表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕のくノ一戦姫  作者: ぽっくん
孤独のくノ一
7/26

切られた火蓋

今回はキリが良いので短めです。

「翔太、撃て撃て撃て…」

「「あぁ〜」」


落胆の声が重なる。テレビの画面には「順位#2」と表示された。画面左下の方には小さく「"Shota"は"僕ちん国際人"さんにやられた」とも現れた。

もう何十回目かの二位。出来ればこの人に勝ちたかった。アカウント名がアレだったから。


それはさておき、現在、風見くんの家でゲーム中。聖なる日だと言うのに野郎二人でゲーム…これはこれでなにか寂しみものを感じる。

今年のクリスマスゲーム大会(中二から始まり、中三の時には高校受験のため無かったので実質二回目)はF○RTNITE(TPSゲーム)というゲームのデュオ(二人でタッグを組んでのバトル)というモードでビクトリーロワイアル(優勝)を取るまで帰れませんという内容だった。しかも、最後の敵を僕が倒さないといけないというルールになっている…僕がゲーム不器用なのをバカにする仕様という事だ。


「よし、次は決めに行くぞ」

「疲れたからラストね」


パソコンの画面の前に座っている風見くんは飽きた様子も見せず再びプレイを続行する。僕はやり過ぎて疲れたが…

僕自身、このゲームは直ぐに飽きが来るかと思ったが、やってみると意外と面白くて時間を忘れて夢中になってしまった。まぁスナイパーライフルでイモるプレイしか出来ないけど…

流石に午前中からぶっ続けでゲームをするのはきついので、カラオケなんかして気分転換も挟んだりした。ただ、風見くんが歌う曲が「聖数三○二乗」とか「悲しみ○向こうへ」など、僕の知らないマニアックな曲ばかり歌うので気分転換になっていない様な気もするが。因みに僕は適当に流行りの曲を歌った。


「行ける行ける、撃て撃て撃て撃て…」

「やったー!」

「よっしゃー!」


歓喜の声が重なった。

軽快なBGMと共に画面に「1#VICTORY ROYALE」と言う文字が表示される。何回くらいプレイしたか覚えていないが初めて優勝した。最後の一回という事もあって優勝画面が出た今でも手が震えている。


「いや、今のは熱かった。マジで。まぁ翔太が負けたとしても、ラストだから俺がバシっと決めようと思ってたけど」


風見くんも興奮冷めやらぬ状態だった。


「それじゃあ、僕はそろそろ帰るね」

「おう」


ちらっと時計を見ると23時をちょうど回った頃だった。やばっ! 長居しすぎた。スマホを見ると父さんから早く帰って来る用にという旨の連絡が何件かある事に気づく。


「翔太…外、土砂降りだぞ!」

「えっ嘘!」


風見くんに促され、カーテンの隙間から外を見ると風見くんの言う通り土砂降りの雨だった。あれ? 今日の夜は雨の予報だっけ?


「風見くん、傘貸してもらっていい?」

「別にいいぞ。ちゃんと返せよ。じゃあな」

「うん。じゃあね。また明日。お邪魔しました」


玄関で風見くんと別れ、帰路に着く。十二月ということもあって、夜はかなり冷える。肌を突き刺す様な寒さだ。しかも雨。


ザァーザァー降る雨の無機質な音を聞きながら暫く歩いた頃だろう。気のせいかもしれないが妙な気配を後ろから感じる。

振り返るが、もちろん誰も居ない。

見える景色に別段変わった様子も無く。唯々雨が降っているのみだった。

徐々に近づいてくる謎の気配に自分の足も自然と早くなる。それに合わせて気配もどんどん早くなる。足音が聞こえるわけでも無いのに。

冷や汗が背中を這い、言い知れない恐怖が僕を襲う。もうすぐ家だ…あと少し…あと少し。


ほぼ小走りで家の手前まで来た時、妙に湿った強い風が僕の背中に吹いた。同時に気配も僕の真後ろまで迫っていた。

咄嗟に振り返る…



えっ?



目の前が真っ暗になった。あれっ? 何で?

ふわふわと体が浮いたような感覚に襲われる。段々と意識も遠のいて行く。痛いわけでも苦しいわけでもない。なにこれ…

漆黒に視界を囚われ、訳もわからないままゆっくりと泡沫(うたかた)のように意識は途切れていった。


☆☆


バケツをひっくり返した様な雨の中、宗次郎は走っていた。


「ふざけんなよ!」


怒りを多分に含んだ声が漏れる。そして自らの非力さに歯噛みする。


異変に気づいたのは家の手前の道路だった。物の怪の「欲望」や「怨嗟(えんさ)」が刺激される事で生まれる従属獸(じゅうぞくじゅう)の痕跡が残されていたからだ。それに翔太の肩掛け鞄も落ちていた。当然、家の中を確認するも無造作に置かれた学校鞄と木刀だけしか残っていなかった。


従属獸の根源を封印しようとしたのが逆に裏目に出た…


くそがっ! 


形容しがたい憤怒の感情が渦巻く。

後悔しても仕方ない、最善の手を尽くすべきだという事が頭の中で分かっていても、焦燥がその怒りの増大に拍車を掛ける。

もしこれで翔太に何か有れば俺は妻に申しわけが立たない…

様々な思い、感情が宗次郎を支配する中、やがてそれは絶望に変わって行く。


「おいおい、嘘だろ」


物の怪の痕跡は鬱蒼(うっそう)とした山の中へと続いていた。

真っ暗な闇を生み出す木々。視界を奪うほどの雨。

たとえ夜目が使えるにしても、こんな状況で従属獸の痕跡を追うのは極めて難しい。

翔太のスマホも鞄の中にあったからGPSも役に立たない。八方塞がりだ。


それでも行くしかない…

俺が悲観してはいけない事ぐらい分かっている

翔太は必ず生きている。必ず助ける!


自らに暗示とも呼べない暗示をかけ、木々をかき分けて前に進んで行くのだった。

どうも、変態型理論破綻作家のぽっくんです。

毎度リアルな話をするのもアレなんで少し作品の話を。

やっと次回から物語が大きく動き出す予定です……この時点では大枠だけ決まっていて他は何も決まってないんですけどね(汗


・・・


暖かい目で翔太くんを見守ってあげてください(笑


まぁ作者としては立花さんとムフムフするシーンを早く書いたりしたいのですが…んんゔん(咳払い)


なんでもありません。


誤字脱字、表現の誤り、矛盾点などありましたら報告よろしくお願いします。


ではまた次のお話でお会いしましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ