェか?」


 「それで許してくれるんすか!?なんてお優しい!心が広い!」

 冒険者ライセンスの剥奪や逮捕といった最悪の展開を覚悟していたチンピラたちは、歓喜の声を上げた。

 エーギルは聖人君子のごとく慈愛に満ちた瞳で彼らを見つめ、穏やかな笑みを浮かべる。

 

 彼らの目には、さぞエーギルが聖人に見えたことだろう。

 「さすが勇者様!慈悲深い!」と、何度も手を合わせ拝んでいる。

 クロが「俺は?」と睨むと、チンピラたちは血相を変えて、今度はクロのことまで拝み倒した。

 

 デザート分も含めて、彼らが食事代を全額負担するという話にまとまった。

 

 店長から請求書を渡されたチンピラ達は、一瞬で顔面蒼白になった。

 請求書には、信じられないほどの金額が書かれていた。

 十万、百万、千万……桁数が多すぎて、チンピラたちは何度も何度も数字を数え直した。

 

 チンピラ達はあとから入店したため、クロがどれくらい食べていたのか知らなかったのだ。

 

 チンピラたちはエーギルの方を素早く見た。

 エーギルのうしろで、ヨナが数枚の書類を片手に冷酷な笑みを浮かべていた。

 

 ヨナは死刑申告をする女王の如く、店の修理代の請求書をチンピラたちの目の前に優雅に差し出す。

 まるで、この事態を楽しんでいるかのようだった。

 

 そして、店の修理代が加わり、チンピラ達が背負う借金の金額がさらに膨れ上がった。

 

 一生働いても返せないかもしれない、と絶望感でチンピラたちは泣いていた。

 

 そんな彼らを見かねたエーギルは声をかけた。

 「大きな金額だけど、逮捕よりはマシだよ。ドラゴン一頭倒せばすぐ返せる」

 

 エーギルの励ましに、彼らは魂が抜けたような顔をした。

 他の客たちは笑いと拍手で見送る。

 

 クロは店主や客から感謝され、大盛りのデザートをご馳走になった。

 


 「ねぇヨナ、この店を指定したのって……」

 口端にクリームをつけたエーギルが尋ねる。

 ヨナはワイングラスを軽く傾けながらくつくつと笑った。

 

 「副ギルドマスターとしてやることをやっただけさ。……ああそうだ、これ渡すの忘れてた。ほれ」

 ヨナが差し出したのは、クエスト達成証だった。

 


 <クエスト達成おめでとうございます!>

 クエスト名:お騒がせチンピラ三人組を料理せよ!ご褒美は絶品料理!

 依頼主:デリッツダム王国 食堂『黄金のフライパン』店主

 報酬:絶品料理フルコース(おかわり無制限)

 内容:迷惑客チンピラ三人組の撃退

 


 「……まさか依頼だったのか!?」

 「裏依頼だけどな。まさかここまで上手くいくとは思わなかったぜ」

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