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僕のくノ一戦姫  作者: ぽっくん
孤独のくノ一
25/26

妹4

今回は短めです。

気がつくと、私は白い花が一面に広がる花畑にいた。濃い霧が立ち込め、幻想的な空間。霧で視界の悪い花畑を吸い寄せられるように歩く。


「すず…〜」


遠くで誰かが叫んでいる。


右も左も分からぬまま、ぼーっと歩いた末、穏やかに流れる川にたどり着いた。いつの間にか霧も晴れていて、朝、昼、夕方、夜のすべてが入り混じった不思議な空が広がっている。川の対岸には、私の好きなひまわりの花畑が広がっており、空と相まって、見惚れてしまうほどの美しさがそこにはあった。


「すずか〜」


後ろで誰かが私を呼んでいる。誰だろうと思って後ろを振り向いたが白い花畑が広がっているだけで、誰もいなかった。


私は対岸に行くため、ゆっくりと川に足を踏み入れる。


「すずかっ!」


大声で真後ろから名前を呼ばれた途端、一気に後ろに引っ張られ、視界が真っ白になった。


☆☆


「鈴夏!鈴夏!」


「ゆき……ねぇ…?」


ポタポタとと涙を流す雪姉がそこにいた。


「鈴夏!」


私の目を見るなり、雪姉は顔をくしゃくしゃにして泣き始めた。そして、ゆっくりと私を抱きしめる。


「良かった…本当に良かった」


雪姉の温もりが全身に染み渡る。そして、初めて自分が助かったのだと理解した。


「ゆきねぇ…なんで……?」

「なんでって、すずかを助けに来たに決まってるじゃない」

「………どうして………わたし、あんなに酷いこと言ったのに……雪姉のこと、あんなにバカにしたのに」


違う…こんなことが言いたいんじゃない。


「雪姉のこと、お姉ちゃんじゃないって言ったのに」


違う…私はただ…


「なんで私なんか助けたの!」


違う! 私はただ一言、雪姉に…


「そんなの決まってるじゃない! 私が、鈴夏のお姉ちゃんなんだから! 誰が何と言おうと、私は、鈴夏のたった1人のお姉ちゃんなんだから!」


雪姉のこの言葉を聞いた途端、私の目に溜まっていた涙がついに崩落した。


「うっくぅ……ごめんなさい…ごめんなさい…ゆきねぇ……ごめんなさい」


「バカすずかぁ…」

「…ゆきねぇ」


私は雪姉の胸の中でひたすら泣き続けるのだった。


それからのことはあまり覚えていない。ただ、あれよあれよという間に事後処理が行われていた。後から聞いた話によると、あの大蜘蛛は雪姉をいじめていた3人が原因だった。学校の私有地の森に厳重に封印されている大蜘蛛を私が実習を受けるタイミングで解き放ったらしい。雪姉はそのことを主犯の一人から聞かされ、森に飛び出したそう。そして、間一髪のところで私は助けられたそうだ。その後、大蜘蛛は先生たち数人係で再び封印し直され、今回の事態は収束した。


……と思われたが、まだ続きがあったそうだ。


それは主犯の3人だ。この3人が見つかった際、雪姉が殺しにかかる勢いで殴りにかかったそうな。その時は凛さんが一緒にいて、宥めたそうだが、手がつけられないくらいやばかったらしい………。もし一緒に凛さんがいなかったらどうなっていたことやら…と凛さんは語る。


なんにせよ、あの日私が雪姉に救われたことに変わりない。雪姉は私を見捨てずにいてくれた。周りが変わっても、雪姉だけは私に手を差し伸べてくれた。


だから、私は雪姉を失うわけにはいかない。今度は私が雪姉を…


「雪姉…待っててね。私が必ず雪姉を助けるから」


目の前で眠っている雪姉の手を優しく握り、決意を固めるのだった。

毎度のことなんですが、不定期更新ですみません。

最近、フーリエ変換とか、シュレディンガー方程式を解くのに忙しくて…………申し訳ない


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誤字脱字、表現の誤りがあれば報告よろしくお願いします。

ではまた次のお話でお会いしましょう。


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