旦那ちゃんと嫁ちゃんの6月のラプソディー・イン・ブルー
雨の日のこと。
梅雨の雨がしとしとじとじとと街をぬらす。
「♪恋人も濡れる街角~♪」
ご機嫌で歌う旦那ちゃんに、いつものように水を差す嫁ちゃん。
「相変わらず音外すね~」
「五月蠅い」
「今は六月さいです」
「なんですかそれっ!」
2人が不毛なやりとりをしている最中も雨は降り続いている。
「よ~ふるな~」
「よ~ふるね~」
「ま、どうせ雨が止んでも」
「どこにも行けないし~」
「そ、でも散歩ぐらいは」
「いけるね~」
2人のなんでもない会話をするしないに限らず、雨はやっぱり降り続いている。
「シャルウィダンス?」
旦那ちゃんは嫁ちゃんに恭しく手を差し伸べる。
「何、言ってんの?」
ぺしっ、嫁ちゃんはその手をはじく。
「れっつ、ランバダ、ダンシング~!」
「馬鹿か」
「マツケンサンバ~」
「阿保っ!」
「れっつ、ダンシンぐう~!ググググググ~コォーっ!」
「エド旦那古っ!ダサっ、すべてが」
「いけずう」
「冗談よ・・・多分」
「・・・いけずう」
「じゃ」
「何?」
「アレする?」
「アレって何よ」
「アレしてアレするんだよ」
「えいっ!」
嫁ちゃんはお馴染みの〇ん〇掴み。
「ぐっ!」
旦那ちゃんは苦痛にも快楽とも分からない声をあげる。
「どの口が言ってんだ」
「はじめはほんの出来心で・・・えへっ」
声を高くあげ、両手の指を小刻みに目の前で動かし、疑似モザイクを施し、音声は編集していますみたいなテイで言う旦那ちゃん。
「・・・・・・ほう」
冷ややかな目の嫁ちゃん。
「あわわわわ」
「おいーっ」
「あふーっ!」
「どうぇーい」
「はひーっ!」
そんなことをやっていると、雨はあがり空に虹が弧を描いた。
「旦那ちゃん」
「晴れたな」
「散歩に行こう」
「いこー」
雨上がりを歩く2人。
旦那ちゃんが水溜まりに足をはめる。
ばしゃっ。
「ドジっ子~」
「うるせー」
旦那ちゃんと嫁ちゃんは顔を見合わせ思わず笑った。
空には澄んだ青空が広がっている。
なんだか、綺麗に仕上がりました・・・らしくなか~(笑)。
日常はこうはいかんよね~(笑)。